ムンバイ駅の喧騒 暮らす人々のモノローグ 夜の闇をとらえた映像美 「私たちが光と想うすべて」冒頭映像

映画スクエア

 2025年7月25日より劇場公開される、第77回カンヌ国際映画祭でインド映画史上初となるグランプリを受賞した、パヤル・カパーリヤー監督による映画「私たちが光と想うすべて」から、カパーリヤー監督が日本公開を喜ぶコメント映像と、約2分間の本編冒頭映像が公開された。

 本編冒頭映像には、ムンバイの駅のホームの喧騒と、そこに暮らす人々のモノローグが映し出されている。「失恋したばかりで傷ついてた、でも都会が何もかも忘れさせてくれる」「都会は人から時を奪う、それが人生」など、ムンバイという巨大な都市に生きる人々の心の声が、まるでドキュメンタリーのようにリアルにあふれ出す。さらに、ムンバイの青い夜の闇をとらえた映像美、静かに胸に響く口笛と弦楽器のシンプルな旋律も収められた映像となっている。

 「私たちが光と想うすべて」で描かれるのは、インドのムンバイで看護師をしているプラバや、年下の同僚のアヌらの物語。2人はルームメイトとして一緒に暮らしているが、職場と自宅を往復するだけの真面目なプラバと、何事も楽しみたい陽気なアヌの間には少し心の距離があった。プラバは親が決めた相手と結婚したが、ドイツで仕事を見つけた夫からずっと音沙汰がない。アヌにはひそかに付き合うイスラム教徒の恋人がいるが、親に知られたら大反対されることはわかっていた。

 そんな中、病院の食堂に勤めるパルヴァディが、高層ビル建築のために立ちのきを迫られ、故郷の海辺の村へ帰ることになる。揺れる思いを抱えたプラバとアヌは、1人で生きていくというパルヴァディを村まで見送る旅に出る。神秘的な森や洞窟のある別世界のような村で、それぞれの人生を変えようと決意させる出来事に2人は遭遇する。

 本作の監督を務めたムンバイ生まれのパヤル・カパーリヤー監は、初の長編ドキュメンタリー映画「何も知らない夜」が、2021年のカンヌ国際映画祭監督週間でベスト・ドキュメンタリー賞にあたるゴールデンアイ賞を受賞するなど注目を集めた。初の長編劇映画となった本作で、カンヌ国際映画祭グランプリを獲得している。プラバを演じるのは、「女の子は女の子」などのカニ・クスルティ。アヌ役を「Ariyippu(原題)」のディヴィヤ・プラバ、パルヴァディ役を「花嫁はどこへ?」のベテラン俳優のチャヤ・カダムが務めている。

ムンバイ駅の喧騒 暮らす人々のモノローグ 夜の闇をとらえた映像美 「私たちが光と想うすべて」冒頭映像

【作品情報】
私たちが光と想うすべて
2025年7月25日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかロードショー
配給:セテラ・インターナショナル
(C) PETIT CHAOS - CHALK & CHEESE FILMS - BALDR FILM - LES FILMS FAUVES - ARTE FRANCE CINÉMA - 2024

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