廃墟のガザのフォトジャーナリストと、彼女を見守るイラン人 「手に魂を込め、歩いてみれば」公開決定

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廃墟のガザのフォトジャーナリストと、彼女を見守るイラン人 「手に魂を込め、歩いてみれば」公開決定

 2025年のカンヌ国際映画祭のACID部門正式出品作で映画評論家評価第1位となったドキュメンタリー映画「手に魂を込め、歩いてみれば」が、2025年12月5日より劇場公開されることが決まった。

 「手に魂を込め、歩いてみれば」は、ガザに暮らす人々の声を緊急に伝える必要があると考えたイラン人のセピデ・ファルシ監督が、ガザに暮らす24歳のフォトジャーナリストであるファトマ・ハッスーナと、約1年間に渡り交わしたビデオ通話を映画化した作品。イランからフランスに亡命したため祖国に戻れない監督と、監督の娘と同じ年齢で、ガザから出られないファトマとのビデオ通話は、毎日のように続けられた。そして、ファトマは監督にとってガザを知る目となり、監督はファトマが外の世界とつながる架け橋となった。

 ファトマは空爆、饑餓や不安にさらされながらも力強く生きる市民の姿や、街のわずかな輝きを写真に収め、スマホ越しにガザの様子を伝え続けた。監督が「彼女は太陽のような存在」と形容するように、彼女はいつも明るかったが、たび重なる爆撃で家族や友人が殺されていくにつれ、表情を暗くしていく。そして悲劇はファトマをも襲う。2人が交流を始めて約1年後の2025年4月15日。本作のカンヌ映画祭上映決定の知らせを喜んだファトマだったが、その翌日、イスラエル軍の空爆でファトマを含む家族7人が殺されてしまう。

 カンヌ映画祭の開会式では、審査委員長のジュリエット・ビノシュが、「ファトマは今夜、私たちと共にいるべきでした。芸術は残り続けます」と、ファトマの死を悼んだ。また、カンヌ映画祭前夜には、リチャード・ギア、マーク・ラファロ、ガイ・ピアース、レイフ・ファインズなど350人以上の業界関係者が署名した、ファトマ殺害と業界の沈黙を非難した手紙が公開された。

【作品情報】
手に魂を込め、歩いてみれば
2025年12月5日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
配給:ユナイテッドピープル

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