堂本剛主演、荻上直子監督・脚本の映画「まる」(公開中)から、堂本剛が“受け”の演技を見せる2つのシーンの、本編映像が公開された。
1つ目のシーンは、堂本演じる沢田が綾野剛演じる横山になかば強引に食事に誘われ、居酒屋のカウンターで会話をするシーン。隣人同士のふたりが「人の役に立つ」ということに関して話すこのシーンでは、「人の役に立たなければならない」という強迫観念にとらわれ、自己実現できていない自分に葛藤する横山と、「役に立たないとダメなんですかね?」と疑問を投げかける淡々とした沢田が対比されて描かれている。「何ができる?」と迫る横山に、「口笛が吹ける」と真剣に答える沢田。その答えに「いらないよね」と戸惑う横山だが、「オレ口笛吹けないしね」とボソリとつぶやく。
この「オレ口笛吹けないしね」は綾野の本読みの時のアドリブから生まれたシーンで、普段はあまり積極的にアドリブを採用しない荻上監督の心をつかみ、「本番でもぜひ言ってください」とお願いされたという。
もう1つは、正体不明のアーティスト「さわだ」として騒がれ始めた沢田が、コンビニでのアルバイトをしている最中に、「一緒に写真を撮ってほしい」と女子高生2人組から突撃を受けるシーン。うれしそうにはしゃぐ女子高生と突然の出来事に戸惑う沢田。そして森崎ウィン演じるモーが「何、今の?」とツッコミを入れる。自分のあずかり知らぬところで一躍有名になった沢田の様子が、2人で〇ポーズをする女子高生と置いてけぼりの沢田との対比で捉えられている。
「まる」は、美大卒だがアートで身を立てられず、人気現代美術家のアシスタントをしている男・沢田を主人公とした作品。独立する気配もなければ、そんな気力さえも失って、言われたことを淡々とこなすことに慣れてしまっている沢田。ある日、通勤途中に事故に遭い、腕のけがが原因で職を失う。部屋に帰ると床には1匹のアリがいる。そのアリに導かれるように描いた○(まる)を発端に、日常が○に浸食され始める。沢田を演じるのは堂本剛。「彼らが本気で編むときは、」「波紋」の荻上直子が、監督・脚本を務める。
【作品情報】
まる
公開中
配給:アスミック・エース
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