社会の片隅で懸命に生きるふたりの少女の心の交差を描く 岡本充史監督初長編「笑えない世界でも」公開決定

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社会の片隅で懸命に生きるふたりの少女の心の交差を描く 岡本充史監督初長編「笑えない世界でも」公開決定

 テレビドラマの演出を手がけてきた岡本充史の初長編映画で、監督・脚本・撮影・編集を務めた映画「笑えない世界でも」が、10月17日より劇場公開されることが決まった。

 「笑えない世界でも」は、「誰かの痛みに静かに寄り添う」ことをテーマに、社会の片隅で懸命に生きるふたりの少女の心の交差を描いた作品。いじめの被害者から一転、ある事故で加害者となり、家族から見放されて鬱々(うつうつ)とした気持ちで町工場で働いている“ぼっち”の川本優花は、ある日、“ぼっち”になってしまった水川凛と出会う。理不尽でどうしようもなく、逃げ場がない日々が続く中、静かな会話を交わす優花と凛の距離は近くなり、諦めから希望に向かって少しずつ動きだしていく。

 ダブル主演を務めるのは、川本優花役の彩香と、水川凛役の谷藤海咲。本作が映画初主演の彩香は、家庭にも学校にも居場所がなく心を閉ざして生きる少女・優花に、命を吹き込んでいる。谷藤海咲は、声を発することができず、思いを言葉にできない少女・凛という難役に挑み、静かでありながら芯のある存在感を見せている。また、寺田英雄役の野村啓介が、優花と凛の前に立ちはだかる不穏な雰囲気を醸し出し、物語に深みをもたらす。

 監督を務めるのは岡本充史。「ブラック校則」「メンズ校」「消せない私」「真夜中の社内恋愛」など、テレビドラマを中心に演出を重ねてきた岡本は、カメラアシスタントとして業界入りし、脚本・撮影・編集まで一貫して手がけるスタイルを確立。本作は、長年の蓄積が結実した長編映画作品となっている。

社会の片隅で懸命に生きるふたりの少女の心の交差を描く 岡本充史監督初長編「笑えない世界でも」公開決定

 彩香、谷藤海咲らのコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■本優花役|彩香
川本優花という人物の一番の理解者でありたい。そんな思いを胸に、撮影に臨みました。撮影を重ねる中で、優花と自分が重なっていくような感覚が生まれました。
とても優しくて、不器用だけど、深い愛情を持った子、そんな彼女の姿に触れながら、一緒に支え合い、撮影をさせてもらいました。この作品が公開出来ること、キャスト、スタッフの方、作品に関わってくださった皆様、本当に感謝しています。この作品が、皆さまの心に何か少しでも届いたら嬉しいです。

■水川凛役|谷藤 海咲
私にとってチャレンジの作品でした。
声を出せない不自由の中で凛がもつ心の強さをどう表現できるかとにかく考えました。
コピーにもある「共感する人がいませんように」という願いにこの作品の優しさが詰め込まれています。その優しさを皆さんに触れていただける事をただ願っています。
少ない人数で作り上げたこの作品。だからこそ支え合ってみんなで作ったという想いがとても強いです。公開できる事を心から嬉しく思います。

■寺田英雄 役|野村 啓介
この映画は僕が参加した作品の中で最も現場のスタッフさんが少人数だった作品の一つです。足りない分は監督の熱量、主演のお二人の演技、そしてスタッフさんの愛情がカバーして出来上がった映画です。
 
自分自身はかつて演じたことのないキャラクターにかなりビビっていましたが、関わった皆さんのおかげで撮影 を完走できたこと、そして劇場公開が決まったことに改めて感謝したいと思います。

■音楽担当:横関 公太
登場人物の抱える孤独に静かに寄り添いながら、その中にほんのわずかに差し込む希望の光を描くことをテーマに作曲しました。 ピアノと弦楽器を中心に、不安や温もり、その揺らぎを大切にし、時には"間"や余韻も意識しながら、映画を観てくださった方の心に残る音楽となるよう、心がけています。 物語とともに、音楽も皆さまの心に響き、少しでも希望や温もりを感じていただけたら、嬉しく思います。

■監督・脚本・撮影・編集|岡本 充史
この作品は、エンターテイメントではないかもしれません。
多くの方々がポップコーンセットを持って集まる、 メジャー作品にはなれないかもしれません。
ですが、観てくださった方々の、頭に、人生にしばらく残る、強くて優しい、そんな作品になったと思っています。ご覧いただけましたら幸いです。

【作品情報】
笑えない世界でも
2025年10月17日(金)池袋HUMAXシネマズ他全国公開
配給:フリック
©日テレ アックスオン

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