高畑淳子「橋爪さんがずっとムスッと」　冷え切った関係を描き出すため　映画「お終活」で夫婦役

2021年05月11日 09:52

　熟年離婚寸前の夫婦と家族の騒動をコミカルに描いた映画「お終活　熟春！人生、百年時代の過ごし方」の完成披露報告会が、5月10日に都内で開催され、主演の水野勝、共演の剛力彩芽、松下由樹、高畑淳子、香月秀之監督が出席した。

　葬儀社の青年が案内した終活フェアをきっかけに、離婚秒読みの熟年夫婦が人生の整理に動きだす姿を描いた本作。橋爪功と高畑淳子演じる熟年夫婦に“お終活”を意識させる葬儀社の青年・菅野涼太を演じた水野は、大ベテランの2人との共演に、「緊張しました。恐縮でしたし、自分がどんな芝居を返すことができるのかと。でも撮影ではお二人の素晴らしい演技に引き出されたところがあり、自分を真摯に対等に扱ってくれる姿に感動しました。すべての時間が財産のような作品です」と、本作への思い入れを見せた。

　大原夫婦の一人娘である亜矢役の剛力は、橋爪と高畑との共演に「お二人が自然と私を娘にしてくれる空気を出してくださって、いい意味で役作りし過ぎず娘でいることができました。食事シーンも本当の家族として食べているのではないかと思うくらい、ナチュラルにできました」とベテラン勢の雰囲気作りに感謝を見せた。一方で高畑は「撮影では橋爪さんがずっとムスッとしてらして、口も聞いてくれませんでした」「でもそれも冷え切った夫婦関係を出す橋爪さんの作戦。面白い人を旦那に持ったなと、日本で唯一無二の旦那さんを持って幸せでした」と、にこやかに明かしていた。

　涼太の上司である桃井梓役の松下は「葬儀社の方々がどのように働いているのかセミナーを見学させていただいたりする中で、葬儀社に対するイメージも変わりました。終活について今知っておいて何ら損はないと思った」と役を通した価値観の変化を語り、同じ名古屋出身の水野とは「コミュニケーションも取っていただいて、上司と部下の関係でしたが、しっくりとやりやすく演じることができました」と共演を楽しんだ姿を見せた。

　香月監督は、「意外だったのは、映画を見た若い人たちが泣いているということ。若い人たちが見てくれる楽しさもある。そしてこのような時期に作品という子供が生れ、上映を迎えなければいけないことを前向きに捉えています。自分の中で最も思い出に残る作品になるはず」と、コロナ禍での公開に対する不安と期待を口にしていた。

　「お終活　熟春！人生、百年時代の過ごし方」は、熟年離婚寸前の真一（橋爪功）と千賀子（高畑淳子）の大原夫妻が、葬儀社に転職したばかりの菅野（水野勝）との交流などで変化していく姿を描いた作品。仕事や子育てが一段落した世代が自分の人生をどう豊かに生きていくかを、明るくコミカルに描いている。真一と千賀子の娘・亜矢役を剛力彩芽、菅野の上司で一級葬祭ディレクターの桃井役を松下由樹が演じている。