犬目線のローアングル 犬の聴覚を映画的に表現 「ストレイ 犬が見た世界」メイキング

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犬目線のローアングル 犬の聴覚を映画的に表現 「ストレイ 犬が見た世界」メイキング

 3月18日より劇場公開される、ほぼ全編が犬目線で撮影されたドキュメンタリー映画「ストレイ 犬が見た世界」から、2018年から2019年までの半年間に渡り、主人公となる犬のゼイティンを毎日追いかけたエリザベス・ロー監督たちによる、撮影メイキング風景の写真が公開された。

 公開されたメイキング写真では、犬の目線の高さのローアングルで犬たちを撮影する様子などが捉えられている。犬の目線での撮影についてロー監督は、「従来のものの見方や在り方に挑戦するには、うってつけの方法でした。撮影中は長い間屈んでいましたが、特に疲れるということはなかったです。寒い時期の早朝に、毎日毎日、重たい機材を背負って犬たちを追いかけるのは、大変な作業でしたが、山や街中で犬たちと一緒に過ごせたのは本当に素敵で、とても価値がある撮影だったと思っています」と語っている。

犬目線のローアングル 犬の聴覚を映画的に表現 「ストレイ 犬が見た世界」メイキング

 ほかにも、犬にマイクを近づけて録音をする様子も収められている。本作では、犬たちの世界を聴覚的にも再構成しようという試みが積極的になされている。「リヴァイアサン」「モンタナ 最後のカウボーイ」などのサウンドデザイナーであるアーンスト・カレルが、ロー監督とともに、世界で初めて犬の聴覚を映画的に表現。犬の音の聞こえ方が体感できるサウンドデザイン設計を行った。完成したサウンドは、多方向から音が聞こえ、街のノイズやくぐもって聞こえる人々の会話など、多種多様な音に満ちているという。

 サウンドについてロー監督は「私は犬がどのような、体験をしているのかを観客の皆さんに感じて欲しかったのです。人間の聴覚レベルに合わせてしまうと、それがブレてしまうので、そうならないように慎重に調整しました」と語っている。

 「ストレイ 犬が見た世界」は、殺処分ゼロの国トルコ・イスタンブールの街で暮らす野良犬たちを追ったドキュメンタリー映画。自然に人間と犬が共存生活を送っているイスタンブールで、自立心が強くいつも単独行動の犬ゼイティン、フレンドリーで人懐っこく街の人たちにあいさつを欠かさない犬ナザール、そしてシリア難民に寄り添う愛らしい表情の子犬カルタルが描かれる。ほぼ全編に渡って犬の目線と同じローアングルで撮影された。

【作品情報】
ストレイ 犬が見た世界
2022年3月18日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国順次公開
配給:トランスフォーマー
(C)2020 THIS WAS ARGOS,LLC

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