秘境の山に響き渡る伝統歌“ヤクに捧げる歌” 歌う女性に教えを乞う教師 「ブータン 山の教室」本編映像

映画スクエア

 現在公開中の、ブータンの秘境ルナナ村に都会から赴任した若き教師と村の人たちや子どもたちとの心の交流を描いた映画「ブータン 山の教室」から、本編映像が公開となった。

 公開された本編映像は、伝統歌“ヤクに捧げる歌”を山で歌うセデュと、主人公ウゲンが初めて出会うシーン。ウゲンに声をかけられたセデュは、「歌を万物に捧げているのよ。人、動物、神々、この谷の精霊たちにね」「オグロツルは鳴くとき、誰がどう思うかなんて考えない。ただ鳴く。私も同じ」と静かに語る。それを聞いたウゲンは思わず「僕に教えてくれないかな」とセデュに頼みこむ。辺鄙なルナナ村から早く都会へ戻りたいと考えていたウゲンの中に現れた変化が描かれている。

 本作が俳優デビュー作となるセデュ役を演じたケルドン・ハモ・グルンは、ブータンの首都ティンプーにあるレコードレーベルM-Studioに所属しており、美しい歌声を披露している。

 “ヤクに捧げる歌”は、ブータンで広く知られている伝統歌。パオ・チョニン・ドルジ監督は「この歌は、高地で暮らすヤク飼いの歌です。人生について多くのことを教えてくれると同時に、私たちが暮らす自然と大地への感謝も歌われています。さらに、仏教がいかなるものなのかも伝えています。輪廻転生などについても触れられているんです」と説明している。さらに、「私がこの歌を選んだのは、私たちが学ぶべき素晴らしい教訓は思いがけない場所から届く、ということを思い出してほしい、と考えたからです。ヤク飼いが歌う山の歌に、人生の教訓があるとはなかなか思わないでしょうからね」と語っている。

 「ブータン 山の教室」は、ブータンの秘境ルナナ村に都会から赴任した若き教師と村の人たちや子どもたちの心の交流を描いた作品。監督を務めるのは、写真家としても活躍するパオ・チョニン・ドルジ。本作が長編デビュー作となる。ブータン民謡が響きわたるルナナで暮らす実際の村人たちを登場させ、大自然とともにある日常に幸せを見つけて生きる大人たちや、親の仕事の手伝いをしながら“学ぶこと”に純粋な好奇心を向ける子どもたちの姿を映像美で描き出し、第93回アカデミー賞国際長編映画賞のブータン代表に選出された。

秘境の山に響き渡る伝統歌“ヤクに捧げる歌” 歌う女性に教えを乞う教師 「ブータン 山の教室」本編映像

【作品情報】
ブータン 山の教室
公開中
配給:ドマ
(c)2019 ALL RIGHTS RESERVED

  • 作品

ブータン 山の教室

公開年 2019年
製作国 ブータン
監督  パオ・チョニン・ドルジ
出演  シェラップ・ドルジ、ウゲン・ノルブ・へンドゥップ、ケルドン・ハモ・グルン、ペム・ザム
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