他者を想像することの難しさと大切さを描く カンヌ入賞・田中未来監督「シルバー・エクスプレス」製作決定

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他者を想像することの難しさと大切さを描く カンヌ入賞・田中未来監督「シルバー・エクスプレス」製作決定

 第78回カンヌ国際映画祭ラ・シネフ部門で「ジンジャー・ボーイ」が第3位に入賞した、田中未来監督の初長編作品「シルバー・エクスプレス」の製作が決定した。2026年度中の公開を目指している。

 「シルバー・エクスプレス」は、自分とは異なる環境や価値観を持っている「他者」を想像することの難しさと大切さをテーマにした、田中監督のオリジナル企画・脚本作。他者に恋愛感情を抱いたことがなく、恋愛経験がない智絵里(岡本ゆい)は、いつもどこか孤独で浮いている。近しい友達の由紀(中村里帆)など、対人関係もうまくいかないばかりか、恋愛映画を見ても登場人物に共感できず、親しい男友達・斉藤(山脇辰哉)からの好意にはうまく応えられない。そんな智絵里はある日、自分と同じように恋愛感情を抱かない男性の翔也(栗原颯人)と出会う。2人は意気投合し、「自分たちは一人じゃなかった」と喜び合う。しかし、限りなく似ている2人には、決定的な違いがあった。

 オーディションで抜擢された岡本ゆいが本作で映画初主演を果たし、田中監督の短編「ブルー・アンバー」で主演を務めた栗原颯人のほか、中村里帆、山脇辰哉、中井友望、高橋璃央、中島侑香、斉藤里奈、佐久間祥朗、大瀧慶祐らが出演する。

 撮影は12月上旬よりスタート。2026年度中の公開を目指して、製作支援クラウドファンディングを実施している。12月10日より、https://motion-gallery.net/projects/silverexpressで募集を開始する。

 田中監督のコメントも公開された。コメントは以下の通り。

◼︎田中未来(監督・脚本)コメント
本作は他者に恋愛感情を抱いたことがない主人公の物語ですが、根本的な焦点は、「自分と他者は違う」という部分です。他者を愛せない人もいるし、同性しか愛せない人もいる。人間自体が恋愛対象ではない人もいる。世の中には、さまざまなセクシュアリティを持った人々が暮らしています。セクシュアリティだけの話ではありません。動物を飼っている人には、その人にしか分からない生活リズムがある。新作映画を公開初日に観ることを優先して生きている人だっている。その人なりの価値観や生き甲斐があり、その人なりに暮らしています。その中で、自分とは違う「他者」の気持ちを想像することは、私たち人間がお互いを尊重し快適に暮らしていくために必要な力なんだと思います。本作は、自分とは異なる環境や価値観を持っている「他者」を想像することの難しさと大切さを描きます。

【作品情報】
シルバー・エクスプレス
配給:KeyHolder Pictures/SPOTTED PRODUCTIONS
©2026 SILVER EXPRESS Film Partners

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