1984年製作のデヴィッド・リンチ監督・脚本作「デューン/砂の惑星」が、「テアトル・クラシックス ACT.4 『デューン/砂の惑星』4Kリマスター版」として、2024年8月2日より全国順次公開される。どのようにしてデヴィッド・リンチが“偉大なる病的な映画”を撮り上げたかを紹介する。
「デューン/砂の惑星」は、砂虫(サンドワーム)など、「E.T.」のカルロ・ランバルディが手掛けた不気味なクリーチャー造形や、ハルコネン男爵ら登場人物の醜悪な容姿など、細部に至る”リンチ・テイスト”によって、映画ファンの間で長年カルトムービーとして崇拝されてきた。4,000着の衣装と70を超えるセットが作られ、600人を超えるスタッフと15,000人のエキストラが参加。4,000万ドル(当時のレートで120億円)という映画史上空前の製作費で撮られた圧巻の映像と、デヴィッド・リンチ監督の美学が詰まった伝説の超大作として知られている。
撮影は、メキシコシティのキュルブスコ・スタジオと、アメリカ国境近くのサマラユカ砂漠で行われた。連日40度を超える暑さの中での、ゴム製のスーツを着てのアクションは、想像を絶するものだったという。全部で16体が作られたサンドワームの製作だけに、1年の歳月と総額200万ドル(当時4億8千万円)もの製作費がかけられた。1体のサンドワームを作動させるには、最低6人のオペレーターが必要だったと言われている。
また、惑星アラキスのロケ地となったラス・アグイラス・ロハスは、火山の噴火でできた場所で、溶岩石や火山岩が露出しており、3週間以上にわたる夜間の撮影の期間中、扇風機がまわされ続け、火山灰と着色された白土を吹き飛ばしていた。全スタッフは、マスク、ゴーグル、ヘッド・カバーの着用が義務づけられ、砂がたまった台本は字が読めなかったという。スティル・スーツのデザインについて、リンチは「いかにも宇宙服というものや見た事があるものはダメ」と注文。スティル・スーツは、ゴムで作られた。着用すると非常に暑いゴム製のスーツによって、ジェシカ役のフランセスカ・アニスは、半日で1.2キロも体重が減ったという。
「デューン/砂の惑星」は、「キングコング」などを手掛けた大物プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスがデヴィッド・リンチ監督を起用し、多額の製作費を投じて、映像化不可能と言われたフランク・ハーバートによるSF大河小説の映画化に挑んだ作品。西暦10191年の、砂に覆われ、巨大な虫が支配する“デューン”と呼ばれる荒涼の惑星・アラキスが舞台で、アトレイデス公爵の息子・ポールを中心に、宇宙を支配する力を持つ「メランジ」と呼ばれるスパイスを巡り、覇権をめぐる勢力争いが描かれる。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、ティモシー・シャラメ主演よって映画化もされている。
【作品情報】
テアトル・クラシックス ACT.4 『デューン/砂の惑星』4Kリマスター版
2024年8月2日(金)より シネ・リーブル池袋 ほか全国順次公開
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