イスラムの大祭に湧く街 未婚の妊婦に陣痛が訪れる 「モロッコ、彼女たちの朝」本編映像

映画スクエア

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 8月23日より劇場公開される、第92回アカデミー賞のモロッコ代表に選ばれた映画「モロッコ、彼女たちの朝」から、未婚の妊婦であるサミアに陣痛が訪れるシーンの本編映像が公開された。

 公開された本編映像では、太鼓とバイオリンをかき鳴らすアラブ音楽奏者が通りを練り歩くなど、お祭り期間の街が活気にあふれ、パン屋の店主アブラもお祭りのにぎわいに心踊らせた姿を見せる。広場では逃げた羊の持ち主をめぐって女性たちが必死に言い争い、その姿にアブラ、サミア、スリマニの3人は思わず顔を見合わせて笑い合う。和やかな雰囲気が流れるが、突然サミアに陣痛が訪れ、気づいたアブラが心配する。楽しいお祭りのムードから一転して、シリアスな急展開となる。

 映像内で描かれている祭りは、7月19日から23日までの5日間に渡って行われる「イード・アル=アドハー」。日本語では「犠牲祭」とも呼ばれる、1カ月間の断食をする「ラマダン」明けの「ハリ・ラヤ」と並ぶ大祭である。この期間、人々は羊などの家畜の肉を親族や恵まれない人たちに分け与え、イスラムの精神である”互いを思いやる気持ち”を再確認する。

 「モロッコ、彼女たちの朝」は、地中海に面する北アフリカ・モロッコのカサブランカを舞台に、メディナ(旧市街)で生きる2人の女性を描いた作品。女手ひとつでパン屋を営むアブラと、未婚の妊婦サミア。孤独を抱えていた2人の心が、伝統的なパン作りによってつながり、やがて互いの人生に光をもたらしてゆく。監督を務めるのは、新星マリヤム・トゥザニ。過去に家族で世話をした未婚の妊婦との思い出をもとに、家父長制の根強いモロッコ社会で女性たちが直面する困難と連帯を、フェルメールやカラヴァッジョなどの西洋画家に影響を受けたという、質感豊かな色彩と光で描いている。

イスラムの大祭に湧く街 未婚の妊婦に陣痛が訪れる 「モロッコ、彼女たちの朝」本編映像

【作品情報】
モロッコ、彼女たちの朝
2021年8月13日(金)、TOHOシネマズ シャンテほかにて全国公開
配給:ロングライド
©︎ Ali n' Productions – Les Films du Nouveau Monde – Artémis Productions

  • 作品

モロッコ、彼女たちの朝

公開年 2019年
製作国 モロッコ、フランス、ベルギー
監督  マリヤム・トゥザニ
出演  ルブナ・アザバル 、ニスリン・エラディ
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