バリアフリー社会人サークル「colors」追う ドキュメンタリー映画「ラプソディ オブ colors」5月公開

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 障害の有無に関係なく集まった人々によるバリアフリー社会人サークル「colors」の500 日を切り取ったドキュメンタリー映画「ラプソディ オブ colors」が、5月29日より劇場公開されることが決まった。

 「colors」は、頚椎損傷と脳の血腫による障害者である石川悧々さんが代表を務める社会人サークル。大学教授の講義、音楽フェス、飲み会など毎月10本ものイベントに、年間800人が来場。発達障害、身体障害、音楽家、写真家、ただの呑んべえ、食いしん坊など、カラフルな参加者たち集う。

 「ラプソディ オブ colors」では、難病の百人一首シンガーの野望、脳性麻痺の元デリヘル嬢が悩む性と介助などが描かれていく。さらには、colorsが入居する建物の取り壊しが突然決まり、閉鎖へと追いやられる様子も描かれる。また、聖女とも魔女とも称される「colors」代表の石川悧々さんや、服はヨレヨレでだらしなさ満載な一方で、地域の障害福祉の立役者でNPO法人理事長の中村和利さんの姿も描かれている。

 監督を務めるのは、「kapiw とapappo ~アイヌの姉妹の物語~」で民族の中の個人を描いた佐藤隆之。「私の見ていた世界の狭さとコミュニケーション能力不足に愕然!」「障害や福祉のレクチャーではない"人間まるだし"な映画にしたかった」と制作を振り返っている。

バリアフリー社会人サークル「colors」追う ドキュメンタリー映画「ラプソディ オブ colors」5月公開

【コメント】

■石川悧々さん(colors代表)

「生きてる意味はなんだろう?」と、誰しも一度は自問するだろうが、それは障害者の場合には自問だけではなく、赤の他人から言われたりもする。健常者も障害者も「colors」の中で一緒になってゴチャゴチャと遊び、そして、その人たちの生活までも撮ったこの映画は、輝きと強さと、同時に非情な残酷さがあふれ出している。
「障害者を応援しよう」という映画を見慣れた皆さんには大変ショッキングな内容だが、それも含めて全部が現実だ。そんな丸裸のリアルを目の当たりにしたら、皆さんの心は必ず震える。そしたら「生きてる意味」の謎がちょっとは解け、障害者にその問いかけをするってことが何なのか、解るかもしれない。
自分を楽しむことの天才と、生きてることへの意味付けの天才が、この映画の中に何人も出てくる。
それは思うよりも楽で簡単に出来ることなんだと、この映画を観て感じてもらえたならば、私も映画の中で全てを丸裸にされた甲斐がある。

■佐藤隆之(製作・監督)
撮影開始当初の旗印は【アンチ感動ポルノ】だった。障害当事者や深く関わる人達は皆それに賛同してくれた。ほとんどの人たちがいわゆる【感動物語】に仕立て上げられることに抵抗感を感じていたのだ。
しかし、撮影を進めるうちにそんな旗印は私の中で次第に薄らいできた。眼の前の現実があまりに面白く、また予想以上の展開になって、そして私自身がその波に飲み込まれていったから。
2年弱の撮影と約1年の編集作業は平坦な道のりではなかった。ある出演者は編集後になって出演を拒絶し連絡がとれなくなった。またある聾の人には意図や計画をうまく伝えることができず、悔しさと自責に苛まれた。完成した作品も劇場公開が決まるまでには紆余曲折があった。意図せぬままにすべてがあるがままに流れ、その波に乗れたのは幸運としか言いようがない。その幸運はこの映画を観る人にもきっと繋がっていくと思う。

【作品情報】 
ラプソディ オブ colors
2021年5月29日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開
配給:太秦
© office + studio T.P.S

  • 作品

ラプソディ オブ colors

公開年 2020年
製作国 日本
監督  佐藤隆之
出演  石川悧々、中村和利、新井寿明、上田繁、Mayumi
作品一覧