佐古忠彦監督&大島新監督トークイベント 沖縄戦時の県知事・島田叡追うドキュメンタリー「生きろ 島田叡」

映画スクエア

佐古忠彦監督&大島新監督トークイベント 沖縄戦時の県知事・島田叡追うドキュメンタリー「生きろ 島田叡」
左:佐古監督、右:大島新監督

「生きろ 島田叡-戦中最後の沖縄県知事」の写真をもっと見る

 太平洋戦争中最後の沖縄県知事となった島田叡を追ったドキュメンタリー映画「生きろ 島田叡-戦中最後の沖縄県知事」が、現在劇場公開されている。本作を手掛けた佐古忠彦監督と、昨年劇場公開されたドキュメンタリー映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」の大島新監督のトークイベントが、2日に東京のユーロスペースで行われた。大島監督がインタビュアーを務め、「生きろ 島田叡」についてのトークが繰り広げられた。

 大島監督は、「作品を拝見しまして、佐古監督が前作の『カメジロー』と並行して、この『生きろ 島田叡』という重厚な作品を作られていたことに驚き、感服しました。ジャーナリズムにはいろいろな形がありますが、その人が取材しなければ分からなかった事実を伝える、いわゆる調査報道というジャンルになりますが、佐古さんがずっと追っかけて取材しなければこういう形にならなかった、本当にジャーナリズムの本質的なことをこの作品で見せていただいたと思い、頭が下がる思いがしました。(作中で描かれている戦中の個と組織の関係を考えた時)、今は戦中ほど苛烈な状況ではないと思うのですが、例えば総務省の問題ですとか、お役人の方々が、組織と個人の間で揺れていることってあると思うんですよね。そこに現代にも通じる部分、佐古監督の、現代の政治状況や社会状況に対する思いも感じられました」と、本作と佐古監督についての思いを明かした。

 対して佐古監督は、「(この作品に)これほど今日的なテーマが含まれているとは思っていませんでした。特に作り始めた最初の頃、官僚のニュースがこれほど大きくなるとは思ってもいませんでしたから。でもこうしてみるとコロナ禍の時代になってみると、リーダーの判断で私たちは日々右往左往させられるわけです。総理の判断も含めて。そこにリーダー論が見えてくる。戦中の話に戻れば、島田知事も牛島司令官も大田司令官もリーダー。それぞれの決断とその後に何を引き起こしたかということを見ていくと、リーダーとは果たしてどうあるべきか、ということを考えさせられますね」と、リーダー論について語った。

 「生きろ 島田叡-戦中最後の沖縄県知事」は、捕虜になるよりも玉砕こそが美徳とされた時代に、周りの人々に何としても「生きろ」と言い続けていたという島田に迫った作品。監督は、ドキュメンタリー映画「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」2部作で注目を集めた佐古忠彦が務め、知られざる沖縄戦中史にスポットを当てている。

【作品情報】
生きろ 島田叡-戦中最後の沖縄県知事
2021年3月6日(土)より沖縄・桜坂劇場 先行公開 3月20日(土・祝)より東京・ユーロスペースほか全国順次公開
配給:アーク・フィルムズ
ⓒ2021 映画『生きろ 島田叡』製作委員会

  • 作品

生きろ 島田叡―戦中最後の沖縄県知事

公開年 2021年
製作国 日本
監督  佐古忠彦
出演  (語り)山根基世 津嘉山正種 佐々木蔵之介
作品一覧