東日本大震災で大切な人を亡くした人の”心の復興”を描いた映画「漂流ポスト」が、現在劇場公開されている。10日に都内で、主演の雪中梨世と清水健斗監督が登壇したトークイベントが開催された。
東京での公開を迎えた思いを聞かれた雪中は、「この作品は、スタッフの皆さんが震災を風化させないという想いで作った作品なので、公開されて光栄です」と喜びを語った。清水監督は、「震災10年という年にこの作品が皆さんの目に届くところで上映できること、非常に嬉しく思っています。風化が叫ばれていますが、震災当時のことを思い出してもらえるように、この作品が伝わればいいなと思います」と思いを述べた。
漂流ポストに届いた手紙を実際に読んだという雪中は、「手紙に綴られている一文字一文字が、それまでに資料として見た映像や本だったりとは違う重みを感じました。それを見て、手紙を綴った方々の一歩を踏み出した勇気というのは、絶対に伝えていかなきゃなという覚悟の気持ちになりました。」、と当時の気持ちを明かした。また、「手紙を書くシーンでは、実際に撮影前に亡くした祖母に宛てて書きました。園美と同じ心情だったので、一文字一文字自分の思っていることを書くにつれて、やり場のない気持ちだったのが不思議と感謝に変わったんです」と、手紙を書くことで訪れた自らの変化について語った。
最後に雪中は、「この作品は、3.11を風化させないという大きなテーマがあるんですが、大切な人への思いを風化させないということにもなるんじゃないかと思います。この作品で一人でも多くの方が、大切な人へ想いを馳せる時間を過ごしていただければと思います」とメッセージを送った、自水監督は、「直接被災していないという方でも、何かしら影響を受けているでしょうし、そういう人たちが『忘れない』ということが僕らがやらなくてはいけないことなのではないかと思っていますので、この作品がその手助けになればと思っています」と映画に込めた思いを観客に伝え、トークイベントは終了した。
漂流ポスト
アップリンク渋谷他にて全国順次公開中
配給：アルミード
(c) Kento Shimizu
