元刑事・佐々木成三氏 「21ブリッジ」の橋封鎖 日本では「ちょっと難しいかなと(笑)」

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元刑事・佐々木成三氏 「21ブリッジ」の橋封鎖 日本では「ちょっと難しいかなと(笑)」

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 昨年8月に43歳の若さで逝去したチャドウィック・ボーズマン主演の映画「21ブリッジ」が、4月9日より劇場公開される。公開を前に、20日に都内でトークショーが開催され、元埼⽟県警察本部刑事部捜査第⼀課の佐々⽊成三⽒が登壇した。

 ボーズマン演じる主⼈公のアンドレ刑事について佐々木氏は、「エビデンスがあった上での事件捜査をしている。ちゃんと⾃分の⽬で⾒て確認するというのは、まず刑事として必ずしなければならないことなので、それを映画で⾒事に表現していました」と、アンドレ刑事の捜査を称賛した。

 警察官8⼈を殺害した凶悪犯を捕まえるために、ニューヨークのマンハッタン島にかかる21の橋すべての封鎖を決断したアンドレ刑事の戦略については「⾃分の同僚が8⼈も殺害されたことで、絶対にマンハッタンの中で捕まえてやるぞ︕という刑事としての意識の強さの現れだったと思います」とコメント。一方で、「あれを⽇本の警察ができたかというとちょっと難しいかなと(笑)」と語り、映画「踊る⼤捜査線THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ! 」を引き合いに、「レインボーブリッジだけでもあれだけ多くの警察官が必要になってくるので、全部の橋を封鎖したらどれだけの警察官やパトカーが必要なのかなと感じると、現実的ではないのかなとは思います」と語った。

 劇中では、アンドレ刑事が犯⼈の頭脳明晰ぶりに気づき、説得しようと試みる様⼦が描かれる。佐々⽊氏は「(アンドレ刑事は)『こいつは話をすればわかるやつだ』という⼈を⾒る⽬をしっかり持っていて、今までに凶悪犯を射殺したという部分もちゃんと⾃分の中で判断をして実⾏していた」と分析。こうした犯⼈と刑事のやりとりについては、「凶悪犯と話をする時に⼤切なのは”共感する”ことなんです。⽇本でもネゴシエーターという交渉⼈がいるんですが、ああいった場⾯でどれくらい犯罪者に今の状況を客観視させることができるか、というのがとても⼤切なんです。アンドレの交渉は100点満点です」と太鼓判を押していた。

 「21ブリッジ」は、マンハッタン島で起きた8人の警察官が殺害された強盗殺人事件を追う刑事のアンドレを描いた作品。昨年8月に逝去したチャドウィック・ボーズマンの最後の劇場公開主演作となった。内容にほれ込んだボーズマンは、プロデューサーも兼任している。「アメリカン・スナイパー」などのシエナ・ミラーや、「セッション」でアカデミー助演男優賞を受賞したJ・K・シモンズらも出演している。

【作品情報】
21ブリッジ
2021年4⽉9日全国ロードショー
配給:ショウゲート
©2019 STX Financing, LLC. All Rights Reserved.

  • 作品

21ブリッジ

公開年 2019年
製作国 中国・アメリカ
監督  ブライアン・カーク
出演  チャドウィック・ボーズマン、シエナ・ミラー、テイラー・キッチュ、J・K・シモンズ
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