顔の半分は人間、もう片方はタコ ”新生物”がスーパーで大暴れ 「動物界」本編映像

映画スクエア

 2024年11月8日より劇場公開される、2023年度のセザール賞で最多12部門のノミネートを果たしたフランス映画「動物界」から、軟体“新生物“がスーパーで大暴れするシーンの、本編映像が公開された。

 輸送中の事故により失踪した妻・ラナを探すフランソワ(ロマン・デュリス)と、事故がきっかけでフランソワに協力することになった憲兵隊のジュリア(アデル・エグザルコプロス)。2人が居合わせたスーパーマーケットで、「新生物がでた」という騒ぎが起きる。その新生物こそラナではないかとフランソワは期待するが、鮮魚売り場で顔を見せたのは、顔の半分は人間、もう片方はタコのような”新生物だった。緊迫したにらみ合いのあと、すきをついて逃げだした新生物をジュリアが追いかける。

 タコのような新生物は、腕が滑らかに動く様子がリアルに仕上がっている。この新生物のアイディアについて監督は、「もともとタコと人間をハイブリッドしたキャラクターを脚本にも描いていたのだけど、偶然目にしたダンサーの動画を参考に動きをイメージしていったんだ。爪を見せない動きを何年間も訓練した人で、しなやかで滑らかな動きがまるで軟体動物のようだった。実際に会って、一緒に作業をしながらタコ人間を作っていった」と明かしている。

 さらにリアルな腕の動きの秘密については、「初めのうちは人工関節を使っていたんだけど、途中からアニマトロニクスで腕を作ることにしたんだ。でも実際に物を投げているのはスタッフたちさ。手作りのものから高度なテクノロジーまで総動員して、幅広い手法を用いて撮影するのが面白かった」と、工夫を重ねた撮影を振り返っている。

 「動物界」は、人間がさまざまな動物に変異する奇病がまん延している近未来を舞台とした作品。原因不明の突然変異によって、人類は徐々に体が動物と化していくパンデミックに見舞われる。“新生物”は、その凶暴性ゆえに施設で隔離されており、フランソワの妻ラナもそのひとりだった。しかしある日、移送中の事故によって、彼らが野に放たれる。フランソワは16歳の息子エミールとともにラナの行方を必死に探すが、次第にエミールの体に変化が出始める。人種差別、移民、ルッキズム、感染症など、現代的なテーマを内包した作品となっている。

 最愛の家族を守り抜こうとするフランソワを演じるのは、「真夜中のピアニスト」「彼は秘密の女ともだち」などのロマン・デュリス。イレーヌ・ジャコブを父に持つポール・キルシェが、少しずつ動物化していくエミールの心の叫びを体現する。さらに、「アデル、ブルーは熱い色」のアデル・エグザルコブロスらが出演している。監督・脚本を務めたのはトマ・カイエ。

顔の半分は人間、もう片方はタコ ”新生物”がスーパーで大暴れ 「動物界」本編映像

【作品情報】
動物界
2024年11月8日(金)より、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷他にて公開
配給:キノフィルムズ
© 2023 NORD-OUEST FILMS - STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINÉMA - ARTÉMIS PRODUCTIONS.

作品一覧