「キーパー ある兵士の奇跡」 ローゼンミュラー監督 伝説のキーパー トラウトマンを通して描きたかったこととは

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「キーパー ある兵士の奇跡」 ローゼンミュラー監督 伝説のキーパー トラウトマンを通して描きたかったこととは

 

 本日(10月23日)より公開されている「キーパー ある兵士の奇跡」の監督を務めるマルクス・H・ローゼンミュラーとプロデューサーのロバート・マルチニャックのインタビューが編集部に到着。ローゼンミュラー監督は、最も描きたかったテーマとして、「スポーツというものが、敵国同士が和解するために重要な役割を果たしたこと」などを挙げた。
 

 「キーパー ある兵士の奇跡」は、第二次世界大戦で捕虜としてイギリスの捕虜収容所に送り込まれたナチスの兵士バート・トラウトマンが、終戦後にイギリスとドイツを結ぶ平和の架け橋となり、やがて国民的ヒーローとして敬愛されたという実話から生まれた物語。トラウトマンが、いくつもの逆境に立たされながらも、唯一自分にできる”素晴らしいプレー”を貫くことで、人々に勇気を与える姿を描いている。

 
 監督を務めたのは、ドイツ出身のマルクス・H・ローゼンミュラー。初めての長編映画「Grave Decisions」(2006)でミュンヘン映画祭監督賞などを受賞。その後、「Little White Lies」(2009) でドイツ映画批評家協会賞最優秀作品賞にノミネート、「Double Trouble and the Magical Mirror」(2019)でイタリアのジッフォーニ映画祭最優秀作品賞にノミネートされ、世界から高い評価を得ている。本作では、バイエルン映画祭で最優秀作品賞に輝き、サンフランシスコ・ユダヤ映画祭、セドナ国際映画祭、シネ・サン・フロンティア映画祭など各国の映画祭で観客賞受賞を果たしている。
 

 「キーパー ある兵士の奇跡」は、10月23日(金)より、新宿ピカデリーほかで上映中。

 

「キーパー ある兵士の奇跡」 ローゼンミュラー監督 伝説のキーパー トラウトマンを通して描きたかったこととは


  
【インタビュー】

─バート・トラウトマンの存在を知ったのはいつですか?

ロバート:ヨーロピアンフットボールチャンピョンシップでチェコ代表チームのペトル・チェフ選手が試合中に頭蓋骨を損傷し、頭を守るヘルメットをつけているのを見た時、トラウトマンの話を思い出しました。これは映画にするべきだとひらめき、監督に話を持ちかけ、企画を立ち上げた。初めてトラウトマンと会ったのは、2008年に彼がニューレンベルグでドイツのスポーツメダルを受賞した時。トラウトマンからも快諾を得て、スペインに住む彼を訪ねて1週間の取材を行いました。

 

─どうしてトラウトマンの映画を作ろうと思ったのでしょうか?

マルクス監督:素晴らしいスポーツマンシップの話に惹かれたけど、それだけじゃない。人間社会を描いていること、そして和解と愛の物語であることに感動したからです。

 

─ドイツとイギリスでの公開時の反応はいかがでしたか? 海外も含め、印象的なエピソードがあったら教えてください。

ロバート:マルクス監督と私は、ドイツとイギリスの映画館をまわり、驚くほどたくさんの賞賛や感謝を受けました。ドイツで最も重要な賞であるバイエルン映画賞をはじめ、ディナール英国映画祭ではゴールデン・ヒッチコック賞(最優秀作品賞)を受賞し、国内外でも多くの賞を受賞したことに誇りを持っている。イスラエル、オーストラリア、そしてニュージーランドでの公開も成功しました。

 

─トラウトマンのご家族の反応はいかがでしたか?

ロバート:トラウトマンの2人の息子を、イギリスでのプレミアに招待し、80歳以上になるマーガレットの妹、バーバラも映画を鑑賞したよ。全員が家族の物語に感動したと、絶賛してくれました。

 

─トラウトマンの1番の魅力はどこでしょうか?

ロバート:トラウトマンは、「骨折しながらプレーを続けたゴールキーバーとしてだけで名を残したくはない」と言っていたんです。引退後、彼は2つの財団に所属し、移民の若者がサッカーを通して、環境に馴染めるよう手助けをする活動をしていた。彼はドイツから名誉賞を、イギリス政府からも大英帝国勲章(OBE)を授与されている。私たちの映画は、サッカー選手の人生を描いているだけでなく、罪、許し、そして和解がテーマなんです。

 

─監督として、最も描きたかったテーマは何ですか?

マルクス監督:様々な意味で明確な映画です。敵だった人物が、国民的ヒーローになる。それは、スポーツというものが、敵国同士が和解するために重要な役割を果たしたことも示しています。和解を描くには、罪を認め謝罪する側、その謝罪を受け入れる側の両方を描くことが必要です。個人の行動に対する責任感も大事だけど、傍観者でいることが罪になることにも目を向けなければいけない。私にとってもう一つ大切なのは、この完璧ではない世界で葛藤しながら、それでも平和な世界を切望する人々を描くことでした。

 

 

監督:
マルクス・H・ローゼンミュラー

出演:
デヴィッド・クロス「愛を読むひと」
フレイア・メーバー「サンシャイン/歌声が響く街」
ジョン・ヘンショウ「天使の分け前」
デイヴ・ジョーンズ「わたしは、ダニエル・ブレイク」

ⓒ2018 Lieblingsfilm & Zephyr Films Trautmann

 

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