松沢環はミッション系お嬢様学校へ通い、幼なじみの佐伯美鈴らと富裕層らしい日常を過ごしているが、父の会社が倒産し引っ越すことになる。友人らにはそのことを言えない環は、ずっと続けてきたバレエも辞めることとなり、明日が見えないでいる。行き場のない思いを抱える環は、ふと聞こえてきた音の振動に吸い寄せられ、たどり着くとそこで新島マリアが和太鼓をたたいている。初めてその音の豊かな響きを体感する環。マリアは声帯損傷で言葉が話せなかったが、積極的に誰にでも接する明るさを持っている。和太鼓が言葉そのもののマリア。それ以来、和太鼓のことがなぜか頭から離れない環は、和太鼓プロ集団・雷鼓音のコンサートを見に行く。そこで高校生の江森司が大人に混じって圧巻の演奏を見る。暗い底に沈んでいた環の心は徐々に動かされていき、和太鼓部の扉を開く。

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