小説家の訪問

カナダのモントリオールに住むパイ・パテルは、カナダ人小説家の訪問を受ける。インドについての小説を書こうとして挫折した小説家は、偶然カフェで知り合いになったパイの知り合いから紹介され、大学で宗教を教える教授であるパイの元を訪ねたのだった。パイは小説家を自宅に入れ、過去を話し始める。

名前の由来

パイは、インドのフランス領ポンディシェリで生まれ、フランス語でプールを意味する「ピシン」と名づけられる。だが、「ピシン」はおしっこを意味するため、自らパイと名乗るようになる。父は動物園を経営している。パイは、ヒンドゥー教、キリスト教、イスラム教を同時に信仰するようになり、そんなパイに父は批判的だが、母は擁護してくれる。

トラの恐ろしさ

ある日、動物園で飼われているトラのリチャード・パーカーに興味を持ったパイは、エサの肉を手に持ってオリに手を入れる。それを見た父は怒り、パイにトラの恐ろしさを教えるために、生きたヤギを襲う姿を見せる。それから退屈な日常を送るようになったパイ。16歳になり、アーナンディという女性に恋をする。

移住

パイの父は、動物園を閉鎖してカナダへ移住することに決める。パイはアーナンディと再会を約束して別れる。カナダで売るために動物を乗せた日本の貨物船「ツィムツーム」で、パイの家族はカナダに向かう。元気のないパイを、母が励ます。貨物船では、ベジタリアンを理解せず人種差別的な発言をするコックと、パイの父が口論となる。

沈没

マニラを出港して4日目。貨物船は悪天候に襲われる。パイがデッキに出ている時に、貨物船は沈没しはじめる。船室で寝ていた両親や兄と離ればなれになったパイは、救命ボートで脱出する。救命ボートには、シマウマ、オランウータン、ハイエナ、そしてトラのリチャード・パーカーが乗ってくる。動物たちは打たれていた鎮静剤の影響で最初はおとなしい。

生き残ったパイとトラ

ハイエナがシマウマとオランウータンを殺してしまう。だが、そのハイエナはトラのリチャード・パーカーに食い殺されてしまう。救命胴衣、浮き輪、オールでイカダを作ったパイは、ボートとロープでつないだイカダに移り、リチャード・パーカーから身を守るために距離を取る。パイは、飲料水と食料を見つけ、イカダへと移す。これからどうなるのか分からず、パイは途方に暮れる。

トラを殺すチャンス

リチャード・パーカーを飼いならそうと考えたパイは、ボートを揺らしてリチャード・パーカーを船酔いさせ、船に乗り込んで小便をする。だが効果はなく、リチャード・パーカーに小便をかけられてしまう。その後パイは、肉食のリチャード・パーカーの飢えを満たすために魚を釣ってやろうとする。その時、リチャード・パーカーが魚を追って海に落ちる。リチャード・パーカーがボートに上がれなくなり、パイはリチャード・パーカーを殺すチャンスを得る。だが、リチャード・パーカーを殺すことはできず、ボートに上げてやる。

訓練

ある夜、巨大なクジラが海面をジャンプし、着水で起こった波によってイカダに乗せていた食料や飲料水が海の底に沈んでしまう。その後、トビウオの大群に出会い、多くのトビウオがボートに飛び込んでくる。こうして食料を得たパイは、エサを使ってリチャード・パーカーを訓練することを思い立つ。苦労の末、リチャード・パーカーはある程度の命令を聞くようになる。

生きる目的

航行する船を見つけたパイは、急いで発煙筒をたくなどして合図を送るものの、船は気づかないで通り過ぎてしまう。リチャード・パーカーと海を漂流するうちに、パイはリチャード・パーカーがいなければ早くに死んでいたと考えるようになる。パイにとって、リチャード・パーカーの世話をすることが生きる目的となっていた。ある夜、ボートを嵐が襲う。イカダも流されてしまうなどの被害が出るものの、パイとリチャード・パーカーは何とか生き残る。

衰弱したパイとリチャード・パーカーを乗せたボートは、島に流れ着く。植物を食べて息を吹き返すパイ。島には大量のミーアキャットがいる。夜になり、木の上で眠ろうとしたパイは、淡水だった池が酸性となって魚を溶かしていることに気づく。さらに、咲いている花の中に人間の歯を見つけたパイは、島全体が肉食性であることに気づく。

救助

命の危険を感じたパイは、リチャード・パーカーとともに再びボートで海に出る。ボートはついにメキシコの海岸に漂着する。リチャード・パーカーは、パイの方を振り返りもせず、ジャングルへと消えていく。メキシコ人に助けられたパイは、リチャード・パーカーがあっけなくいなくなったことが悲しくて、子供のように泣きじゃくる。

もう1つの話

病院に入院したパイの元に、日本の保険会社の調査員が事故の調査のために現れる。リチャード・パーカーと漂流した出来事を話すパイだったが、調査員は信じない。パイはもう1つの話をする。救命ボートにはパイの母、コック、船員がいたが、コックは船乗りを食べて母を殺す。その後、パイはコックを殺して生き残ったという話である。

報告書

カナダ人小説家は、パイの話に戸惑いを隠せない。パイはどちらの話が真実かは伝えず、小説家に委ねる。リチャード・パーカーと漂流した話のほうが「良い話」と語るカナダ人小説家。小説家が保険会社の報告書を開くと、そこにはリチャード・パーカーとの漂流の話が記録されている。保険会社は、リチャード・パーカーとの話を選んだことが明らかになる。

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