マルセイユ近郊の港町舞台に、3兄妹が人生を変えた出会いを描く 「海辺の家族たち」監督インタビュー

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マルセイユ近郊の港町舞台に、3兄妹が人生を変えた出会いを描く 「海辺の家族たち」監督インタビュー

 5月14日から劇場公開される「海辺の家族たち」から、ロベール・ゲディギャン監督のオフィシャルインタビューが公開された。

 自身が生まれ育ったマルセイユを舞台に、労働者階級や移民など社会的弱者の人生を温かなまなざしで見つめ続け、「フランスのケン・ローチ」と評されるロベール・ゲディギャン監督。「海辺の家族たち」では、父との最期の日々を過ごすため、かつての別荘地のにぎわいを失ったマルセイユ近郊にある海辺の家に集まった3人の子どもたちが、過去にとらわれて絆を見失い、明日へと踏み出せない中、漂着した難民の子どもたちとの出会いによって人生を変えていく姿を描いた。

 この映画の登場人物、ジョゼフとアルマンドとアンジェラの3兄妹について監督は、「彼らの全員が、過ぎ去りゆく時代、変わりゆく世界を敏感に察知する、そんな人生の時期にある。彼らが切り開いてきた道が、徐々に閉ざされてゆく。それらの道は絶えず維持してゆかなければならない…あるいは新たな道を切り開く必要がある」と語っている。

 そんな兄妹たちが未来を切り開くきっかけとなったのが、難破したボートから逃れ生き延びた難民の子どもたちとの出会い。監督は「私はこの出会いを信じる。“グローバリゼーション”には、必然的に未来とつながる何かがある。大げさな言い方になるが、今日、難民について語ることなしに映画を作ることはできない、と私は考える。私はあえて、“難民”という言葉を選んだ。原因が気候変動だろうと、他の理由だろうと、あるいは戦争のせいだろうとかまわない。彼らは安全、住まいを求めてやってきている。3人の子どもたちがやってきたことで、もしかしたら入り江は蘇るのではないか。アンジェラ、ジョゼフ、アルマンドは3人の子どもたちを育てるためにそこに留まり、レストランと山腹のコミュニティと自分たちの世界観を生きながらえさせる努力をするつもりだ。そして何人かの人々のつながりを保ち、それにより平和を保とうと」と、本作で描こうとしたことを明かしている。

【作品情報】 
海辺の家族たち
2021年5月14日(金) キノシネマみなとみらい・立川・天神 ほか全国順次公開
配給:キノシネマ
© AGAT FILMS & CIE – France 3 CINEMA – 2016

  • 作品

海辺の家族たち

公開年 2016年
製作国 フランス
監督  ロベール・ゲディギャン
出演  アリアンヌ・アスカリッド、ジャン=ピエール・ダルッサン、ジェラール・メイラン
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