手作りの舟とモリ1本でクジラに挑む、伝統の捕鯨を続けるインドネシアの村を追う 「くじらびと」公開決定

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手作りの舟とモリ1本でクジラに挑む、伝統の捕鯨を続けるインドネシアの村を追う 「くじらびと」公開決定

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 伝統の捕鯨を続けながら暮らすインドネシア・ラマレラ村の⼈々を追ったドキュメンタリー映画「くじらびと」が、9月3日より劇場公開されることが決まった。

 「くじらびと」で描き出されるのは、人口1500人のインドネシア・ラマレラ村。”太陽の土地”を意味するこの村では、巨大クジラに挑むラマファ(モリ打ち)が尊敬を集めている。手作りの舟とモリ1本で、マッコウクジラに挑むラマファ。命がけの漁で得た獲物が、村人の命を支えている。400年も変わらぬ伝統の捕鯨を続け、自然とともに生き、命に感謝し、祈りをささげて生きる人々の姿が収められている。

 本作を手がけたのは、「世界でいちばん美しい村」でネパール大震災後も懸命に生きる人々を捉えた、写真家で映画監督の石川梵。ライフワークとして30年間に渡りラマレラ村の人々を追い続け、彼らの生き方への深い理解と互いの信頼関係を長い時間をかけて築いてきた石川監督は、2017年から 2019年までの3年間に撮影した映像を、「くじらびと」として結実させた。本作では、世界で初めてラマレラでの鯨漁の空撮と水中撮影に成功。ドローンやGoProで撮られた映像から、海中のクジラの様子や舟との対比を見ることができる。

 石川監督は本作について、「30年を経た今もくじらびとは私を魅了してやまない。そこには大自然の懐に抱かれ、恵みに感謝し、和を尊び、謙虚に生きるあまりに美しい人々の姿があるからだ。その姿が消え去る前に記録として残さなければいけない。それが 30 年関わった私の使命だと思った」「この映画は、私たちにとって、鯨漁の凄さだけではなく、人はいかに生きるべきか、環境や自然とどう向き合うべきかという非常に重く大事なことを語りかけてくれると信じている」と、本作への思いを明かしている。

 あわせて公開されたポスタービジュアルでは、ラマレラのラマファがモリ一本を持ち、水面下の マッコウクジラに飛びかかっていこうとする瞬間が捉えている。また、本作のオフィシャルサポーターである映画監督の山田洋次による、「インドネシアの小さな島に何年も通って作り上げたこの作品を見ていると、美しい映像から吹き出す石川監督のすさまじいエネルギーにぼくは圧倒される。」の言葉が添えられている。

【コメント】

■監督:石川梵

1991年に写真家だった私は勇壮な鯨漁に魅了され撮影を始めた。撮影は過酷を極め、初めて鯨漁に出会うまで4年、作品になるまで 7 年かかった。しかし 30 年を経た今もくじらびとは私を魅了してやまない。そこには大自然の懐に抱かれ、恵みに感謝し、和を尊び、謙虚に生きるあまりに美しい人々の姿があるからだ。その姿が消え去る前に記録として残さなければいけない。それが 30 年関わった私の使命だと思った。そして今、それがこの映画「くじらびと」という形で結実した。この映画は、私たちにとって、鯨漁の凄さだけではなく、人はいかに生きるべきか、環境や自然とどう向き合うべきかという非常に重く大事なことを語りかけてくれると信じている。

【作品情報】
くじらびと
2021年9月3日(⾦)より新宿ピカデリーほか全国公開
配給:アンプラグド
©Bon Ishikawa

  • 作品

くじらびと

公開年 2021年
製作国 日本
監督  石川梵
出演  
作品一覧