ラス・ピエドラスの町
ベネズエラのラス・ピエドラス。暑さにうだりながら、仕事のない男たちが酒場に集まってくる。食いつめ者の男たちを、店主のエルナンデスは追い払う。男たちの1人であるフランス人のマリオは、酒場で働くリンダに好かれている。飛行機が到着し、エルナンデスに雇われているビンバが郵便を取りにトラックを走らせる。アメリカへの飛行機に乗せてくれるパイロットを探すベルナルドも同乗する。
ジョーが町に
パリッとした身なりのフランス人男性ジョーが、飛行機から降り立つ。賄賂を入国審査官に渡したジョーは、タクシーで町に向かう。町でマリオの口笛を聞いたジョーは、同郷と気づいて声をかけ、すぐに友人となる。ジョーは、ホテル兼酒場を経営するエルナンデスに上等の客と思わせて、タクシー代を払わせる。ジョーと親しくなったことで、マリオは運が向いてきたと考える。
親しくなるジョーとマリオ
マリオはジョーに、町には仕事がないこと、町を出る手段は飛行機だけだがチケットが高額なこと、アメリカの企業であるSOCが油田を所有していることを説明する。SOCの現地責任者であるビル・オブライエンを知っているジョーは、オブライエンを訪ねて仕事を求めるものの追い返される。ジョーといつも一緒にいるマリオは、恋人のリンダに冷たくし、居候させてもらっているルイージの服をジョーに無断で貸したために家から追い出される。
ジョーとルイージの対立
夜、酒場に現れたルイージは、マリオやジョーを無視し、他の者たちにシャンパンをおごろうとする。ラジオの曲に合わせてリンダと踊るルイージだったが、ジョーがラジオのコードを引き抜く。さらにジョーはシャンパンをルイージたちの顔にかける。ボトルでジョーを殴ろうとするルイージだったが、ジョーに銃を突きつけられて酒場から出ていく。
油田で火災が発生
SOCの油田で事故が起こり、大規模な火災が発生する。鎮火のためにはニトログリセリンによって巨大な爆風を起こすしかないと考えたオブライエンは、ニトロをトラックで運搬する者を募集する。報酬が2,000ドルと知った食いつめ者たちが応募し、運転のテストが行われる。じん肺のために医者から1年の命と宣告されたルイージも応募する。テストの結果、マリオ、ルイージ、ビンバ、スメルロフが合格する。不合格となったことに納得がいかないジョーに、オブライエンは「年齢の問題」と説明する。
ニトログリセリンを載せたトラック
夜明け前の3時の出発まで、マリオたちは酒場で過ごす。マリオ、ビンバ、ルイージがオブライエンのオフィスに集まるが、スメルロフが来ない。するとそこにスメルロフの代わりにジョーが姿を現す。ジョーがスメルロフを来られないようにしたことに気づきつつ、オブライエンはジョーを代わりの運転手にする。2台のトラックにニトログリセリンが積み込まれ、マリオとジョーのトラックが先に出発し、ビンバとルイージのトラックが30分遅れで出発することになる
出発
マリオとジョーのトラックが出発する。マリオを心配するリンダがゆっくり走るトラックに飛びつき、行かないように懇願するが、マリオに追い払われる。ジョーの運転は非常にゆっくりで、後ろを走るルイージのトラックに追いつかれそうになる。急かすマリオだったが、ジョーは具合が悪くなったために車を止める。後ろから来たルイージたちのトラックが先を進むことになる。
悪路
路面がデコボコの悪路に差し掛かる。ある程度のスピードを出さなければ振動で爆発してしまう恐れがある道を、ルイージとビンバのトラックが通過する。だが、エンジンの不調から、悪路の途中で止まって整備をする。一方、怖気づいたジョーがスピードを出せないことがわかったマリオは、ジョーと運転を代わる。
追突の危機
悪路をゆっくりとしか走れなくなったことを知らせるため、ルイージがハンカチを目印に置いていく。だがハンカチは通りがかった男が取ってしまう。スピードを出して走るマリオの運転するトラックが、ルイージたちのトラックに追突しそうになる。だがギリギリのところで悪路が終わったためにルイージのトラックがスピードを出せるようになり、難を逃れる。
吊り棚
山道を走るルイージたちのトラックが、木で作られた吊り棚を使って転回する。だが、腐っていた吊り棚の一部が壊れてしまう。続いてやって来たマリオは腐っていない狭い部分を使って転回しようとするが、ジョーはこわがって反対する。ジョーが逃げてしまったため、マリオは1人でやらなければならなくなる。ワイヤーが外れて吊り棚が落ちてしまうものの、ギリギリのところでトラックは転回に成功する。マリオはジョーを再びトラックに乗せるが、逃げたことを責める。
巨大な落石
先を進んだルイージたちのトラックは、巨大な落石に道をふさがれる。万事休すと思われたが、ビンバがニトログリセリンで爆破することを思いつく。マリオが落石に鉄の棒で穴を開け、ビンバが積んでいるニトログリセリンを別の容器に移す。そこにマリオたちのトラックが追いついてくる。ビンバは、落石の中にニトログリセリンを流し込み、ハンマーをつるして導火線とつなげ、ハンマーが落ちることで爆発するようにセットする。
落石を爆破
導火線に火がつけられるが、ビンバがトラックの位置が近すぎると指摘する。ルイージは急いで火を消しに向かうが間に合わない。すさまじい爆発が起こり、トラックに石が降り注ぐ。マリオとビンバは倒れたルイージを発見。死んだかと思われたルイージが生きていることが分かって大喜びし、3人で岩のあった場所に小便をする。ジョーは仲間に入れてもらえない。
石油の池
再び出発したルイージとビンバのトラックが、爆発を起こしてしまう。爆発を遠くから見たジョーは恐れをなして逃げ出そうとするが、ジョーが殴って連れ戻す。爆発を起こした場所にたどりつくと、パイプラインが壊れており、流れ出た石油が池を作っている。池に入ってトラックを先導するジョーが転倒してしまうが、止まると発進できなくなる恐れから、マリオはそのままトラックを走らせる。トラックはジョーの足をひいてしまう。だがトラックは途中で止まってしまう。
ジョーの死
石油の池から引き上げられた重傷のジョーが痛みに耐える。マリオは石油まみれになりながら杭とトラックのタイヤをロープで結びつけ、トラックのエンジンをかける。何とか石油の池から出たトラックにジョーを乗せて走り出すが、ジョーは瀕死の状態にある。ジョーにパリの話をして元気を出させようとするマリオだが、ようやく油田に到着した時には、ジョーは息を引き取っている。
帰り道
油田で消火活動にあたる作業員から英雄として迎えられたマリオは、疲れ切って倒れ込む。目を覚まして報酬を受け取ったマリオは、トラックで山道を降りる。マリオが戻ってくる連絡を受けたリンダは、ラジオから流れる音楽に合わせて、酒場の客たちと踊る。同じ曲をカーラジオで聞きながら笑顔でトラックを走らせるマリオは、カーブを曲がりきれずにガケから落ちてしまう。マリオの死体の手にはパリの地下鉄の切符がある。
人物 1
恐怖の報酬
俳優:イヴ・モンタン
マリオは、ジョーを相棒にニトログリセリンをトラックで運ぶ、映画「恐怖の報酬」の登・・・ 場人物。フランス領コルシカ島の出身で、パリにいたこともある。ベネズエラのラス・ピエドラスにやって来たが、仕事もなく、暑い中を酒場で時間をつぶしている。酒場のリンダからは、タバコを融通してもらうなど好かれている。建設現場で働く友人のルイージの・・・
人物 2
恐怖の報酬
俳優:シャルル・ヴァネル
ジョーは、マリオを相棒にニトログリセリンをトラックで運ぶ、映画「恐怖の報酬」の登・・・ 場人物。フランスのパリ出身。裏の仕事をし続けてきた。事情は明かされないが、逃げるようにベネズエラのラス・ピエドラスに飛行機で現れ、入管の職員に賄賂を渡して入国する。だが、賄賂で現金をすべて使い切ってしまい、同じフランス出身のマリオからのアド・・・
人物 3
恐怖の報酬
俳優:フォルコ・ルリ
ルイージは、ビンバを相棒にニトログリセリンをトラックで運ぶ、映画「恐怖の報酬」の・・・ 登場人物。多くの男たちが仕事にあぶれている中、建設現場で肉体労働の仕事をしており、マリオに部屋を貸してやっている。だが、ジョーを慕うようになったマリオが無断で自分のズボンをジョーに貸したことに怒り、家から追い出す。その夜、酒場に現れてジョー・・・
セリフ・名言 1
恐怖の報酬
0:22:00頃
マリオがジョーに、ベネズエラのラス・ピエドラスのことを説明する・・・ 時の言葉。他の町に移動する手段は飛行機しかなく、飛行機代を作れない者はとどまることしかできない。仕事のない多くの者が町にとどめ置かれている。
・・・
セリフ・名言 2
恐怖の報酬
0:35:55頃
酒場でジョーとルイージがもめる。ボトルを持ってジョーを殴ろうと・・・ するルイージだったが、ジョーから銃を腹に突きつけられ、酒場から出ていく。そんなルイージにジョーがぶつける言葉。だがこのあと、ジョーの弱い面がさらけ出されることになる。
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セリフ・名言 3
恐怖の報酬
0:49:25頃
油田の火災を鎮火するために、ニトログリセリンが火災現場にトラッ・・・ クで運ばれることになる。運転手に応募したジョーだったが、旧知のオブライエンによって落とされる。オブライエンに年齢を理由に落とされたジョーだったが、諦めない。
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音楽 1
恐怖の報酬
「Valentine」は、フランスの俳優・歌手であるモーリス・シュヴァリエが19・・・ 25年にリリースした曲。「恐怖の報酬」では、マリオが口笛で吹き、聞いたジョーも口笛で吹き、互いにフランス出身のであることを認識する(0:12:55頃)。
・・・
音楽 2
恐怖の報酬
「美しく青きドナウ(The Blue Danube)」は、オーストリアの作曲家で・・・ あるヨハン・シュトラウス2世が、1867年に作曲したワルツ。「恐怖の報酬」では、ニトログリセリンを届けたあと、マリオが帰りの山道を運転しながらカーラジオで聞く。同じタイミングで、マリオの無事を聞いたリンダが酒場の客たちとカーラジオから流れる・・・
キーワード 1
恐怖の報酬
「恐怖の報酬」は、カンヌ国際映画祭でグランプリと男優賞(シャルル・ヴァネル)を受・・・ 賞したほか、ベルリン国際映画祭では金熊賞を受賞した。1954年のキネマ旬報ベストテンでは、外国映画の2位に選出された。
・・・
キーワード 2
恐怖の報酬
「恐怖の報酬」の舞台となるのは、ベネズエラのラス・ピエドラスである。非常に暑く、・・・ ゴキブリや毒グモがいる様子が描かれている。道路はデコボコで雨水がたまっている。2年前に着工したものの途中で建設中止となったまま放置されている建物があり、仕事にあぶれた男たちが多くいる。一方で、油田を支配しているアメリカの会社の敷地は整備され・・・
キーワード 3
恐怖の報酬
ニトログリセリンは、液体状の爆薬。振動によっても爆発する可能性がある。「恐怖の報・・・ 酬」では、油田で起こった大規模な火災を爆風で鎮火するために使用されることになり、マリオたちが普通のトラックで運ぶことになる。石油会社のオブライエンは、トラックの運転手の前で1滴のニトログリセリンを落として爆発を起こすことで、その威力を伝える・・・