ストーリー・あらすじ紹介　海の上のピアニスト

レコード

かつて大西洋を往復する豪華客船ヴァージニアン号でトランペットを吹いていたマックス・トゥーニー。生活に困ったマックスは、愛用のトランペットを売るために楽器店を訪れる。マックスが演奏したトランペットの曲を聞いた楽器店の店主は、同じ曲のピアノ演奏のレコードをマックスに聞かせる。マックスは、レコードでピアノを演奏しているピアニストの1900(ナインティーン・ハンドレッド)の話を始める。

1900の誕生

1900年、豪華客船のヴァージニアン号。船が目的地について客がみんな降りたあと、機関士のダニーが置き去りにされた赤ん坊を見つける。ダニーは、赤ん坊にダニー・ブードマン・T・D・レモン・1900と名づけて船で育てることにする。1900は船の中だけで生活し、外の世界を知らないまま少年になる。ダニーは、船での仕事中の事故で亡くなってしまう。

フロアを滑るピアノ

少年の1900はピアノで自作の曲を演奏してみせ、船員たちを驚かせる。そして1900はヴァージニアン号のピアニストとなる。それから時がたち、マックスがヴァージニアン号の楽団にトランペット奏者として採用される。船酔いに苦しむマックスの前に成長した1900が現れ、船の揺れに合わせてフロアを滑るピアノで演奏してみせる。

音楽で世界を旅する1900

1900と親しくなったマックスは、1900が1度も船から降りたことのない伝説のピアニストと知る。1900は訪れたことのない世界を頭の中で旅し、そして即興で曲を作り上げる。客を前にした演奏では、ルールを破って即興で曲を演奏してみせる。そんな1900は、船客から大きな喝采を浴びる。だが、船が目的地に着くと船客は陸へと降りていき、1900は船に残り続ける。

海の声

1900がミュージシャンとして成功すると考えたマックスは、船から降りて陸に上がるようにアドバイスする。だが、1900は聞き入れない。ある日、アメリカに渡る移民の男性が、1900に海の声を聞いた話をする。海の声がそれまでの人生を捨て、新たな人生を歩むように叫んでいたと語る移民の話を、1900は聞き入る。

ジェリー・ロール・モートン

船が港に着く。マックスたちは陸へ上がるが、1900は船にいる。無線でランダムにつながった女性と話をしようとするが、拒否されてしまう1900。そこに黒人のバンドマンが姿を現し、ジャズを発明したと言われるジェリー・ロール・モートンが決闘したいと言っていることを知る。一等船客として船に乗り込んだモートンは、客の前でピアノを演奏する1900に決闘を申し込む。

ピアノ決闘

ピアノの決闘が始まる。火のつけたタバコをピアノに置いて演奏するモートン。演奏中、タバコはピクリとも動かない。続いて演奏する1900は「きよしこの夜」を演奏する。本気を出さない1900に、1900に賭けたマックスが発破をかける。モートンがすさまじい技巧を駆使して客を魅了する。だが、最後にマックスはモートンを上回る演奏を見せる。1900は喝采を送る客たちにかつぎ上げられる。決闘は1900の勝利に終わる。

レコーディングと少女

ウワサを聞きつけたレコード会社と契約した1900は、船上でレコーディングをする。即興で演奏を始めた1900は、窓の外にいる少女の姿を見て、少女をイメージした曲を作る。レコードの原盤が完成するが、1900は考えを変えてレコード会社との契約を破棄し、原盤を自分の物にする。少女が好きになった1900はレコードを少女に渡そうとするが、少女に声をかけられない。

下船する少女

少女と他の乗客の会話を聞いた1900は、少女がかつて「海の声」について話をしてくれた移民の娘と気づく。その後も声をかけられないまま、船はニューヨークに着く。下船しようとする少女にようやく声をかけた1900は、少女の父を知っていることを話すが、レコードは渡せない。1900はレコードを割ってゴミ箱に捨てる。

陸に下りられない1900

その後、1900は陸に上がる決断をする。「海の声を聞きたい」とマックスに説明する1900だったが、マックスは少女と会うためと考える。ニューヨークのタラップから陸に足を進める1900だったが、途中で引き返してしまう。ショックでふさぎ込む1900だったが、やがて立ち直る。1933年となり、マックスは船の仕事をやめ、1900ともそれきりとなってしまう。

爆破

マックスは、かつて乗船していたヴァージニアン号が爆破解体されることを知る。ヴァージニアン号の中に1900がいると考えたマックスは、楽器店の店主から借りたレコードを流して1900を探す。ようやく見つけた1900と話をしたマックスは、一緒に陸に上がるように誘う。だが1900は、陸地が無限に見えた恐怖から船から降りられなかったことを明かし、船とともに運命をともにすると語る。