至るところに「置屋」が点在する島。本土からは日に二度連絡船が出ており、客の往来の足となっている。住民たちはこの閉塞された島で一生を過ごしている。女は客から「外」の話を聞いて思いをはせている。男は、女たちのそんな「夢」を一笑に附して留まらせる。ある置屋にその「三兄妹」はいる。長男の哲雄は店を仕切り、その凶暴凶悪な性格で恐れられている。次男の得太は哲雄にこびへつらい、子分のようにしたがっている。長女のいぶきは、長年の持病を患い床に伏しいてる。ここで働く4人の個性的な遊女たちは、哲雄に支配され、得太をバカにして、いぶきに嫉妬している。女を売る家で唯一女を売らず、それどころか優遇された箱入り娘であるいぶきは、誰よりも美しかった。得太は、その美しいいぶきを幼少から見守り寄り添って生きている。

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