ヒューゴのノート

1930年代、パリのモンパルナス駅。少年のヒューゴ・カブレは、駅の時計を管理する仕事をし、食べ物は盗んで生きている。また、駅にあるオモチャ屋からぜんまいじかけのオモチャをいくつも盗んでいた。ある日、ヒューゴはオモチャ屋の主人である老人ジョルジュ・メリエスに捕らえられる。ジョルジュは、ヒューゴの持っていたノートを見て驚き、ノートを取り上げる。ヒューゴは返すように頼むが、騒ぎを聞いて鉄道公安官がやって来る。ヒューゴは、駅の内部へと逃げていく。

機械人形

夜。オモチャ屋から帰るジョルジュに、ノートを返すように頼むヒューゴ。だが、ジョルジュは、ノートは燃やすと話す。歩いて帰るジョルジュについて行ったヒューゴは、ジョルジュと一緒のアパートに住む少女イザベラを呼び出し、ノートが燃やされないようにと頼み、イザベラは引き受ける。駅に戻ったヒューゴは、部屋に置かれた大きな機械人形を見ながら、過去を思い返す。機械人形は、文字を書くことができる機械で、父が博物館の屋根裏から見つけてきたものだったが壊れていた。ヒューゴは父と協力して、少しずつ直していたが、胸にあるハート型の鍵穴に合うカギが必要だった。ある日、ヒューゴの父は火事で亡くなり、おじで駅の時計を管理するクロードに引き取られ、駅で暮らしていたのだった。

オモチャ屋で働くヒューゴ

次の日の朝。オモチャ屋に出勤したジョルジュの前に現れてノートを返すように頼むヒューゴに、ジョルジュは灰を渡す。燃やされたと思って駆け出したヒューゴの前にイザベルが現れ、ノートは無事であることを告げる。再びオモチャ屋へやって来たヒューゴに、ジョルジュは壊れたオモチャを直すように命じる。オモチャを直す腕前を認めたジョルジュは、これまでに店から盗んだ代金として店で働けば、ノートを返すとヒューゴに話す。

ハート型の鍵

駅の時計の管理をしながら、オモチャ屋で働き始めたヒューゴ。ヒューゴとジョルジュは少しずつ親しくなり、ジョルジュがカードのマジックをヒューゴに教えたりする。機械人形の修理も進めるが、動かすにはハート型のカギが必要である。ある日、ヒューゴは浮浪児の少年が、鉄道公安官に捕まって施設に送られるのを見る。

映画館

ある日、映画を見たことがないというイザベルを、ヒューゴは映画館に連れて行く。入場料を払わずに裏口から入り、ハロルド・ロイドの映画を見るが、係員に見つかってつまみ出される。駅に戻ったヒューゴは、鉄道公安官に疑われるが、機転をきかせたイザベルの言葉で乗り切る。その後、人ごみの中で倒れたイザベルを引っ張り起こしたヒューゴは、イザベルが首から下げるネックレスに、ハートのカギがぶら下がっていることに気づく。

機械人形のスケッチ

駅の内部にある自分の部屋にイザベルを連れていき、機械人形を見せ、ハート型のカギについて話すヒューゴ。イザベルが持っていたカギをはめると、機械人形が動き出す。機械人形は、ヒューゴの父が初めて見た映画の内容である、ロケットが目にぶつかった月の絵を描き出す。さらに、ジョルジュのフルネームである、ジョルジュ・メリエスのサインが描かれる。絵を父からのメッセージと感じたヒューゴは、謎を解き明かすことを決意する。

ジョルジュのスケッチ

ヒューゴとイザベルは、ジョルジュの妻ジャンヌに絵について聞くが、ジャンヌは答えずに帰るように言う。そこにジョルジュが帰ってきたため、ヒューゴとイザベルは別の部屋に隠される。部屋のタンスに置かれた箱を見つけたヒューゴとイザベルは、中にはいっていたスケッチをぶちまけてしまう。それを見たジョルジュは怒り、そして落ち込む。

映画アカデミー

駅の書店の店主であるラビスのアドバイスで、映画アカデミーの資料室にある本「夢の発明」を読むヒューゴとイザベル。本には、映画草創期について書かれており、ジョルジュ・メリエスの活躍についても書かれていたが、メリエスは第一次大戦中に亡くなったとされていた。本の著者であるタバールに、ジョルジュ・メリエスが生きていることを話す2人。、メリエスのファンであるタバールは、メリエス作品はすべて失われていたと思われているが、「月世界旅行」のフィルムを所有していることを話す。

「月世界旅行」の上映

ヒューゴのおじであるクロードの遺体が発見される。連絡を受けた鉄道公安官は、クロードが死んでいたにもかかわらず、駅の時計が動いていたことをいぶかしむ。一方、ヒューゴは、フィルムと映写機などを持ったタバールと、ジョルジュの家を訪れる。ジャンヌは追い返そうとするが、フィルムを持っていることを聞き、考えを変える。寝ているジョルジュを起こさないように注意しながら、「月世界旅行」が上映される。

ジョルジュの過去

「月世界旅行」に見入るヒューゴたち。そこに、目を覚ましたジョルジュが現れて、過去を語りだす。もともとは手品師だったこと、映画と出会って夢中になったこと、スタジオを作ったこと、特殊撮影を使って幻想の世界を映画として表現したことを話すジョルジュ。だが、第一次大戦が始まり、幻想的なジョルジュの映画は人気を失い、セルロイドの材料として化学工場にフィルムを売った金で、駅のオモチャ屋を開いたのだった。また、ヒューゴの部屋にある機械人形は、ジョルジュがかつて所有していたもので、ジョルジュが博物館に寄贈したものであることが分かる。

追われるヒューゴ

話を聞いたヒューゴは、ジョルジュを驚かせようと、機械人形を取りに駅に戻る。だが、鉄道公安官に見つかり、捕まりそうになる。逃げたヒューゴは、駅の内部の時計塔を登る。鉄道公安官は、犬のマキシミリアンとともにヒューゴを追う。ヒューゴは時計盤の外に出て身を潜める。ヒューゴが見つからないため、鉄道公安官は外に出る。機械人形を持ち出したヒューゴが駅のホームを歩いていると、鉄道公安官に腕をつかまれる。その拍子にヒューゴは機械人形を線路に落としてしまう。人形を拾うために線路に降りたヒューゴに、列車が近づく。鉄道公安官がヒューゴを引き上げる。そこに姿を現したジョルジュが、ヒューゴを引き取ると宣言し、鉄道公安官を説得する。

上映会

ジョルジュの功績をたたえる上映会が開かれ、ヒューゴたちも参加している。スピーチをするジョルジュは、自分のために行動してくれたヒューゴに感謝を述べ、失われたと思われていたジョルジュの映画作品が上映される。上映会後のパーティでは、イザベルは作家となる夢を見つけ、ヒューゴについての物語を書き始める。

シーン 1 ヒューゴの不思議な発明

月にロケットがぶつかる絵を描く機械人形

パリのモンパルナス駅に隠れて住んでいる少年ヒューゴ・カブレは、亡き父の遺品である・・・機械人形を直そうとしていた。だが、胸の部分にあるハート型の鍵穴に合う鍵が必要であることがわかる。モンパルナス駅のオモチャ屋で働く老人夫婦に育てられているイザベラと親しくなったヒューゴは、イザベラがハート型の鍵を持っていることを知る。 ヒュ・・・
シーン 2 ヒューゴの不思議な発明

スケッチの入れられた箱

ヒューゴの亡き父の遺品である機械人形を動かすのに必要なハート型の鍵は、親しくなっ・・・たイザベルが持っていた。鍵穴に鍵を差し込むと、機械人形は擬人化された月にロケットがぶつかる絵を描く。そして、最後に「ジョルジュ・メリエス」とサインをする。ジョルジュ・メリエスは、イザベラを育てる老人の名前だった。 ヒューゴとイザベルは、ジ・・・
シーン 3 ヒューゴの不思議な発明

映画の歴史の本を調べるヒューゴとイザベル

ヒューゴの亡き父の遺品である機械人形。機械人形が描き出した擬人化された月にロケッ・・・トがぶつかる絵は、イザベルを育ててくれているジョルジュ・メリエスが描いたものだった。だが、ジョルジュは絵について教えてくれない。ヒューゴとイザベルは、駅の書店の店主であるラビスのアドバイスで、映画アカデミーの資料室にある本「夢の発明」を読む・・・
人物 1 ヒューゴの不思議な発明

ヒューゴ・カブレ

俳優:エイサ・バターフィールド ヒューゴ・カブレは、モンパルナス駅の時計の管理をして生きている少年である、映画「・・・ヒューゴの不思議な発明」の登場人物。時計職人だった父の死後、モンパルナス駅の時計管理の仕事をしているおじのクロードに引き取られた。クロードはどこか行ってしまい、1人で時計のネジを巻くなどの仕事をしているが、そのことは誰も知らない。食べ物は、・・・
人物 2 ヒューゴの不思議な発明

ジョルジュ・メリエス

俳優:ベン・キングズレー ジョルジュ・メリエスは、モンパルナス駅でオモチャ屋を開いている老人である、映画「・・・ヒューゴの不思議な発明」の登場人物。映画草創期に、「月世界旅行」(1902)などの特撮を駆使したファンジー映画を多く制作した実在の人物である。 もともとは手品師で、妻ジャンヌとともに舞台に立っており、自分の劇場も持っていた。映画を初めて見・・・
人物 3 ヒューゴの不思議な発明

イザベル

俳優:クロエ・グレース・モレッツ イザベルは、ジョルジュとジャンヌ夫妻に育てられている少女である、映画「ヒューゴの・・・不思議な発明」の登場人物。孤児だったが、ジョルジュとジャンヌに引き取られた。本が好きで、ムッシュ・ラビスの経営する駅の書店によく顔を出し、ラビスの好意で本を借りている。ジョルジュから映画を見ることを禁じられており、今まで映画を見たことがない・・・
セリフ・名言 1 ヒューゴの不思議な発明

イザベル「冒険が起こりそうだからよ。冒険ってしたことないのわ」

0:29:15頃 オモチャ屋の老主人であるジョルジュに大切なノートを取られてしま・・・ったヒューゴは、ジョルジュに育てられている少女イザベルに、ノートを守るように頼む。本が大好きなイザベルは、本の中に出てくるような冒険のにおいを嗅ぎ取り、興奮している。・・・
セリフ・名言 2 ヒューゴの不思議な発明

イザベル「トラブルになるんじゃない?」 ヒューゴ「それが冒険ってものさ」

0:40:00頃 イザベルは、養父ジョルジュから映画を見ることを禁じられていた。・・・そのことを知ったヒューゴは、イザベルを映画館に連れていき、裏口の鍵を開けてこっそりと中に入ろうとする。冒険に憧れているイザベルだったが、尻込みをしている。そんなイザベルとヒューゴのやり取り。・・・
セリフ・名言 3 ヒューゴの不思議な発明

ヒューゴ「これは父さんからのメッセージだ。解き明かさないと」

0:55:25頃 ヒューゴの父は、火事に巻き込まれて亡くなる前に、ヒューゴと一緒・・・に機械人形の修理をしていた。機械人形を動かすための鍵をイザベルが持っていたことから、ヒューゴは機械人形を動かすことに成功する。機械人形は、ロケットがぶつかった月の絵と「ジョルジュ・メリエス」の署名の入ったスケッチを描き出す。身寄りのなくなっ・・・
音楽 1 ヒューゴの不思議な発明

死の舞踏(Danse Macabre)

死の舞踏(Danse Macabre)は、19世紀から20世紀にかけて活躍したフ・・・ランスの作曲家である、カミーユ・サン=サーンスが作曲した楽曲。夜中に骸骨が踊るという内容の曲である。サン=サーンスは、「ギーズ侯の暗殺」(1908)で、映画のための公式の伴奏曲を作曲した人物としても知られる。 「ヒューゴの不思議な発明」で・・・
音楽 2 ヒューゴの不思議な発明

Coeur Volant

「Coeur Volant」はフランスのミュージシャンであるザーズが歌う曲で、エ・・・ンドロールで使われている。・・・
キーワード 1 ヒューゴの不思議な発明

評価、興行収入、3D

「ヒューゴの不思議な発明」は、監督のマーティン・スコセッシにとって、初めての3D・・・作品であるとともに、初めてデジタル撮影された作品でもある。原作を知っている幼い娘にスコセッシが映画化の話をしたところ、「3Dなんでしょ」と言われたことがきっかけだったという。製作費は1億8千万ドルと、スコセッシ監督作品で最大規模となった。 ・・・
キーワード 2 ヒューゴの不思議な発明

1930年代、第一次世界大戦

「ヒューゴの不思議な発明」の時代は、1930年代である。第一次世界大戦自体は描か・・・れていないものの、登場人物たちには第一次世界大戦の影響が見られる。ジョルジュ・メリエスは、戦争の勃発によってファンタジー作品の人気が下がったことにより没落した。鉄道公安官のダステは、第一次世界大戦で足を負傷し、器具をつけていることがコンプレ・・・
キーワード 3 ヒューゴの不思議な発明

原作

「ヒューゴの不思議な発明」の原作は、アメリカの絵本作家であるブライアン・セルズニ・・・ックによる。日本では、「ユゴーの不思議な発明」のタイトルで出版された。ジョルジュ・メリエスが機械人形のコレクターだったことから着想を得たという。アメリカの児童図書館協会が優れた絵本に贈るコールデコット賞などを受賞した。・・・
作品一覧