ストーリー・あらすじ紹介　裏切りのサーカス

ハンガリーの任務

冷戦下のイギリス。通称「サーカス」と呼ばれるイギリスの秘密情報機関のトップであるコントロールは、エージェントのジム・プリドーをハンガリーに向かわせる。プリドーの任務は、ハンガリーから亡命を希望している将軍と接触し、サーカスの中枢部にいるソ連のスパイ（もぐら）の名前を聞き出すことである。だがプリドーがハンガリーで仲介者と接触中に撃たれてしまい、コントロールは作戦失敗の責任を取ってサーカスのトップを辞職。コントロールの右腕であるジョージ・スマイリーもともに辞職する。まもなく、コントロールは病死する。

もぐら探し

サーカスの新しいトップとなったパーシー・アレリンは、ロイ・ブランド、トビー・エスタヘイス、ヘイドン・ヘイドンを側近とする。アレリンたちは、「ウィッチクラフト作戦」で使用する秘密のアジトの予算を、外務次官のレイコンに要求する。一方レイコンは、サーカスの工作員であるリッキー・ターから、サーカスの中枢部に“もぐら”がいると連絡を受ける。レイコンはスマイリーを呼び出して調査を命じ、スマイリーはサーカスのピーター・ギラムとロンドン警視庁の元警部であるメンデルを使うことにする。

チェスのコマ

スマイリーは調査を開始し、亡きコントロールの部屋を調べる。部屋に置かれたチェスのコマには、アレリンらに加えてスマイリーの写真が張られており、スマイリーも疑われていたことがわかる。またコマの1つには「カーラ」の名前が書かれた紙が貼られている。スマイリーはギラムに、サーカス本部から最近の退職者の名簿を持ってこさせる。一方でアレリンは、ソ連の大使館員から情報を手に入れるウィッチクラフト作戦を進める。

コニー

サーカスを退職した元職員のコニーを訪ねるスマイリー。コニーは、ソ連の大使館員であるポリヤコフがスパイであることを指摘したところ、アレリンらによって解雇されたと話す。さらにスマイリーは、ギラムが持ち出した経費の書類から、ハンガリーで死んだと思われたプリドーに金が支払われていることを突き止める。プリドーは生きており、トレーラーで暮らしながら学校の先生をしている。

ター

自宅に戻ったスマイリーの前に、姿を消していたターが姿を現す。ターは姿を消していた期間のことをスマイリーに話す。ターはギラムの命令で、イスタンブールで亡命しそうなソ連使節であるボリスの監視を行っていた。ボリスがスパイと感じたギラムはサーカス本部に「帰国する」と連絡を入れるが、そのすぐ後にボリスの内縁の妻であるイリーナと出会う。

イリーナ

イリーナと親しくなったターは、イリーナから情報と引き換えに亡命したいという申し出を受ける。そのことをサーカス本部に連絡したところ、ソ連側が動き出し、ボリスは殺されてイリーナはオデッサ行きの船で連れ去られてしまっていた。話を終えたターは、なんとしてもイリーナを連れ戻したいと語る。スマイリーはギラムに、ターがサーカス本部に連絡を入れた時の当直日誌を手に入れるように頼む。

ターへの疑い

当直日誌を手に入れたギラムは、アレリンに呼び出される。アレリンはギラムに、ターが生きていること、ターの口座に金が振り込まれていることを話し、ターが裏切り者の“もぐら”であると考えを述べる。スマイリーの家に向かったギラムは、ターの姿を見つけて殴りかかる。だがギラムが持ってきた当直日誌から、ターがイリーナについて連絡した夜のページが失われていることがわかる、スマイリーはサーカスの何者かがターに疑いを向けさせようとしていると考える。

カーラ

スマイリーとギラムは、スマイリーの家で酒を飲みながら話をする。スマイリーは、かつてソ連のカーラと会ったことがあると語る。カーラを西側に寝返らせようと説得したが意志は変わらなかったこと、その時にスマイリーの持っていたライターを渡したことを話す。ギラムが帰ったあと、スマイリーは妻のアンとヘイドンがキスするところを目撃した、サーカスのクリスマス・パーティを思い出す。

プリドー

スマイリーは、プリドーがハンガリーで撃たれた日の当直だったジェリー・ウェスタビーに会い、その夜のことを聞く。サーカス本部にやって来たヘイドンが「クラブの受信機で知った」と言っていたことを知るスマイリー。クラブには受信機がないため、浮気していたアンから聞いたと考える。その後スマイリーは、生きてイギリスに戻っていたプリドーと会う。プリドーは、ソ連側の拷問を受けたこと、カーラから尋問を受けたこと、“もぐら”についてコントロールが把握している情報をカーラが聞きたがったこと、イギリスに戻ったあとにエスタヘイスからサーカスに現れないように言われたことを話す。

ウィッチクラフト作戦

これまで得た情報を考え合わせたスマイリーは、調査結果をレイコンと大臣に報告する。ウィッチクラフト作戦にかかわっているサーカスの幹部の中に裏切り者がいること、ウィッチクラフト作戦によってソ連側から得ている情報はすべてデタラメであること、大臣が予算を認めた部屋で裏切り者とソ連側との情報交換が行われていること、イギリスやアメリカの情報がカーラの指揮するソ連の情報部に流れていることを説明する。

ヘイドン

スマイリーはエスタヘイスを連れ出し、ソ連側との情報交換に使われている屋敷の場所を聞き出す。スマイリーはワナをしかける。パリのサーカス支部に向かわせたターに、重要な情報を持っているとサーカス本部に連絡を入れさせる。アレリン、ヘイドン、ブランドが集まって話し合いを行う。その後、秘密の屋敷にヘイドンが姿を現し、ターの始末についてソ連側と相談する様子をスマイリーが盗聴する。

決着

サーカスに捕らえられたヘイドンから話を聞くスマイリー。スマイリーの妻アンと関係を持ったのは、スマイリーの判断力を鈍らせるためのカーラの作戦だったことをヘイドンが明かす。また、ヘイドンが “もぐら”であることに気づいたプリドーから、プリドーがハンガリーに向かう前に警告されたことも語る。その後、ヘイドンはプリドーによって射殺される。スマイリーの元に妻のアンが戻り、スマイリーはサーカスのチーフに就任する。