昭和33年の夕日町三丁目

昭和33年の春、東京の下町にある夕日町三丁目。自動車修理工場の鈴木オートの一家には、鈴木則文と妻のトモエ、小学生の息子の一平が住んでいる。工場の向かいの駄菓子屋・茶川商店に住んでいる茶川竜之介は、作家を目指すものの文学賞に落ち続けている。踊り子から足を洗って小料理屋を始めたヒロミは、かつての仕事仲間の女性が失踪したことから、女性の小学生の息子・古行淳之介を預かることになる。

六子の上京

青森からの集団就職で上京してきた六子は、鈴木オートにやってくる。自動車会社と聞いていたが町の修理工場とわかった六子は、失望して夜に部屋で涙を流すが、一平から間もなくテレビが家に来ると聞いて笑顔を見せる。ヒロミの小料理屋で酔っ払った茶川は、ヒロミに淳之介を預かるように頼まれ、酔った勢いで引き受けてしまう。

淳之介が茶川の家に

翌朝、寝坊してしまった六子は、家の前を掃除するトモエの手伝いを大あわてでする。目を覚ました茶川は、部屋にいる淳之介の姿を見て、ヒロミの頼みを引き受けたことを思い出す。茶川は淳之介を連れてヒロミの小料理屋に行くが誰もおらず、仕方なく家に置くことにする。茶川が「少年冒険団」の作者と知った淳之介は、「少年冒険団」の大ファンであることから、茶川に尊敬のまなざしを見せる。

六子と則文のケンカと若い

自動車修理がまったくできない六子。履歴書に「特技:自動車修理」と書いていたことを「経歴詐称」と怒る則文に、六子は「自動車会社」と書いて募集した則文のことを責める。則文は激昂して「出てけ!」と言うが、六子は「帰る場所なんてねえ」とつぶやく。履歴書には「特技:自転車修理」と書いてあることがわかり、則文は六子に謝り、六子も言い過ぎたとわびる。

茶川が淳之介のアイデアを盗用

夏になる。シュークリームが暑さでダメになってしまい、トモエは六子に捨てるよう頼む。「少年冒険団」の原稿を書く茶川だったが、アイデアが何も出てこなくて困り果てる。「少年冒険団」の物語が書かれた淳之介のノートを見つけた茶川は、盗用して原稿を書いてしまう。一方、淳之介が書いた物語を読んだ一平たちは面白さに驚き、他にも読ませてくれるように頼む。

テレビと腹痛

鈴木家にテレビがやって来る。近所の人たちも集まる中、テレビのスイッチを入れると、力道山のプロレス中継が流れ、集まった人たちは大興奮する。だが、突然テレビの電源が切れてしまう。酔っ払った茶川が直そうとするが、逆にテレビをバラバラにしてしまう。失望した近所の人たちが帰ったあと、六子が腹痛で動けなくなる。シュークリームを初めて見た六子は、トモエから捨てるように言われたにもかかわらず食べてしまい、そのせいで食あたりを起こしていたことがわかる。六子は、医者の宅間先生から注射を打たれる。

淳之介の感動

ヒロミの小料理屋からおみやげの焼き鳥を買って帰った宅間先生は、戦争の空襲で命を落とした妻と娘の夢を見ながら道端で眠ってしまう。「少年冒険団」の最新話が、淳之介の考えた話であることが発覚する。淳之介が怒っていると思った茶川だったが、自分の考えた話が本になったことに淳之介は感動する姿を見せる。

高円寺へ

秋になる。茶川とヒロミの会話から、実の母親が高円寺の和菓子屋にいると知る淳之介。一平と一緒に市電で高円寺に行った淳之介だが、和菓子屋の主人に追い返されてしまう。一方、淳之介と一平がいなくなってしまったことから、則文や茶川たちは2人を探す。帰りの電車賃がなくて途方に暮れる淳之介と一平だが、トモエが服のツギの部分にお守りとしてお金を入れておいてくれたことから、市電で帰ることができる。帰ってきた淳之介を、茶川は力いっぱいひっぱたいて叱る。

ヒロミの告白

淳之介を叱る茶川の姿にヒロミは、「本当の父親かと思った」「私と一緒にならない?」と茶川に話すが、突然のことに驚いた茶川はうまく返せない。クリスマスが近くなる。宝石店に行った茶川は、原稿料の前借りを出版社に依頼するものの断られる。また、淳之介からクリスマスプレゼントに万年筆が欲しいことを知る。その後茶川は、則文に頼んで金を借りる。

クリスマスプレゼントとプロポーズ

クリスマス・イヴの夜。宅間先生が扮装したサンタクロースが茶川の家にやってきて、淳之介に万年筆をプレゼントする。本物のサンタクロースと思った淳之介は大喜びする。ヒロミの店にやって来た茶川は、ヒロミに結婚のプロポーズをする。だが、金がないため指輪の箱しか変えなかったことを明かす。ヒロミは指輪をつけてくれるように頼み、茶川はヒロミの指に指輪をつけるまねごとをする。ヒロミは指を見つめて、「きれい」とつぶやく。

青森行きの切符

翌朝ヒロミは、小料理屋を閉めてストリップ劇場へと身売りする。何も聞かされていなかった茶川は、ヒロミが父親の入院費のために多額の借金をしていたことを知る。クリスマスプレゼントに鈴木家から故郷の青森行きの汽車のきっぷをもらっていた六子だったが、両親から捨てられたと考えていたことから、きっぷを返そうとする。

淳之介の実の父親

部屋で泣く六子に、トモエが青森から毎月届いていた手紙を見せ、母親は六子のことを心配していることを話す。母親の思いを知った六子は涙を流し、青森に帰ることに決め、則文が車で上野駅まで送っていく。一方、淳之介の実の父が茶川の家にやってくる。会社社長の淳之介の父は、淳之介を正妻の息子と同じように育てると話し、淳之介を引き取っていく。いったんは淳之介を引き渡した茶川だったが、家に残された淳之介からの感謝の手紙を読み、走って淳之介の乗る車を追いかけていく。

夕日

走る途中で転んでしまった茶川は、実の父の車から降りて戻ってきていた淳之介を見つける。2人は一緒に住むことになり、ヒロミに思いをはせる。ヒロミはストリップ劇場で働きながら、茶川のくれた指輪の箱を大切にしている。青森行きの汽車に乗った六子は、車で追いかけてくる鈴木家の3人に手を振る。鈴木家の3人は、美しい夕日を一緒に眺める。

人物 1 ALWAYS 三丁目の夕日

茶川竜之介

俳優:吉岡秀隆 茶川竜之介は、小説家を目指しながら駄菓子屋を営む、映画「ALWAYS 三丁目の夕・・・日」の登場人物。眼鏡をかけ、ボサボサの髪をしている。実家は信州の名家だが勘当され、祖母から受け継いだ小さな駄菓子屋を経営し、小説を書いている。芥川賞の最終選考に残ったことはあるが、その後は文学賞に応募しても落選を繰り返し、生活のために少年雑・・・
人物 2 ALWAYS 三丁目の夕日

鈴木則文

俳優:堤真一 鈴木則文は、有限会社鈴木オートの社長である、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」の・・・登場人物。戦争から帰還後、苦労して鈴木オートを経営する。妻のトモエと小学生の息子一平と3人家族。短気で怒りっぽい性格のため、今までに何人もの従業員が辞めている。青森から集団就職でやって来た六子を住み込みの従業員として雇うため、オンボロの三輪・・・
人物 3 ALWAYS 三丁目の夕日

鈴木トモエ

俳優:薬師丸ひろ子 鈴木トモエは、鈴木オートの社長、鈴木則文の妻である、映画「ALWAYS 三丁目の・・・夕日」の登場人物。働き者で、優しく明るい人柄。小学生の息子、一平を育てている。気の短い夫、則文が暴走した時にはストッパーの役目を務める。住み込みで働く六子にも優しく、六子が上京した初めての日、小さな修理工場の鈴木オートの様子を見てがっかりし・・・
セリフ・名言 1 ALWAYS 三丁目の夕日

初子「社長秘書さ、なるんでねえのがあ?」

0:04:40頃 集団就職で青森から上京する学生たちを乗せた汽車の中、六子たち女・・・学生は窓から東京の街を眺め、大きな“ビルヂング”に感嘆の声を上げる。自動車会社の看板を見て、自動車会社に就職予定の六子がどんな仕事をするのか、六子たちは夢を膨らませる。 ・・・
セリフ・名言 2 ALWAYS 三丁目の夕日

一平たち「スカばっか!スカばっか!スカばっか!」 茶川「スカばっかって言うな!」

0:07:55頃 茶川の駄菓子屋に買い物に来た一平たち。一平はクジに挑戦するが今・・・日も「スカ」を引いてしまう。ちょうどその時、郵便配達員が茶川に文芸誌を届けにくる。文芸誌を開いて、文学賞に落選したことを確認した茶川はガックリと肩を落とす。クジにはずれた一平たちが囃し立てる「スカばっか!」の声が茶川に追い討ちをかける。 ・・・
セリフ・名言 3 ALWAYS 三丁目の夕日

キン「サイクリングは今、流行のレジャーなんだから。なあにこんなもん、すぐに覚えるよ」

0:25:55頃 朝の商店街を慣れない自転車で暴走するタバコ屋のおばあちゃん、キ・・・ンの言葉。自転車のブレーキがきかなくなり、鈴木オートの前でようやく六子に自転車を止めてもらう。一緒にいたトモエに、やんわりと自転車に乗るのをやめるように諭されるキンだが、新し物好きの性格のため反論する。 ・・・
音楽 1 ALWAYS 三丁目の夕日

おーい中村君

「おーい中村君」は、若原一郎が1958年にリリースした曲。50万枚を超える大ヒッ・・・トとなった。「ALWAYS 三丁目の夕日」では、オープニングで若原の歌声で流れる(0:00:45頃)。また、茶川が上機嫌に歌うシーンもある(1:08:25頃)。 ・・・
音楽 2 ALWAYS 三丁目の夕日

ダイアナ

「ダイアナ」は、元はカナダ出身のミュージシャンであるポール・アンカが1957年に・・・リリースした楽曲。山下敬二郎や平尾昌晃が日本語でカバーしたバージョンが1958年にリリースされた。「ALWAYS 三丁目の夕日」では、新しもの好きの大田キンがタバコ屋の店番をしながらラジオで聞いており、バカにする則文に「時代はロカビリーだよ・・・
音楽 3 ALWAYS 三丁目の夕日

ALWAYS

「ALWAYS」は、D-51が歌う「ALWAYS 三丁目の夕日」の主題歌。エンド・・・・クレジットで使われている。 ・・・
キーワード 1 ALWAYS 三丁目の夕日

評価、興行

「ALWAYS 三丁目の夕日」は、日本アカデミー賞で最優秀作品賞、最優秀監督賞、・・・最優秀脚本賞、最優秀主演男優賞(吉岡秀隆)、最優秀助演男優賞(堤真一)、最優秀助演女優賞(薬師丸ひろ子)、最優秀音楽賞、最優秀撮影賞、最優秀照明賞、最優秀美術賞、最優秀録音賞、最優秀編集賞を受賞。堀北真希が新人俳優賞、小雪が優秀主演女優賞に・・・
キーワード 2 ALWAYS 三丁目の夕日

原作漫画

「ALWAYS 三丁目の夕日」は、西岸良平が「ビッグコミックオリジナル」で197・・・4年に連載をスタートした漫画「三丁目の夕日」を原作としている。原作では昭和30年代の東京にある架空の街「夕日町三丁目」を舞台に、一話完結の物語が描かれている。 ・・・
キーワード 3 ALWAYS 三丁目の夕日

昭和33年

「ALWAYS 三丁目の夕日」の舞台となる時代は、昭和33年である。力道山が空手・・・チョップで外国人選手を倒す姿に日本人が熱狂し、巨人軍に入団したばかりの長嶋茂雄が話題を呼ぶなど、当時の世相が盛り込まれている。納豆売りや氷屋、薬売りも登場。子供たちはフラフープをして遊んでいる。ラジオがからは当時のヒット曲「おーい中村君」「・・・
作品一覧