重要な部分に触れている場合があります。
茶川竜之介は、小説家を目指しながら駄菓子屋を営む、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」の登場人物。眼鏡をかけ、ボサボサの髪をしている。実家は信州の名家だが勘当され、祖母から受け継いだ小さな駄菓子屋を経営し、小説を書いている。芥川賞の最終選考に残ったことはあるが、その後は文学賞に応募しても落選を繰り返し、生活のために少年雑誌に冒険物語を連載している。商店街の人たちからは「文学」のあだ名で呼ばれている。
美しい女店主のヒロミが営む居酒屋で、酔って日本の文学の現状に失望しているとクダを巻く。文学の力できちんとした子供を育てたいとヒロミに語ったところ、両親のいない小学生の男の子、淳之介の面倒を見るようヒロミに頼まれる。翌朝、淳之介を引き取ったことを後悔するが、淳之介が実は茶川が少年誌に連載している「少年冒険団」の大ファンだということがわかり、まんざらでもない気持ちになる。その日、淳之介の様子を見に来たヒロミにライスカレーを作ってもらい、3人で食卓を囲む。
あるとき、スランプに陥った際に、淳之介がノートに書いていた「少年冒険団」の物語を、自分の名前で雑誌に掲載してしまう。発売した雑誌が淳之介の目に入り、淳之介に怒られるのを心配するが、淳之介は自分の物語を本にしてくれて嬉しいと喜ぶ。鈴木オートにテレビが来た日、接触不良になったテレビを、「僕は東大出てるんだ!これぐらい直せる!」と言って、バラバラに分解し、修理代を負担することになる。
淳之介と一平が行方不明になった夜、遅くなって淳之介が帰ってくると、駆け寄って頬を叩き厳しく叱る。「お前とは、縁もゆかりもないんだからな。赤の他人なんだからな」と言いながらも、淳之介を抱き寄せて優しく頭を撫でる。その夜、淳之介が寝ついた後、ヒロミから淳之介と3人で家族になることを提案される。
ヒロミへ指輪をプレゼントするため宝石店へ行くが、金がなく指輪は買えない。その日の夜、鈴木オートの社長から金を借り、「家族を持つってどんな感じだ?」と聞いてみる。クリスマス、医師の宅間先生とヒロミに協力してもらい、淳之介に万年筆をプレンゼントする。そのあと、居酒屋でヒロミにプロポーズする。指輪は買えず、箱だけを渡してヒロミに謝り、今はまだない指輪をヒロミの左手にそっとつけてやる。翌日、ヒロミのもとを訪れると店は貸し店舗になっており、ヒロミが父親の入院費用を支払うため、借金を抱え出て行ったことを聞かされる。
落ち込んで帰る途中、淳之介の父の社長秘書を務める男に声をかけられる。その後、淳之介の実の父である会社社長の川渕が淳之介を引き取りに茶川の店に現れる。淳之介を見送る時、川端からクリスマスプレゼントにあげた万年筆を返される。一人家に帰り、「元の俺に戻っただけだよ」と呟いた後、淳之介が書き残していった感謝の手紙を見つけて読み、思い出がこみ上げてくる。家から走り出て車を追いかけ、道端で淳之介の名前を呼ぶと、そこには戻って来た淳之介が立っていた。「行かなきゃだめだろ」「お前とは、赤の他人なんだぞ」と言いながらも、淳之介を固く抱きしめ、淳之介と手を繋ぎ茶川の家へと帰る。
茶川竜之介を演じているのは吉岡秀隆。公開時35歳頃。同時期の映画出演作には、「四日間の奇蹟」(2005)などがある。