ストーリー・あらすじ紹介　64-ロクヨン-後編

報道協定

「ロクヨン」事件を模倣したと思われる誘拐事件が発生する。刑事部から記者クラブと報道協定を結ぶように命じられた広報室長の三上は、被害者の名前を出すように求めるが刑事部に拒否される。被害者の名前がないと報道協定を結ぶ見込みが立たないため、三上はなんとか実名を知ろうとする。一方で、警務部長の赤間は、誘拐事件は刑事部長を本庁から送り込まれることに反発した刑事部の狂言と考える。

被害者の名前

三上は、刑事が出入りするトイレで、元上司で一緒に「ロクヨン」事件を担当した松岡を待ち受ける。被害者の名前を教えてくれるように頼む三上の真剣な姿を見た松岡は、目崎という人物の娘が誘拐されたことを教える。一方、誘拐事件の発生により、警察庁長官の視察は取りやめとなる。刑事部長の人事を握る計画が崩れた赤間は怒る。

記者会見

三上は、訪問を予定していた雨宮を訪ねて、直前の中止をわびる。雨宮は娘が行方不明となっている三上のことを心配し、娘が正月飾りのメーダマが好きだったことや、娘のことをどんどん忘れていくことを話す。県警では記者会見が開かれる。だが、出席した捜査二課長の落合は事件について何も知らず、出席した記者からは怒号が飛ぶ。

メーダマ

再び二課長の記者会見が開かれるが、被害者を匿名とする県警の態度に、東京から来た記者たちは納得しない。そんな状況に、地元の記者たちはいたたまれない思いを抱く。一方、捜査一課長の松岡が、上の娘の歌澄が誘拐された目崎の家を訪れる。下の娘である早紀は、以前に雨宮から正月飾りのメーダマと殺害された娘の写真を受け取っていた。

捜査車両

捜査二課長への追求は収まらず、記者会見中に二課長は意識を失ってしまう。三上は自ら松岡の元に向かい、捜査車両への同乗を認めてもらう。再び二課長は記者会見の場に戻り、時間を稼ぐ。三上は時間を置いた上で、捜査の状況を連絡することを許される。目崎の自宅に犯人から入電があり、犯人は「ロクヨン」事件で雨宮が指定されたのと同じ喫茶店まで身代金を持ってくるように命じる。

誘拐ではなかった

目崎は急いで車に飛び乗り、指示のあった喫茶店に向かうが、喫茶店ではまた別の場所を指示される。無我夢中で指示通りに車を走らせる目崎。そんな中、犯人が使用していたヘリウムガスが切れたことから、ロクヨン事件の捜査を担当していた幸田の声と判明する。また、誘拐されたはずの歌澄が万引きで警察に補導されたという連絡が、捜査車両に入る。娘がいなくなったつらさを知る三上はすぐに報道陣に知らせようとするが、松岡たちに止められる。

メモ

空き地に呼び出された目崎は、犯人に命じられるがままに、置かれたドラム缶で身代金の2,000万円を燃やす。さらに、近くに置かれたメモに「犯人へ」と書かれているのを見つけた目崎は動揺する。そんな目崎の様子を、近くにいた雨宮や駆けつけた三上たちが見守る。犯人の声をただ1人聞いていた雨宮は、電話帳の番号に片っ端から電話をし、ついに目崎にたどりついていたのだった。

雨宮の思い

妻から歌澄が誘拐されていなかったと連絡を受けた目崎は、手にしていたメモを半分食べる。警察は目崎を取り調べるが、目崎は「何も知らない」と言い張る。証拠がないため、目崎は釈放される。憤る三上が刑事部長の荒木田につめ寄るものの、追い返される。だが、松岡はまだあきらめていないことを三上に告げる。三上と美那子は、雨宮の思いについて語り、自分たちの娘を思い起こす。

電話ボックス

雨宮が来る日も来る日も電話をかけ続けた電話ボックスにやって来た三上は、目崎の家に電話をしてみる。すると、電話に出た目崎が、下の娘の早紀を探していることがわかる。雨宮の自宅に向かった三上は、以前にもらったメーダマと写真を返しに来た早紀を見つける。ふと思いついた三上は、目崎に電話をして、「小さな棺」「来い」とだけ伝える。

格闘

目崎が、「ロクヨン」事件の死体遺棄現場にやって来る。待ち受けていた三上が目崎を問い詰めるものの、目崎はしらばくれようとする。逃げる目崎を追いかけた三上は、目崎の頭を水に押しつける。目崎を追ってやって来た警官に、三上は目崎から引き離される。警察に連行されていく目崎を見た早紀は、絶叫を上げる。

どんと焼き

三上が目崎に暴行したことや、ロクヨン事件と目崎の関係について報道されたことで、事件解決のために警察が動き出す。三上は県警をやめて自分の足で娘を探すことを決める。翌年のどんと焼きで、三上は雨宮と再会し、雨宮が早紀に渡していたメーダマを返す。雨宮は「ロクヨン」事件からずっとそのままにしてあった、娘の作った松飾りを燃やす。