翔子ちゃん誘拐殺人事件

昭和64年1月5日。雨宮芳男と敏子の娘である翔子が、何者かに誘拐される。通報を受けた警察から雨宮の自宅に捜査員が送り込まれ、電話の通話が録音される。犯人は丸越百貨店の大きなスーツケースに金をつめ、喫茶店に金を持ってくるように命じる。雨宮が車で金を運ぶ。喫茶店に電話があり、雨宮は別の場所に向かうように指示される。何カ所も移動させられたあと、雨宮は橋から川にスーツケースを投げるように命じられ、指示通りにスーツケースを投げる。だがスーツケースはカラの状態で発見され、さらに翔子の遺体が車のトランクで発見される。そんな中、元号が昭和から平成に変わる。

交通事故

平成14年12月4日。翔子ちゃん誘拐事件の捜査を担当した三上義信は、刑事部を離れて警務部の広報官となっている。女性が運転する車による人身事故が起こり、被害者は重体となる。県警は女性の名前を匿名で発表し、記者クラブが反発する。記者たちから実名の公表を迫られた三上だったが、県警の決定事項として突っぱねる。

雨宮宅を訪問

警務部長の赤間に呼び出された三上は、警察庁長官の訪問の際に、通称「ロクヨン」と呼ばれている翔子ちゃん誘拐殺人事件の被害者である雨宮宅の訪問を実現するように命じられる。雨宮の家を訪れた三上だったが、長官の訪問を断られる。一方、匿名問題を不服とする記者クラブは、県警本部長に抗議文を提出すると三上に通告する。そんな三上の娘・あゆみは、家出をしたまま行方不明になっていた。

取材ボイコット

東洋新聞の支局長の梓を呼び出した三上は、談合事件の特ダネの情報を流す代わりに抗議文を取り下げるように頼む。だが、梓の部下である秋山は抗議文を撤回せず、記者たちが抗議文を手に本部長の元に向かう。秋山と三上はもみあいになり、抗議文が破れてしまう。秋山は警察庁長官の取材のボイコットを宣言する。

幸田メモ

ロクヨンの捜査を一緒に担当した望月を訪れた三上は、「幸田メモ」について聞き、捜査にかかわっていた幸田のことを思い出す。さらに三上は、同じくロクヨンの捜査にかかわっていた村串から、事件当時電話担当だった日吉が泣いていたことを聞き、日吉の実家を訪れる。日吉は事件のあとずっと部屋に引きこもっていることを母親から聞く。家に帰った三上は、あゆみがいなくなったことで自分を責める美那子に、かつて「刑事の目で見ないで」「あんたに似た顔を捨てたい」と自分に叫んだあゆみのことを思い出す。

隠蔽されていたミス

12月8日。三上は今もロクヨンの専従班である柿沼の元に現れ、柿沼が14年にわたって幸田を監視していることを知る。その理由は、事件の時に犯人からの電話の録音を日吉が失敗し、そのことを幸田が告発しようとしたためとわかる。三上は隠蔽を決めた漆原に会いに行く。警察署長となっていた漆原は、警務部で人事を担当する二渡も幸田メモについて聞きに来たことを話すものの、隠蔽についてはとぼける。

記者との飲み会

再び警察庁長官の訪問を雨宮に頼みに来た三上だったが、仏壇に手を合わせながら事件当時や娘のことを思い出して嗚咽する。そんな三上の姿を見た雨宮は、訪問を承諾する。その夜、ボイコットを撤回させようと開いた記者たちとの飲み会に、女性警察官の美雲が参加する。そのことを知った三上は美雲を帰らせようとするが、美雲は「自分も役に立ちたい」と指示に従わない。

刑事部長のポスト

警務部管轄の留置場で起こった職員によるわいせつ事件が、東洋新聞の特ダネとして報道される。刑事部長の荒木田がリークしたと思われ、警務部長の赤間が謝罪会見を行うことになる。赤間は三上に、今後は実名報道にすると記者に話してでも、警察庁長官の取材ボイコットをやめさせるように命じる。荒木田に呼び出された三上は、刑事部長を本庁のキャリア組にすげ替えることを警察庁長官が訪問時に発表することを聞く。辻内県警本部長に刑事部長の人事の再考を求めた三上だったが、辻内にあしらわれる。

泥酔

泥酔して家に帰った三上は、家の前で待っていた幸田を会う。「夢から覚めた気がする」と語る幸田だったが、泥酔した三上が眠ってしまったためにきちんと話ができない。翌朝、三上は日吉宛の「君のせいじゃない」と書いた手紙を届け、交通事故で亡くなった被害者の家を訪れる。一方の幸田は、仕事をやめたことが明らかになる。

実名発表

記者のボイコットを取り下げるために、三上は以後の事件について実名発表を原則とすることを発表しようとする。諏訪を始めとする部下たちは反対するが、三上は覚悟を決めている。記者たちに実名発表について話す三上は、人身事故加害者の名前も公表するように求められる。三上は自分の判断で公表に踏み切る。

説得

加害者の父親が公安委員であることから、隠蔽していたと考えた記者たちは反発する。自らのクビをかけて公表した三上は、自分の覚悟を話す。さらに、被害者の老人男性の素性について話し、被害者と同じように天皇崩御の影響でほとんど報道されなかった誘拐事件解決のためにも、長官取材をするように頼む。記者たちは話し合い、長官取材を受け入れることに決める。

ロクヨン再び

12月11日、長官視察の前日。刑事部の部屋に誰もいないことを知った三上は、すぐ近くのビルに刑事が入っていくのを見る。ビルに押しかけた三上は、誘拐事件が発生したことを告げられ、報道協定を結ぶように命じられる。さらに、犯人はサトウと名乗り、身代金2,000万円を要求するなど、三上が担当した「ロクヨン」と共通している部分が多くあることがわかる。

人物 1 64-ロクヨン-前編

三上義信

俳優:佐藤浩市 三上義信は、県警警務部の広報官である、映画「64-ロクヨン-前編」の登場人物。昭・・・和64年に発生した誘拐事件(通称ロクヨン)の捜査を担当したものの、犯人を捕らえられず誘拐された少女が殺害されてしまっていた。また、家出したまま行方不明となっているあゆみのことを探している。数カ月前まで刑事部にいた。警務部への異動によって、刑・・・
人物 2 64-ロクヨン-前編

諏訪

俳優:綾野剛 諏訪は、警務部広報室の係長である、映画「64-ロクヨン-前編」の登場人物。「ちゃ・・・ん」づけで呼ぶなど、記者たちとの関係を良好にしようと努力を重ねている。長官取材のボイコットを決めた記者たちを懐柔しようと、スナックで飲み会も開く。その際には、「秋山にいいようにやられてるんじゃないの?」と話し、記者たちの分断を図る。 三上・・・
人物 3 64-ロクヨン-前編

美雲

俳優:榮倉奈々 美雲は、警務部広報室の警官である、映画「64-ロクヨン-前編」の登場人物。励まし・・・の言葉をかけるなど、娘が行方不明の三上を心配している。音楽隊の写真撮影など軽めの仕事を任されることが多く、もっと広報室の役に立ちたいと考えている。記者からの情報収集を目的とした飲み会に参加した時には、三上に帰るように命じられるものの、「自分・・・
セリフ・名言 1 64-ロクヨン-前編

赤間「なんたる醜態。無能な広報官を持った県警は、不幸というほかにありません」

0:37:25頃 交通事故の加害者を匿名で発表したことに反発した記者たちは、本部・・・長への抗議文を直接手渡そうとする。本部長室の前までなだれ込んできた記者たちを必死に押しとどめようとする三上。そんな三上たちの姿を見た、三上の上司にあたる赤間警務部長の言葉。 ・・・
セリフ・名言 2 64-ロクヨン-前編

荒木田「もういい。部外者は出てけ」

0:42:55頃 最近まで刑事部に所属していた三上は、今は刑事部と対立関係にある・・・警務部の広報官となっていた。かつて自身が捜査員の一員だったロクヨン事件について、一緒に捜査を担当した松岡に話を聞きに来た三上。だが、刑事部長の荒木田に追い払われてしまう。 ・・・
セリフ・名言 3 64-ロクヨン-前編

三上「なにが、“本心をぶつけ合いました”だ!」

0:47:45頃 ロクヨン事件から14年にわたって部屋に引きこもった生活を送って・・・いる日吉の家を訪ねた三上。日吉の母親に対して、自分の娘も引きこもりとなってしまい、本心をぶつけ合ったことで解決したと語った三上は、日吉の母の信頼を得る。帰り道で、三上が自分への怒りを吐き出した時の言葉。実際の三上の娘は、家を出たまま行方不明・・・
音楽 1 64-ロクヨン-前編

Lifetime Respect

「Lifetime Respect」は、三木道三が2001年にリリースしたヒット・・・曲。「64-ロクヨン-前編」では、広報室のメンバーと記者の飲み会が開かれたバーで、記者の山科がカラオケで歌う(1:05:20頃)。 ・・・
音楽 2 64-ロクヨン-前編

風は止んだ

「風は止んだ」は、「64-ロクヨン-」の主題歌として作られた小田和正の楽曲。「6・・・4-ロクヨン-前編」では、エンド・クレジットで使われている。 ・・・
音楽 3 64-ロクヨン-前編

音楽(村松崇継)、サウンドトラック

「64-ロクヨン-前編」の音楽を担当しているのは村松崇継。発売されているサントラ・・・(サウンドトラック)には、以下の曲が収録されている。 01.昭和64年1月6日 02.映画「64」メイン・タイトル 03.美那子 04.抗議 05.日吉家 06.あゆみ 07.メモ 08.幸田 09.刑事部捜査一課 10.三上の涙 11.・・・
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評価、興行収入、公開

「64-ロクヨン-前編-」は、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞(佐藤浩市)と新人・・・俳優賞(坂口健太郎)を受賞し、「作品賞」「監督賞」「脚本賞」「音楽賞」「撮影賞」「照明賞」「美術賞」「録音賞」「編集賞」で優秀賞に選ばれた。興行的には興行収入19.4億円のヒットとなり、2016年の邦画の18位となった。前後編として公開され・・・
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ロクヨン事件、少女誘拐殺人事件

「64-ロクヨン-前編-」では、少女誘拐殺人事件が描かれている。漬物加工工場を営・・・んでいる雨宮家の、小学1年生の翔子が誘拐される。犯人は「サトウ」を名乗り、身代金として2,000万円を要求。丸越百貨店で一番大きいスーツケースに入れるように指示する。雨宮は犯人から命じられた場所に車でスーツケースを運ぶが、すぐに別の場所への・・・
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昭和64年

翔子ちゃんが誘拐されたのは、昭和64年の1月5日である。1月7日に天皇が崩御して・・・8日より元号が「平成」となったことから、昭和64年は7日しかなかった。誘拐事件の捜査に奔走していた三上は、車で走る道沿いの多くの家が国旗を掲揚していることに気づき、ラジオをつけて昭和天皇の崩御を知る。 ・・・
作品一覧