リークのFAX

外務省から出向中の内閣情報調査室(内調)の職員である杉原拓海は、官邸からの指示で大臣の息子を不正入学させたことを明らかにした官僚のスキャンダルを、マスコミにリークする。東都新聞社会部の記者たちは不自然な記事に、内調からのリークと怪しむ。記者の1人である吉岡エリカは、FAXで届いた内閣府が主導する大学新設の資料について調べるように上司から命じられる。FAXの1枚目には羊の絵が書かれている。

レイプ事件

政府御用達と言われているジャーナリストが起こしたレイプ事件で、ジャーナリストが不起訴となり、被害者の女性が記者会見を開く。吉岡が取材をして記事化するが、紙面での小さな扱いに不満を抱く。一方、上司の多田から指示を受けた杉原は、レイプ事件の被害者が野党とつながっていて、事件はハニートラップだったという情報をメディアにリークする。出産を間近に控えた妻の奈津美からレイプ事件について聞かれる杉原だったが、「よくわからない」とはぐらかす。

大学新設

大学新設について調査する吉岡は、文科省の官僚から話を聞き、文科省にも大学新設の話があったものの、断っていたことを聞く。また、大学新設の情報をリークしたのは、内閣府に出向している人物の可能性があると聞く。一方の杉原は、外務省時代に世話になった神崎と食事をする。5年前にある出来事の責任を取らされた神崎は、杉原に対して自分のようにならないようにと話す。

神崎の自殺

新設大学の取材を続ける吉岡は、特区担当の都築に話を聞こうとするがはぐらかされ、前任者の神崎から話を聞くことを勧められる。神崎に連絡を取ろうとする吉岡だったが、神崎は療養中と言われる。一方、内調が神崎をマークしていることを知った杉原は、心配になり神崎の自宅に向かうが誰もいない。そこに神崎から電話がある。杉原に詫びの言葉を告げた神崎は、ビルから飛び降り自殺をする。杉原は上司の多田に詰め寄るが、はぐらかされる。

通夜

神崎の自殺を知った吉岡は、かつて誤報の責任を問われて自殺をした父親の夢を見る。神崎の通夜を取材する吉岡は、遺族から話を聞こうと群がる記者たちを見て、かつての自分を思い出す。吉岡が記者の1人を止めたすきに、通夜に来ていた杉原が神崎の妻と娘をタクシーに乗せる。杉原は吉岡に声をかけ、神崎が死んだ本当の理由を知りたいと話す。杉原は病院から連絡を受け、妻の奈津美が緊急の帝王切開で出産したことを聞く。病院に向かった杉原は、眠る奈津美についてやれなかったことを謝る。

新設大学は頓挫?

新設大学の件が頓挫したことが週刊誌で報道されるが、隠された真相があると考える吉岡は取材の続行をデスクに申し出る。一方の杉原は、政府へのデモをする人物の調査をする多田や今の仕事に疑問を抱くようになる。取材中の吉岡と再会した杉原は、神崎が新設大学の情報をリークした可能性を聞く。

圧力

新設大学の件は終わっていないと考えた吉岡は、再び杉原から話を聞こうとする。吉岡はジャーナリストだった父親が誤報を出して自殺したことを話し、真実を知りたいと訴える。杉原は、新設大学の話は場所を変えて生きていると話す。その後、多田から呼び出された杉原は、吉岡のことを聞かれ、間接的に圧力をかけられる。一方の吉岡も、官邸から新聞社に圧力がかかっていることを聞かされるが、取材は続ける。

ダグウェイ事件

神崎の家にやって来た吉岡は、吉岡の妻から追い返させられそうになるが、リークされた資料に描かれた羊の絵を見せて中に入れてもらう。神崎の机を調べた吉岡は、そこに資料の原本と、神経ガスで羊が大量死したダグウェイ事件についての本を見つける。吉岡は呼び出した杉原に、新設大学で軍事転用可能な神経ガスの研究が行われる可能性について話し、証拠となる資料入手の協力を依頼する。

証拠の資料

吉岡への協力を決意した杉原は、新設大学を担当する都築の部屋に向かい、都築が出勤する前に大学の資料を写真に撮る。吉岡はデスクの陣野と杉原を会わせる。杉原は、写真に撮影した資料に、新設大学では軍事利用も可能な研究が行えると記載されていることを説明する。この情報を出せば誤報になるという連絡を受ける陣野は、誤報と指摘された時にはね返す手段がないと話す。その言葉を聞いた杉原は、その際は自分の実名を出すようにと頼む。

記事

吉岡は記事を書き、一面で掲載される。退院した妻や赤ん坊と一緒に帰宅した杉原は、郵便受けにたまっていた郵便物に、神崎からの手紙を見つける。手紙には杉原への謝罪の言葉と、新設大学の運営を委託する企業は首相の知り合いであり、それを知って決裁したことへの自責の思いが書かれている。軍事利用については書かれていないことに、杉原は動揺する。一方、機密文書が捏造されたもので記事は誤報とする週刊誌の記事が掲載されると知った吉岡は、続報で杉原の名前を出すと決める。

憔悴の杉原

会社を出た吉岡の元に多田から電話があるが、吉岡は誰からの電話かわからない。多田は吉岡に、吉岡の父の書いた記事は誤報ではなかったと告げる。電話を切った吉岡は杉原に電話をするがつながらない。多田の前に立つ杉原は、すべてを忘れることを条件に、外務省にもどってほとぼりがさめるまで外国に駐在するように勧められる。吉岡は、憔悴した姿で道を歩く杉原を見つける。吉岡の方を見た杉原は、何かの言葉を口にする。

人物 1 新聞記者

吉岡エリカ

俳優:シム・ウンギョン 吉岡エリカは、東都新聞社会部の記者である、映画「新聞記者」の登場人物。日本人の父・・・親と韓国人の母親の間に生まれ、アメリカで育つ。父親は日米で活躍するジャーナリストだったが、誤報を出したことで責任を問われ自殺している。ツイッターで意見を頻繁につぶやく。 東都新聞社にFAXで送られてきた、内閣府主導の大学新設に関する資料に・・・
人物 2 新聞記者

杉原拓海

俳優:松坂桃李 杉原拓海は、内閣情報調査室(内調)の職員である、映画「新聞記者」の登場人物。妊娠・・・中の妻とマンションで二人暮らし。外務省から出向し、政権に都合の悪い人物のスキャンダルを作り、マスコミやネットに流す仕事をしている。北京にある日本大使館で外交官をしていた。 北京時代の上司、神崎と久しぶりに飲みに行くが、後日、神崎は自殺する・・・
人物 3 新聞記者

神崎俊尚

俳優:高橋和也 神崎俊尚は、内閣府の官僚である、映画「新聞記者」の登場人物。杉原が北京にある日本・・・大使館で外交官をしていた時代の上司。5年前に上からの指示でマスコミに出るとまずい文書を改ざんし、責任を一人でとった。現在は外務省から内閣府に出向し、国家戦略特区の担当をしている。妻と娘の3人暮らし。 国家戦略特区に大学が新設されることにな・・・
セリフ・名言 1 新聞記者

吉岡「反逆者は殺せ。しかも、それに新聞が加担した」

0:02:35頃 各支社紙面で、官邸を告発した元文科省官僚のスキャンダル記事が、・・・全く同じ体裁の記事で掲載される。東都新聞社会部の吉岡たちは、内閣情報調査室(内調)が情報をリークし、その情報を元に記事化されたと推測する。 ・・・
セリフ・名言 2 新聞記者

多田「これも国を守る大事な仕事だ」

0:12:10頃 官邸御用達のライターによるレイプ事件の被害者女性が、顔出しで会・・・見することになる。彼女は野党がらみの人間で、ハニートラップを仕掛けたことにしたい多田は、それを裏付けるためのチャート図の作成を杉原に指示。彼女は民間人だと言う杉原に、多田は野党とつながっているという事実さえ作ればいいと言い放つ。 ・・・
セリフ・名言 3 新聞記者

奈津美「だってレイプしたのに捕まらないって、おかしいよ絶対。許せない。実際のとこ、どうなの?」

0:17:50頃 官邸御用達のライターによるレイプ事件の被害者女性が顔出しで会見・・・したことを報じるテレビニュースを見ていた杉原夫婦。多田から被害者女性は野党がらみの人間でハニートラップを仕掛けたとするリーク資料の作成を指示されていた杉原は平静を装う。 ・・・
音楽 1 新聞記者

Where have you gone

「Where have you gone」は、アコースティック・バンドのOAUに・・・よる、映画「新聞記者」の主題歌。「新聞記者」ではエンドクレジットで使われている。 ・・・
キーワード 1 新聞記者

評価、興行

「新聞記者」は、日本アカデミー賞の最優秀作品賞、最優秀主演男優賞(松坂桃李)、最・・・優秀主演女優賞(シム・ウンギョン)の3部門を受賞したほか、優秀監督賞、優秀脚本賞、優秀編集賞に選ばれるなどの評価を受けた。 ・・・
キーワード 2 新聞記者

東都新聞、新聞記者

主人公の1人である吉岡エリカは、東都新聞の社会部記者である。社会部に羊の絵を表紙・・・にした特区での新大学設立の資料がFAXで送られてきたことから、吉岡は調査を開始する。調査の過程で内閣情報調査室に在籍する杉原の協力を得た吉岡は、官邸が新大学で化学兵器の研究をさせようとしていることを突き止め、デスクの陣野の許可を得て記事にす・・・
キーワード 3 新聞記者

週刊誌、スキャンダル、レイプ事件

内閣情報調査室は、さまざまなスキャンダルによって都合の悪い人物を失脚させるため、・・・週刊誌を利用する。吉岡と杉原が新大学設立の目的が化学兵器であることを新聞記事にしようとしていることがわかると、杉原が機密文書を捏造したとする情報や、吉岡の父親が誤報を出して自殺した情報を週刊誌に流して記事化させる。 だが、政府御用達ライタ・・・
作品一覧