オスカーと父
ニューヨークに住むトーマスとリンダの息子のオスカー・シェルは、同時多発テロによって父を失っていた。オスカーの父は、人とのコミュニケーションが苦手なオスカーのために、「調査探検」と呼ぶ課題をオスカーに出し、オスカーが町の人々と話をするように仕向けていた。オスカーと父は仲が良かった。同時多発テロの日、自宅に戻ったオスカーは、貿易センタービルにいた父からの留守番電話を聞いていた。
鍵
父の死から1年がたつ。オスカーは、父の死から初めて父のクローゼットに立ち入る。棚の上に置かれていた青い花瓶を落として割ってしまったオスカーは、封筒に入った鍵を見つける。封筒に書かれた「Black」の文字が人名を意味していると考えたオスカーは、父からの新しい調査探検と考え、Black探しを始める。
ブラック探し
電話帳を使って姓が「Black」の人をリストアップし、ニューヨークをブロックに分けて、1件ずつ訪ね歩くことにしたオスカー。気持ちを落ち着かせるためにタンバリンを常に持ち、公共交通機関が苦手なために徒歩で調査を始める。はじめに、アビー・ブラックという女性の家を訪ねるオスカー。夫と離婚することになり涙を流しているアビーは、オスカーの父については知らないと話す。
留守番電話のメッセージ
オスカーを心配する母のリンダ。だが、オスカーは心を開かない。オスカーは、テロの日のことを思い出す。父からの留守番電話のメッセージを聞いていたオスカーだったが、母には「メッセージはなかった」とウソをついていた。夜。同じタイプの新しい留守番電話を買ったオスカーは、父のメッセージが残されている電話機と取り換え、メッセージ入りの電話機は秘密の場所に隠していた。
母と口論
オスカーは多くのブラックと会い、写真を撮り、ノートに記録していく。だが、鍵に合う鍵穴は見つからず、このままではすべてのブラックと会うには3年かかることがわかる。母のリンダとは会話をしなくなっている。ある日、リンダとオスカーは口論となり、リンダはオスカーに父親の死を受け入れるように話すが、オスカーには受け入れられない。
間借り人
リンダはテロの日のことを思い出す。ワールド・トレード・センター・ビルにいたトーマスは、職場のリンダに電話をかけて愛を告げていた。一方、オスカーは祖母の家に向かい、間借り人の老人の男性と会う。間借り人は言葉を話すことができなかった。そんな間借り人に、オスカーは堰を切ったようにブラック探しについて話す。父の寂しさを埋めるために始めたブラック探しだが、何もわからないことからオスカーは苦しんでいた。
間借り人の過去
間借り人から「一緒に探そう」と提案されたオスカー。提案を受け入れ、一緒にブラック探しを行う。目標のブラックには会えなかったが、間借り人とやりとりすることで、オスカーには父を失ってから初めて話し相手ができる。また、電車や橋といった恐怖の対象にも立ち向かえるようになる。オスカーは、間借り人が声を失った理由に興味を持つ。間借り人は肉体的な理由ではなく、精神的な理由で声を出せなくなっていた。
行き詰まるブラック探し
間借り人とともにブラック探しを続けるオスカー。間借り人との距離は縮まるが、目標のブラックに出会うことはできない。オスカーは、いら立ち、自信を失う。一方、間借り人が父と同じ肩をすくめるしぐさをすることや、祖母が間借り人の話題を避けることから、オスカーは間借り人を祖父だと考えるようになる。ある日、オスカーは間借り人を自宅に連れて来る。
いなくなる間借り人
オスカーは、父がテロの日に残した留守番電話のメッセージを間借り人に聞かせる。徐々に緊迫していくメッセージの内容に、途中で「聞きたくない」と伝える間借り人。オスカーには、最後の6つ目のメッセージを再生できない。間借り人は、オスカーにブラック探しをやめるように伝え、その後祖母の家から出ていく。
鍵の持ち主
オスカーは、父が持っていた新聞の切り抜きを調べ、遺品セールの電話番号にマークがついていることに気づく。番号に電話をすると、ブラック探しで最初に会ったアビー・ブラックが出る。アビーの元夫のウィリアムが鍵を探していることを知り、ウィリアムの働くオフィスに行くオスカー。ウィリアムは、遺品セールに訪れたオスカーの父に、父の遺品の花びんを譲っていた。だが、花びんの中には貸金庫の鍵が入っていたことを後で知り、ずっと鍵を探していたのだった。鍵と父は関係なかったことを知ったオスカーは、ウィリアムにこれまで誰にも話していなかった話をする。テロの日に自宅に戻ったオスカーは、ワールド・トレード・センターにいる父からの電話が鳴り、留守電に呼びかける声を聞いたが、恐怖で電話に出られなかったのだった。そして、電話が切れたのは、ワールド・トレード・センターが倒壊した瞬間だった。
母の秘密
自宅に戻ったオスカーは、鍵が父と無関係だったことに対する怒りと悲しみから、泣き叫びながら地図を破る。母のリンダがオスカーを止め、オスカーの調査について知っていたことを話す。リンダは、オスカーの地図やリストを見つけ、リストにあるブラックの家を訪問し、オスカーが訪れる理由を説明していたのだった。
父の残したメモ
母の行動を知ったオスカーは落ち着き、母と亡き父の思い出を語り合う。母との関係を取り戻したオスカーは、出会ったブラックたちに手紙を書き、鍵の持ち主が見つかったこと、失望したけれども行動してよかったことを伝える。オスカーは、父のお気に入りだった公園のブランコの板に、父が残したメモを見つける。そこには、以前に父から出されていた調査探検をやりとげたことを伝える言葉が書かれていた。オスカーは、それまでは怖くて乗れなかったブランコに乗り、思い切りこいでみるのだった。
人物 1
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
俳優:トーマス・ホーン
オスカー・シェルは、父トーマスを同時多発テロで失った少年である、映画「ものすごく・・・うるさくて、ありえないほど近い」の登場人物。知的好奇心が旺盛で非常に賢い一方で、アスペルガー症候群のテストでは「疑いあり」と診断されている。父と仲がよく、父が「調査探検」と名づけた課題をクリアするのを楽しみにしていた。一方、母とは、不仲では・・・
人物 2
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
俳優:トム・ハンクス
トーマス・シェルは、オスカーの父親である、映画「ものすごくうるさくて、ありえない・・・ほど近い」の登場人物。ブロンクス科学高校では、学校新聞の科学欄の編集者を務めた。ラトガーズ大学では生化学を専攻。リンダと恋に落ち、コネチカットでプロポーズをした(毎年同じ場所でプロポーズをしていた)。オスカーが誕生したときには、記念に葉っぱ・・・
人物 3
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
俳優:サンドラ・ブロック
リンダ・シェルは、オスカーの母親である、映画「ものすごくうるさくて、ありえないほ・・・ど近い」の登場人物。夫のトーマスとは、コネチカットでプロポーズをされ、毎年同じ場所でプロポーズをされるなど仲が良い。
テロの日に、ワールド・トレード・センターにいたトーマスから電話を受け、愛を告げられる。愛する夫との別れのショックから立ち・・・
セリフ・名言 1
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
0:01:25頃
「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」の最初のセリフ。父・・・を同時多発テロで失った少年オスカーのモノローグ。オスカーが生と死について考えていることがわかる。このあとオスカーは、亡くなった父に近づこうと努力をする。・・・
セリフ・名言 2
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
0:02:10頃
同時多発テロで倒壊したワールド・トレード・センターで犠牲になっ・・・たオスカーの父の遺体は見つかっていなかった。そのため、棺おけはからっぽのまま葬式が行われた。オスカーにはそのことが不満だった。・・・
セリフ・名言 3
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
0:07:45頃
オスカーの父トーマスは、オスカーに対して「調査探検」と名づけた・・・課題を与えていた。母のリンダから、「まだ10歳のオスカーには難しい」と言われたトーマスの言葉。このあとオスカーは、難しい課題に挑戦し、父の言葉を思い出して諦めずにやりとげる。・・・
音楽 1
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
音楽を担当したのは、フランスの作曲家であるアレクサンドル・デスプラ。アカデミー作・・・曲賞にノミネートされた「クィーン」(2006)、「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」(2008)などで知られる。「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」のテーマ曲は、ロシアの女子フィギュア・スケート選手であるエフゲニア・メドベージェワが・・・
キーワード 1
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
これまでのスティーブン・ダルドリー監督作は、アカデミー作品賞や監督賞に多くノミネ・・・ートされてきたことから大きな期待を持たれた。だが、評価は賛否両論で、アカデミー賞では作品賞と助演男優賞(マックス・フォン・シドー)にノミネートされるにとどまった。・・・
キーワード 2
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」は、ジョナサン・サフラン・フォアが2・・・005年に発表した原作を元にしている。原作では、第二次世界大戦時のドレスデン爆撃や広島への原爆投下も大きな要素となっているが、映画では同時多発テロに絞られている。また、「調査探検」という要素は映画オリジナルものである。・・・
キーワード 3
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
映画の舞台となるのは、ニューヨークである。オスカーは、鍵の持ち主を探すために、ニ・・・ューヨークに住むブラックの姓の人々を訪ね歩く。クイーンズのファー・ロッカウェイ、マンハッタン北部のハーレム、マンハッタン・ブリッジ、チャイナタウン、ロウアー・イーストサイド、アッパーウエストサイドのバーニー・グリーングラス・デリなどで、ロケ・・・