ウォルトという男

ウォルト・コワルスキーの妻の葬式が行われている。昔気質で、息子や孫たちを気に入らないウォルトは、派手な服装をしている孫娘アシュリーに怒りを感じている。息子や孫たちもウォルトと距離を置いている。ウォルトは、フォードの工場を勤め上げた労働者で、朝鮮戦争にも出征し、今は引退してミシガン州のデトロイトに住んでいる。葬式後の自宅では、葬式を執り行った若い神父ヤノビッチが、ウォルトの妻から懺悔をさせるように頼まれたとウォルトに話すが、ウォルトは冷たい対応をする。

モン族の隣人

ウォルトの隣の家には、東洋人であるモン族の少年タオ・ローとタオの姉スー、母と祖母の4人が住んでいる。ウォルトは隣人を軽蔑している。ある日、ヒスパニック系のギャングにからまれているタオは、いとこのスパイダーと仲間たちに助けられる。タオにスパイダーから仲間に加わるように説得され、ウォルトの愛車であるグラン・トリノを盗むことになる。

芝生に入るな!

ウォルトとヤノビッチ神父がバーで話をする。ウォルトは朝鮮戦争で人を殺した経験を話し、死ぬまで忘れないと話す。その夜、グラン・トリノを盗みに入ったタオに気づいたウォルトは、ガレージに向かう。ウォルトはタオにライフルを向けるが、逃げられる。数日後、スパイダーたちがタオに再びグラン・トリノを盗むように命じ、断るタオともめる。自宅の芝生に入ってきたスパイダーたちに、ウォルトはライフルを向け、芝生から出るように命じる。

モン族の感謝の印

ウォルトがタオを助けたことを知ったモン族の人々は、ウォルトに贈り物をする。タオは、グラン・トリノを盗もうとしたことをウォルトに謝る。騒動を知ったヤノビッチ神父が、警察を呼ばなかったウォルトを責めるが、ウォルトは取り合わない。

スーを助ける

散髪をした帰り道で、スーが黒人にからまれているのを見たウォルトは、銃で黒人を脅してスーを助ける。スーを自宅まで送る途中、モン族の話を聞く。モン族はベトナム戦争でアメリカの味方をしたために国を追われたのだった。自宅のカウチで、物を落とした女性をタオが助けるのを見たウォルトは、タオを見直す。

モン族のパーティ

ウォルトの誕生日に、息子のミッチと妻カレンが訪ねてくる。ミッチとカレンがウォルトに施設の話をするが、怒ったウォルトに追い返される。ウォルトは、スーの家で開かれているモン族の人たちが集まるパーティに呼ばれる。パーティで、美人のユアがタオを好きなことに気づいたウォルトは、何もできないタオの尻をたたく。

タオとの関係

グラン・トリノを盗もうとしたタオが、償いをするためにウォルトの元で働くことになる。ウォルトはタオに、近所の家の屋根の修理や、壁のペンキ塗りをさせる。せきが出て血を吐くようになっていたウォルトは、病院に行く。検査の結果は悪かったが、息子のミッチに電話をしてもそのことを言い出せない。ウォルトはタオに家の中のものの直し方を教え、工具も貸してやる。また、地下室から重いフリーザーを外に出すのを、タオに手伝ってもらったりする。大学に行きたいが金がないというタオに、ウォルトは建築現場の仕事を紹介する。

スーが暴行される

建築現場の仕事から家に帰るタオが、スパイダーやスモーキーたちにからまれ、スモーキーによって顔にタバコの火を押しつけられる。そのことを知ったウォルトは怒り、スモーキーをボコボコにし、タオに手を出さないように脅す。その後、タオの家にマシンガンが撃ち込まれ、スーが暴行される。自分が行動が悲劇につながったウォルトは、怒り、涙を流す。話を聞いたヤノビッチ神父が、ウォルトを訪ね、ともに怒り、ウォルトのことを心配する。

ウォルトの決意

いきりたつタオが、ウォルトの家を訪れ、一緒に復讐するように話す。タオに冷静になるようにさとし、後でまた来るように伝える。ウォルトは、教会を訪れてヤノビッチ神父に懺悔をし、散髪とひげそりをし、スーツを仕立て、家に戻る。再びやって来たタオを、ウォルトは地下室に連れて行く。ウォルトが朝鮮戦争で得た勲章をタオに贈るが、そのまま地下室に閉じ込める。ウォルトは、タオに人殺しとなって人生を台無しにして欲しくなかった。

遺言状

スモーキーの家にやって来たウォルト。ウォルトを見つけたスモーキーたちは、銃をウォルトに向ける。ウォルトはタバコを口にくわえ、ジャケットの内ポケットに手を入れ、素早く抜く。そのしぐさを見たスモーキーたちは、銃を取り出すと思い、ウォルトを撃ち殺す。だが、ウォルトが手に持っていたのは、ライターだった。タオは、スモーキーたちは長期刑となることを警官から聞く。葬儀のあと、ウォルトの遺言状が読み上げられる。ウォルトは、グラン・トリノをタオに贈る。タオは、湖に沿った道を、グラン・トリノに乗って走っていく。

人物 1 グラン・トリノ

ウォルト・コワルスキー

俳優:クリント・イーストウッド ウォルト・コワルスキーは、デトロイトの郊外で1人暮らしをしている老人である、映画・・・「グラン・トリノ」の登場人物。フォードの工場で労働者として勤め上げたあと、2人で暮らしていたが亡くなったばかりで、愛犬のデイジーと暮らしている。タバコを吸い、ビールを飲む。自宅の外観をきれいにしており、芝生もきれいに刈り込んでいる。たいてい・・・
人物 2 グラン・トリノ

タオ・ロー

俳優:ビー・ヴァン タオ・ローは、ウォルトの隣に住むモン族の少年である、映画「グラン・トリノ」の登場・・・人物。姉のスー、母、祖母の4人で暮らしている。おとなしい人物で、姉であるスーの言うことをよく聞く。働き者で、皿洗いや庭いじりといった仕事も率先して行うものの、祖母やいとこからは頼りないと思われている。 黒人のギャングにからかわれているとこ・・・
人物 3 グラン・トリノ

スー・ロー

俳優:アーニー・ハー スー・ローは、ウォルトの隣に住むモン族の少女である、映画「グラン・トリノ」の登場・・・人物。弟のタオ、母、祖母の4人で暮らしている。勝ち気な性格で、ギャングのいとこスパイダーや、黒人の男たちに対しても、一歩も引かない姿を見せる。 白人のボーイフレンドと歩いているところを、黒人の男たちにからまれる。そばを車で通りかかったウォ・・・
セリフ・名言 1 グラン・トリノ

スティーヴ「親父はまだ50年代に生きてるんだ」

0:01:50頃 ウォルトの妻の葬式が行われる。ウォルトの孫娘アシュリーは、ヘソ・・・を出し、鼻にピアスをした姿で現れる。アシュリーの弟は、祈りの言葉でジョークを言う。そんな孫たちの姿を見たウォルトは、怒りに満ちた顔でうなり声をあげる。そんなウォルトを見た、長男ミッチと次男スティーヴの言葉。・・・
セリフ・名言 2 グラン・トリノ

ウォルト「国産車を買ったら殺されるとでも言うのか?」

0:09:20頃 ウォルトの息子ミッチは、トヨタの車のセールスマンをし、トヨタの・・・ランドクルーザーに乗っている。フォードの工場で働いてきたウォルトは、国産車の1972年型グラン・トリノを愛し、毎日自宅には国旗を掲揚する人物である。そんなウォルトが、ミッチの乗るランドクルーザーを見てつぶやく言葉。ミッチもウォルトの不満は知・・・
セリフ・名言 3 グラン・トリノ

ウォルト「俺に言わせりゃ、おまえさんは頭でっかちな27歳の童貞男さ」

0:12:55頃 ヤノビッチ神父がウォルトを訪れる。ヤノビッチは、ウォルトの妻の・・・葬式を執り行った人物である。生前のウォルトの妻は、自分が死んだあとのウォルトを心配し、気にかけるようにヤノビッチに頼んでいたのだった。また、ウォルトの妻は、ウォルトに懺悔させるようにも話していた。そのことを伝えたヤノビッチに対するウォルトの・・・
音楽 1 グラン・トリノ

グラン・トリノ

クリント・イーストウッド、ジェイミー・カラム、カイル・イーストウッド、マイケル・・・・スティーヴンスによる曲。ラストのタオがグラン・トリノを運転する映像に、クリント・イーストウッドの歌声で流れた後、ジェイミー・カラムの歌声に切り替わる。カイル・イーストウッドは、クリント・イーストウッドの息子のベーシストである。・・・
キーワード 1 グラン・トリノ

フォード・グラン・トリノ

フォードの工場で自動車工として長年働いてきたウォルトのガレージには、緑の1972・・・年型のフォード・グラン・トリノが置かれている。ステアリング周りはウォルト自身が組み立てたという。ファストバックで、コブラエンジンを搭載している。ウォルト自身が車を磨き、車体もピカピカである。グラン・トリノを見た孫娘のアシュリーは、ウォルトが・・・
キーワード 2 グラン・トリノ

デトロイト、ハイランドパーク

「グラン・トリノ」の舞台となるのはミシガン州のデトロイトで、ウォルトが住んでいる・・・のはハイランドパークという地域である。デトロイトはかつて自動車産業で栄えた町で、ハイランドパークにはフォードの工場があった。だが、自動車産業はさびれ、ウォルトの住む家の近所には、移民のアジア系の人々が多く住んでいる。ウォルトが検査を受ける病・・・
キーワード 3 グラン・トリノ

モン族

モン族は、中国、ベトナム、ラオス、タイの山岳地帯に住む民族。ベトナム戦争時にアメ・・・リカ軍の味方をしたため、戦争後に共産勢力から迫害を受けた。タオたちの一家は、迫害から逃れるためにアメリカに亡命したのだった。「グラン・トリノ」は、モン族を描いた初のアメリカ映画である。 スーによると、目を合わせることは礼儀に反するとされる・・・
作品一覧