多摩ニュータウン計画

昭和42年から始まった多摩ニュータウン計画によって開発が進む多摩丘陵では、タヌキたちの居場所がなくなっていた。住む場所が減ってもめていたタヌキたちだったが、一致団結して危機を乗り越えることになる。ぽんぽこ31年秋。族長たちは、「化学復興」「人間研究」を掲げて5か年計画を立てる。また、四国と佐渡のタヌキに助けを求めることも決まる。

化学(ばけがく)の特訓

おろく婆を先生に、若いタヌキたちへの化学(ばけがく)の特訓が始まる。正吉は化けるのが得意だったが、幼なじみのぽん吉はうまくならない。年が開けて春になり、恋の季節がやって来るものの、数を増やさないために、タヌキたちは性欲を抑えつける。若いタヌキたちは化学の腕前を上げていく。その間にも開発は進んでいく。

実力行使

ぽんぽこ32年夏。自分が住んでいた鷹ヶ森の半分の木が伐採されたことを知った権太は、人間への反撃を始める。倒木や橋などに化けてトラックを谷へ落とす権太たち。勝利に喜ぶタヌキたちだったが、喜びの宴の最中に多くのタヌキに踏みつけられた権太は、全治1年の大ケガを負う。また、マスコミではタタリの可能性が報道されていることを知ったタヌキたちは、地蔵に化けて信仰心に訴えかけたり、のっぺらぼうになって警官を驚かせたりする。

ニュータウンの怪

「ニュータウンの怪」としてマスコミでこれまで以上に取り上げられるようになり、タヌキたちは有頂天になるものの、開発は止まらない。ケガをして動けない権太は、生ぬるいやり方に歯ぎしりしている。今の方法で開発を止められるのかを悩む正吉。ある夜、正吉とおキヨは、双子の子どもになって工事現場の宿舎に向かい、労働者たちを驚かす「双子の星」作戦を実行する。労働者たちは逃げていくものの、すぐに別の労働者がやって来る。一方、じゃんけん大会の結果、文太が佐渡に、玉三郎が四国に、助けを求めに旅立つ。

藤野町のタヌキ

ある日、林と名乗るタヌキが多摩丘陵へとやって来る。林は神奈川県の藤野町のタヌキで、土が不法投棄されて自然が破壊されていることから、土が運び込まれてくる場所を突き止めようとトラックに乗ってやって来たのだった。タヌキたちは、藤野町のタヌキも苦しめられていることを知る。正吉たちは化けて人間を驚かせる作戦を続けるものの、開発は止まらない。

クーデター

ぽんぽこ33年。春になると、去年抑制した反動もあり、多くのタヌキに子どもができる。正吉とおキヨの間にも4匹の子どもができる。秋になり、タヌキが増えたことから食糧不足に襲われる。人家に出向いて食料を調達しようとしたタヌキの中には、車にひかれるなどして命を落とす者も出る。人間との全面対決を主張する権太は、クーデターを起こして権力を握ろうとするものの、失敗に終わる。

長老たち

四国へ向かっていた玉三郎が、太三朗禿狸・隠神刑部・六代目金長の長老を連れて多摩へと戻ってくる。多摩のタヌキたちに、“妖怪大作戦”によって人間たちにタヌキへの尊敬の念を取り戻す作戦を伝える長老たち。タヌキたちの意気は上がる。“妖怪大作戦”を実行するために、長老の指導のもと、タヌキたちは厳しい訓練を積む。

妖怪大作戦

妖怪大作戦が実行される。ニュータウンをタヌキたちが変身した百鬼夜行が襲う。驚き恐怖する人間もいれば、何かのアトラクションと思って楽しむ人間もいる。妖怪大作戦のためにエネルギーを使い果たした隠神刑部は力尽きて死に、妖怪大作戦は終了する。妖怪大作戦の大成功を確信したタヌキたちは歌い踊って祝う。

キツネの竜太郎

ニュータウンの近くに建設中のレジャーランドの社長が、妖怪大作戦は宣伝のためのアトラクションだったと記者会見で発表し、妖怪大作戦は失敗に終わる。社長と話をつけたキツネの竜太郎は金長に、タヌキたちが生き残るにはレジャーランドで変化(へんげ)の術を使って働くしかないとことをもちかける。一方、落ち込むタヌキたちは、徹夜で議論するもののラチが開かない。金長が竜太郎の話をタヌキたちに話すが、意見はまとまらない。

バラバラになるタヌキたち

タヌキたちはバラバラになる。禿狸は変化(へんげ)できないタヌキたちの踊り念仏の教祖となる。金長と玉三郎は、レジャーランドの社長から1億円を巻き上げて闘争資金にする。権太は仲間を募って実力行使に出て、機動隊に突撃する。鶴亀和尚はテレビ局に妖怪大作戦の犯行声明を送る。取材に来た撮影クルーに、おろく婆が「山をなくさないでもらいたい」と訴える。

かつての風景

禿狸は宝船となり、変化(へんげ)できないタヌキたちを乗せて、多摩川を死出の旅に出る。機動隊に倒された権太たちは、最後の力を振りしぼって一体となり大入道の顔に化けるものの、トラックにはねられて死んでしまう。残された正吉たちは、気晴らしのために、最後の力を使ってニュータウンをかつての風景に変える。

その後

生き残ったタヌキたちのうち、変化(へんげ)できるものは人間に化け、人間と一緒に生活するようになる。正吉はサラリーマンとなって生きている。ぽん吉のように変化(へんげ)できないタヌキたちは、タヌキとして生き続けている。ある夜、人間となった正吉は、原っぱで集まって歌い踊るタヌキたちを見つける。正吉はぽん吉と再会し、互いに喜び合う。

人物 1 平成狸合戦ぽんぽこ

正吉

俳優:野々村 真 正吉は、多摩に住むタヌキである、映画「平成狸合戦ぽんぽこ」の登場キャラクター。父・・・の影響もあり、子どもの頃から人間に興味を持っていた。そのおかげで人間をよく知っており、化けるのが得意。また、おキヨとは相思相愛の仲で、4匹の子どもをもうける。ぽん吉と仲がいい。 多摩の開発が進む状況でも冷静に状況を分析し、タヌキの行く末を・・・
人物 2 平成狸合戦ぽんぽこ

権太

俳優:泉谷 しげる 権太(ごんた)は、多摩に住むタヌキである、映画「平成狸合戦ぽんぽこ」の登場キャラ・・・クター。多摩の鷹ヶ森のリーダー。血の気が多く、人間たちに対しては常に強攻策を主張する。お玉が妻。 映画の冒頭では、仲間を率いて鈴ヶ森のタヌキたちと戦う。人間によるニュータウン開発を知り、他の多摩のタヌキたちと協力することになる。化学を駆使・・・
人物 3 平成狸合戦ぽんぽこ

鶴亀和尚

俳優:柳家 小さん 鶴亀和尚は、多摩に住むタヌキである、映画「平成狸合戦ぽんぽこ」の登場キャラクター・・・。菩提餅(ぼたもち)山の万福寺に住んでいる長老タヌキ。人間の多摩ニュータウン開発によるタヌキたちの危機の際にリーダーに選ばれる。おろく婆とともに、若いタヌキたちに化学や人間について教える。また、自分の金玉を8畳の広さにして見せ、金玉の使い方・・・
セリフ・名言 1 平成狸合戦ぽんぽこ

おろく婆「(歌)フレーフレー、鷹ヶ森。フレーフレー、鈴ヶ森。赤勝て青勝て、どっちも負けろ。負けたタヌキをぶっ殺せ」

0:04:05頃 多摩の森に住むタヌキたち。権太をリーダーとする鷹ヶ森のタヌキた・・・ちと、青左衛門をリーダーとする鈴ヶ森のタヌキたちが戦いになる。たたきあったり相撲をとったりして戦うタヌキたち。そこに、おろく婆が歌いながら登場し、タヌキ同士がいがみあっている場合ではない事態が起こっていることをタヌキたちに教える。 ・・・
セリフ・名言 2 平成狸合戦ぽんぽこ

タヌキ「人間てのはすごいですね。今度のことでどうやら神や仏以上の力を持ってるらしいってことが、よく分かりました」

0:06:15頃 多摩に住むタヌキたちは、人間によって多摩の山が崩され、森が破壊・・・され、新しくニュータウンの開発が進んでいることを知る。人間たちによる大規模な開発に、タヌキたちは住む場所を追われて窮地に陥っていただった。 ・・・
セリフ・名言 3 平成狸合戦ぽんぽこ

語り手「使者の選出に入ったが、長距離の危険な旅に志願者はなく、全員タヌキ寝入りを決め込んだ」

0:07:30頃 多摩ニュータウンの開発によって、多摩に住むタヌキたちは住む場所・・・を奪われる危機に陥る。そんな中、タヌキたちは集まって対応を協議する。だが、なまけものが多いタヌキたちは、危険な旅の話になるとタヌキ寝入りをするのだった。 ・・・
音楽 1 平成狸合戦ぽんぽこ

いつでも誰かが

「いつでも誰かが」は、上々颱風(シャンシャンタイフーン)による曲。「夜逃げ屋本舗・・・2」(1993)の主題歌としても使われた。「平成狸合戦ぽんぽこ」ではエンドロール使用されている。 ・・・
音楽 2 平成狸合戦ぽんぽこ

証城寺の狸囃子

「証城寺の狸囃子」は、1925年に発表された童謡。「平成狸合戦ぽんぽこ」では替え・・・歌が歌われている。最初の人間への攻撃の成功を祝い、権太を胴上げするシーン(0:25:00頃)や、雪の積もった日に雪を歌詞にして歌うシーン(0:48:05頃)で使われている。 ・・・
音楽 3 平成狸合戦ぽんぽこ

たんたんたぬき

「たんたんたぬき」は、賛美歌「まもなくかなた」の替え歌として広く親しまれてきた曲・・・。「平成狸合戦ぽんぽこ」では、玉三郎と文太が旅立つシーン(0:33:25頃)や、ニュータウンの工事現場にいる労働者たちの前に現れた子どものタヌキたちが歌うシーン(0:48:50頃)。権太たちが人間に最後と闘いを挑むシーン(1:37:00頃)・・・
キーワード 1 平成狸合戦ぽんぽこ

評価、興行収入

「平成狸合戦ぽんぽこ」は、日本アカデミー賞の特別賞を受賞した。興行的には配給収入・・・26億円を超えるヒットとなり、1994年の邦画で1位となった。 ・・・
キーワード 2 平成狸合戦ぽんぽこ

タヌキ

「平成狸合戦ぽんぽこ」はタヌキたちの物語である。「平成狸合戦ぽんぽこ」の世界では・・・、タヌキは人目のないところでは姿を変えて二足歩行となり、言葉も話す。基本的にはなまけものの性格で、のんびりとしている。陽気で人がよく、すぐに歌を歌ったり宴を開いたりする。人や物に化ける(化学)ことができるが、若いタヌキは化ける方法を知らない・・・
キーワード 3 平成狸合戦ぽんぽこ

キツネ

多摩にいたキツネは滅びてしまったが、人間のホステスに化けたクラブを銀座に開いたり・・・して、一部は人間に化けて暮らしていた。キツネの竜太郎は、妖怪大作戦を見てタヌキの仕業と見抜き、レジャーランドにタヌキたちが就職する以外に生き残る道はないと六代目金長を説得しようとする(裏ではレジャーランドの社長と手を握っている)。 ・・・
作品一覧