ストーリー・あらすじ紹介　怒り

八王子夫婦惨殺事件

夏。八王子の住宅街で、夫婦2人が包丁で惨殺される事件が起こる。捜査を担当するベテラン警部補の南條と若手刑事の北見は、ドアに被害者の血で書かれた大きな「怒」の文字を見つける。千葉の港で働く牧洋平は、家出をして東京の歌舞伎町の風俗店で働いていた娘の愛子を見つけ出す。ゲイのパーティに参加する藤田優馬は、病気で余命の短い母親の見舞いに行くために早めに帰る。

田中と田代

沖縄では、辰哉にボートで無人島の星島に連れられた泉が、無人島に1人で暮らす田中と出会う。泉は田中から自分がいることを言わないように頼まれる。千葉に愛子を連れ帰った洋平を明日香が迎える。愛子は2カ月前にフラリと現れて港で働く、素性のわからない田代のことを知る。一方警察は八王子の事件の容疑者である山神一也を追っており、テレビの特番では山神の写真が公開される。

田代と愛子

優馬は直人という男性と知り合う。直人は素性がわからなかったが、優馬は直人を自宅のマンションに泊まらせてやることにする。テレビの特番で情報を得た警察は、山神が住んでいたアパートを突き止めるが、そこに山神の姿はない。洋平に作った弁当を届けに港にやって来た愛子は、田代と話をする。コンビニの弁当を食べている田代に、愛子は田代の分も弁当を作ってあげると話す。愛子と田代が親しくなっていることに洋平は気づく。

優馬と直人

優馬は、直人を昼もマンションにいさせてやるようになる。自分を信じてくれる優馬に、直人は感謝を述べる。その後直人は優馬に母親の病院に連れて行くように頼み、入院している優馬の母は直人と会う。泉は再び無人島にいる田中の元を訪れる。田中からバックパックを背負わせてもらってはしゃぐなど、泉は田中と親しくなっていく。

那覇

辰哉はすずを、那覇に映画のデートに誘う。那覇では基地返還のデモが行われており、辰哉の父も参加している。辰哉はデモで何が変わるのか疑問を抱いている。愛子とのデートのために家に来た田代に、愛子が陰口をたたかれていることへの悔しさを口にする洋平。田代は洋平に、愛子といるとホッとすると語る。直人は優馬の母の病室を訪れ、優馬の母の話し相手となる。

レイプ

那覇で偶然に会った田中と居酒屋で話をする泉と辰哉。泉は母親が男性と問題を起こして沖縄に来たことを話す。田中と別れたあと、酔っ払った辰哉の姿が見えなくなる。辰哉を探す泉は、繁華街に迷い込み、米兵にレイプされる。辰哉は近くにいるが、恐怖から泉を助けられない。泉は絶望にたたき落とされるが、辰哉には何もできない。

苦しみ

洋平は愛子から、田代と2人で近くのアパートに住みたいと言われて戸惑う。母が亡くなった優馬は母を埋葬し、直人に「一緒の墓に入るか？」と話をする。泉のために何もできずに苦しむ辰哉は、辰哉の実家の民宿で働くようになった田中に、知り合いの話としてレイプで苦しむ女性について話す。田中はいつでも辰哉の味方になると語る。

直人のウソ

優馬のゲイ仲間の家が相次いで泥棒に入られ、共通の知り合いが犯人かもしれないと話題になる。そんな中、優馬は直人が知らない女性とカフェで楽しそうに話をしているのを目撃。直人にかまをかけて聞くと、直人はウソをつく。一方、田代のことが気になった洋平は、以前に田代が勤めていた軽井沢のペンションに調べに向かい、田代が高橋という偽名を使っていた事を知る。

疑念

田代のことを愛子に話した洋平は、田代が父親の作った借金が元でヤクザに追われていると聞いていることを愛子から聞く。愛子と田代は2人で暮らし始める。その後、八王子の事件の犯人が整形手術をしていることが報道される。犯人が田代に似ていると感じた洋平は疑いを明日香に話し、そのことが愛子にも伝わる。

暴れだす田中

優馬の元から直人が姿を消す。殺人事件の犯人と同じように直人の頬に3つのホクロが並んでいたことから、優馬は直人を犯人と疑う。ある日、警察から直人についての電話がかかってきた優馬は、直人のことを知らないと話し、自宅から直人の痕跡を消す。沖縄で働いていた田中は、辰哉に泉がレイプされた様子を見ていたことを話す。ある夜、民宿で大暴れした田中は、そのまま逃げ去っていく。

北見

刑事と南條と北見は、山神を知るという早川に事情聴取をする。真夏に派遣会社に指定された土方の仕事場に向かった山神が、会社から別の現場を伝られていたこと。疲れ果てた山神に被害者が麦茶を出してやり、憐れまれたと思った山神によって殺されたであろうことと話す。一方愛子は、田代に「殺人犯じゃなければ昼前に帰ってきて」と話したものの帰ってこなかったため、警察に通報する。

真犯人

警察が指紋を調べ、田代が殺人犯でないことが明らかになる。愛子は慟哭し、洋平が抱きしめてやる。一方の沖縄では、辰哉が星島に向かい、田中が住む建物で「怒」の文字を見つける。田中は辰哉に、泉がレイプされるのを面白がって見ていたことを話し、辰哉の腹にハサミを突き立てる。起き上がった辰哉は、逆にハサミで田中の腹を刺す。壁に泉について彫られた文字を見つけた辰哉は、石で必死にこすって文字を消そうとする。