ストーリー・あらすじ紹介　鍵泥棒のメソッド

香苗と山崎と桜井

雑誌の編集長を務める水島香苗は、非常に計画的な女性である。相手は見つかっていないものの、12月に結婚すると社内で宣言し、「いい相手を紹介して欲しい」と部下たちに頼む。夜、殺し屋の山崎が、アパートから出てきた男（岩城社長）を刺して車のトランクに押し込む。昼。売れない役者の桜井が、首つり自殺を図るもののヒモが切れて失敗し、銭湯に向かう。一方、手首に血がついたのを見た山崎も銭湯に向かう。

記憶喪失

銭湯の脱衣場で、桜井は山崎の分厚い財布を見る。風呂場で山崎が転んで意識を失うのを見た桜井は、自分と山崎のロッカーの鍵を差し替える。山崎は救急車で運ばれる。桜井は、ロッカーから山崎の服や財布を取り出し、山崎の車に乗っていく。翌日。知人たちを訪れた桜井は、山崎の金で借金を返す。理香にも金を返し、理香からは多くの昔の写真を渡される。車の中で泣きながら写真を見た山崎は、車の外に投げる。山崎の病室に服を返しに現れた桜井は、山崎が記憶喪失となっていることを知る。

香苗と山崎の出会い

記憶を取り戻そうと、山崎はノートに自分（桜井）の情報を書き込む。入院する父の見舞いから帰る時に、香苗は退院した山崎に持っていた納税通知書に書かれた住所について聞かれる。香苗は自分の車に乗せて、山崎をアパートまで送っていき、部屋に上がって様子をうかがう。香苗は山崎のことが気になり始める。

山崎のマンション

山崎の自宅である高級マンションにやって来た桜井は、高級スーツなどの他に、偽造された身分証明書や拳銃などを見つける。部屋に残されていた山崎の携帯電話が鳴る。電話の相手は藤本という男で、500万円のギャラの渡し方を聞く。桜井は、アパートの郵便受けに届けるように話す。電話で、山崎がコンドウと名乗っていることが分かる。一方の山崎は、カレンダーに書かれた場所に向かい、映画のチンピラ役に選ばれる。

工藤

自宅に戻ってきた山崎は、アパートの郵便受けをのぞき込む桜井と会い、部屋に桜井を連れていく。きれいに整理された部屋に驚く桜井。桜井は几帳面な性格だった。そこに香苗もやって来る。1人で外に出た桜井の前に藤本が現れ、車で工藤の元に連れて行かれる。桜井をコンドウだと思っている工藤は、岩城の愛人から金のありかを聞き出すようにむりやり頼まれる。一方、さまざまなジャンルの一流を紹介する「VIP」という雑誌の編集長をしている香苗は、取材先である焼き鳥レストランに桜井を連れていく。山崎も香苗のことが気になり始める。

胸がキューン

香苗は、姉の翔子から恋に落ちたら胸がキューンとなるという話を聞く。桜井は、岩城社長の事件とコンドウについて調べ始める。コンドウについての記事を掲載した雑誌社を訪れ、コンドウは仕事が丁寧で、死体も見つからないという話を聞く。一方、チンピラ役をうまくやりとげた山崎は、演技の勉強をはじめる。また、香苗とはデートをするなど親しくなっていく。

香苗のプロポーズ

桜井は、雑誌の編集者を名乗り、岩城の愛人である井上綾子と会う。綾子は、スーパーで働き、岩城が買ってくれた小さなアパートに中学生の息子と住んでいる。桜井は、綾子が岩城を愛していると感じる。山崎の自宅に隠してあった大金を見つけた桜井は、その金で綾子をかくまうためのアパートを借り、家具をそろえる。一方、香苗の手料理を食べながら、涙ながらに感謝を述べる山崎。そんな山崎に、香苗は「結婚してください」とプロポーズをする。

記憶が戻る

綾子の自宅を訪れた桜井は、逃げるように説得し、計画を説明する。一方で、香苗の父が亡くなり、葬式が行われる。父のために結婚を急いでいた香苗だったが、今では父とは関係なく山崎と生きていきたいと考えている。香苗の自宅で、香苗の父が好きだったベートーベンの曲を聞いた山崎は、記憶を取り戻す。その曲は、山崎が車で聞いていた曲だった。山崎はバッグを置いたままで香苗の家を出ていく。

コンドウを追う工藤

綾子を逃がすために車で待つ桜井の前に、工藤が現れる。工藤は、盗聴器で桜井と綾子の会話を聞いていたのだった。桜井は工藤に銃を突きつけ、工藤を車から降ろして逃げる。山崎のマンションに戻ってきた桜井は、記憶を取り戻した山崎と会う。桜井の車をつけていた工藤たちがマンションにやって来る。山崎は桜井を連れて隣の部屋に逃げ込み、桜井から事情を聞く。山崎は、工藤にコンドウが死んだと思わせる計画を立てる。

逃げる

裏通りに工藤たちを呼び出した山崎と桜井。山崎を桜井が刺し殺すところを見せようと待っていると、山崎のあとを追いかけてきた香苗が現れる。そこに工藤たちもやって来たため、山崎と桜井は、香苗を車に乗せて、かつて桜井が住んでいたアパートに逃げ込む。金を取りに自宅に戻った山崎の前に、工藤たちが現れる。山崎がコンドウの手下で、桜井をコンドウだと思い込んでいる工藤は、電話で桜井を呼び出す。桜井と香苗は、綾子を探しにアパートに向かう。

大芝居

桜井と香苗は綾子と相談し、桜井が綾子を襲う芝居をして、盗聴している工藤の手下に聞かせる。工藤の手下から話を聞いた工藤は、山崎と一緒に綾子のアパートに向かう。綾子のアパートについた工藤たちに、コンドウになりきった桜井が、「綾子や子どもを殺したが、金の場所は分からなかった」と告げる。だが、血のにおいがしないために、工藤が桜井のウソを見抜く。死んだ子どものフリをしていた香苗は、子ども部屋に置かれたギターや絵画などが2億円以上の価値があることを工藤に話す。

抱擁

綾子のアパートから物を持ち出すことにした工藤。山崎は、「桜井と綾子は自分が始末する」と工藤を説得し、車で連れていく。すぐに山崎は警察に電話をし、工藤たちを逮捕させる。途中で香苗を降ろしたあと、山崎は桜井から自殺をしようとした理由聞く。桜井は、結婚しようと思っていた女性が別の男性と結婚することになったために自殺を試みたのだった。桜井を降ろしたあと、山崎は社内に落ちていた写真を拾う。写真には桜井と女性の幸せそうな姿が映っている。一方香苗は、山崎が書いていたノートの「好きなもの」のところに、「水島香苗」と書かれているのを見つける。車で香苗の元に駆けつける山崎。2人は抱きしめ合う。