古代ローマのテルマエ

ハドリアヌスが皇帝として君臨している、紀元128年の古代ローマ。民衆はテルマエと呼ばれる公衆浴場を愛している。自分の設計するテルマエを古いと言われたテルマエ技師のルシウスは、派手になっていくテルマエ文化をよく思っておらず、斬新な発想を求めていた。テルマエにやって来たルシウスが湯船に潜ると、浴槽に空いた穴を見つける。穴に吸い込まれたルシウスは、現代日本の銭湯に姿を現す。

現代日本の銭湯

銭湯を奴隷用の風呂と勘違いしたルシウスは、衣装かごや風呂おけといった道具や、フルーツ牛乳などに感心する。銭湯にいた漫画家志望の真実は、筋骨隆々として濃い顔のルシウスの姿にインパクトを受ける。敗北感で涙を流すルシウスは、ローマのテルマエで目を覚ます。数カ月後、ルシウスが設計した、銭湯の道具などを取り入れた新しいテルマエがオープンし、市民たちの好評を得る。「自宅にもテルマエがあったら」という老人の話を聞いたルシウスは、そのアイデアについて湯船の中で考えていると、再び現代日本にたどり着いてしまう。

ハドリアヌスからの依頼

真実がアシスタントとして働く漫画家の風呂場に現れたルシウスは、小さな湯船やシャンプーハットなどに衝撃を受ける。一方、ルシウスを見かけた真実は、探していたインパクトのある主人公にルシウスがぴったりと考える。だが、目にゴキブリ退治のスプレーを吹きかけてしまったルシウスが涙を流すと、ローマへと戻ってしまう。1カ月後、ルシウスは自宅用のテルマエを作り上げる。そんなルシウスは、皇帝ハドリアヌスに呼ばれ、腕を見込まれてハドリアヌスのテルマエの設計を頼まれる。

ショールーム

ハドリアヌスのテルマエのアイデアが思いつかないルシウスは、池に落ちて再び現代日本のバスルームのショールームで働く真実の前に姿を現す。泡風呂、クラゲの映像の流れるモニターに癒やしを感じるルシウス。さらに、トイレの温水洗浄に感激して涙を流したルシウスは、ローマへと戻る。数カ月後、現代日本で見た設備を導入したテルマエを作ったルシウスは、ハドリアヌスから称賛される。だが、私生活では妻の浮気現場を目撃し、妻は家を出ていってしまう。一方、漫画家の才能がないと言われた上に、ショールームの仕事もクビになった真実は、実家の温泉宿へと戻る。

バナナワニ園

巡回視察の際に、寵愛する少年アンティノーをエジプトで亡くしたハドリアヌス。意気消沈したハドリアヌスは、ワニやバナナといったエジプトへの憧憬を口にする。その姿を見たルシウスは、テルマエを修理中に浴槽に転落し、現代日本のバナナワニ園に到着する。そこには、母から言われてお見合いをする真実がいる。真実に案内をしてもらおうと、ルシウスは真実を抱きかかえて見合い相手の前から連れ去る。ワニの飼育、バナナの栽培、露天風呂を見たルシウスは、再びローマへと戻る。

ケイオニウスのためのテルマエ

ハドリアヌスのために、ナイル風テルマエを設計したルシウス。皇帝ハドリアヌスは、北方の蛮族を制圧するために戦地へと向かう。後継者にケイオニウスを考えているハドリアヌスは、ケイオニウスが民衆の支持のためのテルマエ作りをルシウスに依頼するものの、ルシウスは気乗りしない。ルシウスのせいでテルマエ技師の仕事が減ったと考える男に襲われたルシウスは、井戸に落ちて再び現代日本に送られる。

温泉宿

真実の実家の温泉で助けられたルシウスは、地熱によって温まった地面や温泉に、体を癒やす効果があることを知る。酒の酔いが回ったルシウスは、再会した真実を抱きかかえたままで温泉に落ちる。ルシウスと真実は、ローマにたどり着く。ケイオニウスのテルマエ作りを辞退することに決めたルシウスは、止める真実を振り切り、戦地にいるハドリアヌスの元に向かう。

歴史が変わる

戦地のハドリアヌスにテルマエ作りの辞退を申し出たルシウスは、ハドリアヌスの怒りを買う。これまでの功績から命は助けられるが、追放を命じられる。落ち込んでローマに戻る途中で、ルシウスは湧き出る温泉に気づく。ローマに戻ったルシウスを真実が迎える。ケイオニウスによってアントニヌスが属州の総督に命じられたことから、歴史が変わってしまい、ハドリアヌスが神格化されないことを真実から聞かされるルシウス。だが、ルシウスは現代日本の風呂をまねしてきた自分を恥じ、落ち込んでいる。そんなルシウスを、真実が励ます。

オンドル小屋

立ち直ったルシウスは、戦地に湯治場を作ることを思いつき、アントニヌスの発案としてハドリアヌスに進言し、認められる。古代ローマに迷い込んでいた真実の父や温泉宿の常連客たちも一緒になり、オンドル小屋を作るルシウスたち。傷ついた兵士たちは湯治場のおかげで体力を回復することができ、苦戦を強いられていたローマ軍は反攻に出る。

ローマ軍の勝利が確定的となった夜。ルシウスは真実に感謝を述べ、初めて笑顔を見せる。涙を流した真実の体が透けていき、涙が元の世界に戻る鍵だったことがわかる。消えゆく真実は、ルシウスと再会を約束する。勝利を収めたハドリアヌスは、ローマ市民たちの前で演説をする。湯治場を進言したアントニヌスの功績をたたえ、属州への派遣を取り消される。また、テルマエを作ったルシウスのことも称賛する。

再会

現代日本に戻った真実は、もう少し漫画家の夢を追うことにし、ルシウスを主人公にした漫画を出版社に持ち込む。出版社から晴れやかな表情で出てきた真実が川にかかる橋を歩いていると、川から橋に上がってきたルシウスと遭遇する。

人物 1 テルマエ・ロマエ

ルシウス・モデストゥス

俳優:阿部 寛 ルシウス・モデストゥスは、古代ローマのテルマエ(浴場)設計技師である、映画「テル・・・マエ・ロマエ」の登場人物。古き良き時代のテルマエを愛しており、派手で華美なテルマエのテルマエがもてはやされる風潮を嫌っている。そのため、時代遅れの設計と言われることに、悩みを抱えている。子どもを欲しがっている妻がいるものの、仕事にかまけて相・・・
人物 2 テルマエ・ロマエ

山越 真実

俳優:上戸 彩 山越真実は、漫画家志望の女性である、映画「テルマエ・ロマエ」の登場人物。派遣社員・・・としてバスルームのショールームで働きながら、漫画家のアシスタントをして自身も漫画家を目指している。だが、漫画家としての才能を否定され、インパクトのあるキャラクターを探している最中に、銭湯や風呂場に現れたルシウスと出会う。睡眠時間を削って漫画・・・
人物 3 テルマエ・ロマエ

ハドリアヌス

俳優:市村 正親 ハドリアヌスは、第14代ローマ皇帝である、映画「テルマエ・ロマエ」の登場人物。実・・・在の人物。それまでの拡大路線から転換し、属州の統治を固めることに力を注いだ。一方で、元老院と対立し、対抗勢力の粛清も行ったことから暴君とも言われていた。自らも設計するなど風呂に対しても造形が深く、ルシウスが設計した風呂を月明かりで照らすアイ・・・
セリフ・名言 1 テルマエ・ロマエ

ルシウス(ナレーション)「派手なテルマエがもてはやされるこの現状を打破できるような、斬新な発想さえ思いつけば」

0:05:40頃 古代ローマのテルマエ設計技師のルシウスは、古き良きテルマエを愛・・・していた。そのため流行から取り残されてしまったことに焦るルシウスは、現在の風潮に反発しながらも、斬新なテルマエを考え出そうとしていた。騒がしいテルマエから逃れるように、湯船に全身を沈めたルシウスの言葉。ルシウスの強い思いは、ルシウスを現代日・・・
セリフ・名言 2 テルマエ・ロマエ

ルシウス(ナレーション)「顔が・・・平たい」

0:08:00頃 斬新なテルマエを設計しようと苦悩していたルシウスは、古代ローマ・・・のテルマエの浴槽から現代日本の銭湯にたどり着く。銭湯にいる日本人たちの顔を見たルシウスの言葉。ルシウスは奴隷たちの風呂と考えるものの、これまで見たことのない銭湯の設備などに感銘を受ける。 ・・・
セリフ・名言 3 テルマエ・ロマエ

真実「ケンシロウ・・・?」

0:10:45頃 アシスタントを務める漫画家先生からダメ出しを食らっていた漫画家・・・志望の真実は、銭湯の脱衣場で眠ってしまっていた。そこに、突如として現れた筋骨隆々とした謎の男ルシウスを目撃した真実の言葉。「ケンシロウ」とは、漫画「北斗の拳」の主人公のこと。 ・・・
音楽 1 テルマエ・ロマエ

裏切り者め!

「裏切り者め!」は、イタリアの作曲家であるジュゼッペ・ヴェルディが作曲し、187・・・1年に初演されたオペラ「アイーダ」の曲。「テルマエ・ロマエ」では、ルシウスが古代ローマから日本へと向かうシーンで使われている(0:06:35頃、0:15:30頃、0:46:25頃)。 ・・・
音楽 2 テルマエ・ロマエ

女心の歌

「女心の歌」は、イタリアの作曲家であるジュゼッペ・ヴェルディが作曲し、1851年・・・に初演されたオペラ「リゴレット」の曲。「テルマエ・ロマエ」では、現代日本から古代ローマに戻ったルシウスが設計したテルマエが公開された時のシーンで使われている(0:13:15頃)。 ・・・
音楽 3 テルマエ・ロマエ

怒りの日

「怒りの日」は、イタリアの作曲家であるジュゼッペ・ヴェルディが作曲し、1874年・・・に初演されたカトリックのミサ曲「レクイエム」の曲。「バトル・ロワイアル」(2000)や「ジャンゴ 繋がれざる者」(2012)でも使われたことで知られる。「テルマエ・ロマエ」では、バナナを持って逃げたサルをルシウスが追うシーンで使われている(・・・
キーワード 1 テルマエ・ロマエ

評価、興行

「テルマエ・ロマエ」は興行収入59.8億円の大ヒットとなり、2012年の邦画2位・・・となった。また、ルシウスを演じた阿部寛は、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞やブルーリボン賞主演男優賞など多くの賞を受賞した。 ・・・
キーワード 2 テルマエ・ロマエ

濃い顔、平たい顔族

ルシウスを阿部寛、ハドリアヌスを市村正親、ケイオニウスを北村一輝、アントニヌスを・・・宍戸開と、古代ローマ人の主要な登場人物は、濃い顔の日本人俳優が演じている。ルシウスが現代日本にたどり着いた時の日本人の第一印象は「顔が平たい」だった。そのため、ルシウスは日本人のことを「平たい顔族」と呼ぶ。 ・・・
キーワード 3 テルマエ・ロマエ

古代ローマ

当時の古代ローマは、他民族を制圧して世界最大の帝国を築いており、歴代の皇帝は神格・・・化されることで神となって崇められていた。映画の舞台となるのは、紀元135年頃の古代ローマである。ハドリアヌスが皇帝を務めており、領土拡大から安定路線に方針を転換した時代だった。当時のローマでは、公衆浴場がローマ市民の人気を得ていた。また、ド・・・
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