占拠される大使館
イランでは、1979年に革命が起き、国王のパーレビが追放された。パーレビをアメリカが入国させたことから、テヘランのアメリカの大使館前ではデモが行われている。1979年11月4日。大使館を取り囲むイランの人々が大使館になだれ込んでくる。大使館員は書類を焼却し、シュレッダーにかける。72人の大使館員のうち66人が人質となる。裏口から逃げた6人の大使館員は、カナダ大使の私邸にかくまわれる。
シーン 1
前国王パーレビをアメリカが入国させたことから、イラン国内ではアメリカにパーレビの・・・ 返還を求める抗議運動が起こっていた。アメリカ大使館の敷地の周りを、イラン国民の群衆が包囲する。群衆はシュプレヒコールを上げ、ホメイニ師の写真を掲げ、アンクル・サムの人形を燃やす。やがて、群衆は壁を乗り越え、門のチェーンを切断して敷地内へと入・・・
シーン 2
イラン人の群衆に取り囲まれたアメリカ大使館。群衆が、壁を乗り越えて大使館の建物に・・・ 近づく。危険を察知した大使館員は、書類を燃やし、設備を破壊する。警備兵は催涙弾を撃つなどして群衆を押し止めようとするが、勢いは止まらない。群衆は大使館の建物を取り囲む。
警備主任の男は、群衆を説得しようとドアから外に出る。だが、すぐに群衆・・・
救出作戦
69日後。人質はいまだ解放されていない。アメリカ政府は、大使邸にいる人質についてカナダ政府から対応を求められている。国務省が人質を救出する作戦を受け持つことになり、CIAの救出のプロであるトニー・メンデスが顧問として会議に呼ばれる。救出の素人である国務省の職員の話を聞いていたトニーは、プロに任せるように話す。
トニーのアイデア
自宅で息子と電話をしながら映画「最後の猿の惑星」を見ていたトニーは、6人をSF映画のロケハンのスタッフにすることを思いつく。トニーは以前からのCIAの協力者でハリウッドで活躍する特殊メイクアーティストのジョン・チェンバースに連絡し、協力を頼む。チェンバースは、映画プロデューサーのレスター・シーゲルに相談を持ちかけ、シーゲルは協力を約束する。
「アルゴ」
SF映画の脚本「アルゴ」に目をつけたトニーたちは、脚本家から脚本を買い取る。本物の映画製作と思わせるために、ポスターや絵コンテが用意され、映画製作を大々的に発表するためのパーティが開かれる。一方、カナダ大使邸の6人は、焦燥を募らせていく。さらに、大使邸で働くイラン人家政婦が、外出しない6人のことを怪しみ始める。
シーン 3
カナダ大使邸にかくまわれた6人のアメリカ大使館員を救出するために、国務省とCIA・・・ は救出作戦を考える。救出のプロであるCIAエージェントのトニー・メンデスは、大使館員を映画製作のロケハンのスタッフに見立てて脱出させる計画を考えつく。
トニーは、以前からのCIAの協力者である、ハリウッドのメイクアップ・アーティストのジョ・・・
イランへ
イラン国内では、大使館の人質に対する締めつけが強くなる。1980年1月25日、CIA長官から映画製作作戦についての承認が降りる。トニーは、「アルゴ」の製作補になりすましてイランに向かう。途中でトルコのイスタンブールに立ち寄り、現地のCIAのエージェントから入国についての注意を受け、イランの在トルコ領事館を訪れてトルコへの入国ビザを取得する。
シーン 4
大使館員を救出させるために、大使館員をSF映画「アルゴ」のロケハンスタッフに仕立・・・ て上げる作戦を考えたトニー。ハリウッドのメイクアップ・アーティストのジョン・チェンバースとベテランの映画プロデューサーのレスター・シーゲルと協力し、映画製作会社を設立し、「アルゴ」製作のパーティを開いて業界誌「バラエティ」に記事を書かせるな・・・
計画を聞く大使館員
イラン国内に入ったトニーは、信頼性を増すために文化・イスラム指導省を訪れたあと、カナダ大使邸に向かう。計画を聞いた6人は、映画製作のロケハンというとっぴな計画に戸惑い、反対する者も出る。だが、最終的には計画を実行することになり、6人には偽の名前や経歴が与えられ、完璧に覚えることが求められる。
拒否
文化・イスラム指導省から、バザールで担当者に会うようにとの命令が届く。大使館員6人の1人であるジョーは、危険性が高いことからバザールに行くことを拒否する。だが、トニーから本名や素性を明かされ、「信頼して欲しい」と説得される。バザールに車で向かう途中で、大規模なデモに遭遇するものの、何事もなく通り過ぎる。
バザールの視察
待っていたイラン側の担当者に連れられてバザールを見学するトニーたち。その様子は、イラン側によって写真に撮影されている。美術監督になりすましているキャシーが店を撮影したことから、怒った店主とトラブルになるが、無事に大使邸に戻ることができる。トニーは、明日の脱出に備えて6人に対して尋問のシミュレーションをする。だがその夜、トニーは上官のジャックから作戦の中止を告げられる。
シーン 5
大使館員たちがSF映画「アルゴ」のロケハンスタッフになりすまして、イランから脱出・・・ する計画が進む。イランの文化・指導省は、トニーたちにイランの担当者とバザールで会い、一緒に視察するように命じる。あまりにも突飛な計画内容や、突如として現れたトニーへの不信感から、大使館員の1人であるジョーは、バザールへの同行を断る。だが、ト・・・
計画続行
ホテルに戻ってアルコールを飲むものの眠れないトニーは、朝になって上官のジャックに電話をし、計画を進めることを一方的に告げる。ジャックは大あわてで再開の手はずを始め、飛行機のチケットを再発行する権限を持つカーター大統領に連絡を取る。再発行はギリギリのタイミングで間に合う。一方、革命防衛隊の本部では、シュレッダーにかけられていた大使館員の写真が子どもによって復元され、ロケハンの同一人物であることが発覚する。
シーン 6
「アルゴ」作戦の実行のためにイランに入り込み、大使館員たちにカナダ人の映画撮影ク・・・ ルーになりすまさせたトニー。バザールでの視察ではトラブルになりかけたものの、なんとか危機を回避していた。だが、決行を翌日に控えた夜、アメリカ政府が作戦の中止を決定する。
中止の連絡を受けたトニーは、眠れない夜を過ごす。朝になり、トニーはア・・・
シーン 7
トニーがイランに入国し、SF映画「アルゴ」のロケハンスタッフとして入国したことに・・・ してアメリカ大使館員を飛行機で脱出させる計画が進められる。だが、実行の前夜に、アメリカ政府によって中止の命令がくだされる。トニーは独断で作戦の継続を決め、アメリカにいる上司のジャックに継続を一方的に伝える。
トニーたちは空港に向かう。だが・・・
電話確認
飛行機の搭乗口で乗員の確認をしている革命警備隊の男は、トニーたちを別室に連れていく。ペルシア語の話せるジョーが、雑誌や絵コンテを見せて映画撮影のロケハンに来たことを説明する。警備隊の男は、映画会社に確認の電話をする。シーゲルとチェンバースは外出していたが、間一髪のところで電話に出て対応する。
シーン 8
イランから出国するために飛行場にやって来たトニーたち。SF映画「アルゴ」のロケハ・・・ ンスタッフになりすましたトニーたちだったが、飛行機の搭乗口で革命防衛隊の男に怪しまれてしまう。ペルシア語のできるジョーが、絵コンテを見せながら映画の内容を説明する。だが、革命防衛隊の男は納得しない。トニーは映画会社「スタジオ6」の名刺を見せ・・・
脱出
トニーたちは飛行機に乗るが、警備隊の元に本部からトニーたちの正体についての連絡が入る。トラックに乗って、滑走路から離陸しようとする飛行機を追う警備隊だったが、飛行機は飛び立つ。飛行機はイラン領空から外に出る。飛行機の中では大使館員たちが喜び合い、トニーは安堵のほほえみを見せる。アメリカのCIA本部では職員たちが歓声を上げ、ジャックは目に涙を浮かべている。ハリウッドでは、チェンバースとシーゲルが抱き合って喜ぶ。
シーン 9
航空チケットの予約、入国票の不備、革命防衛隊の尋問という難関を突破して、トニーた・・・ ちはイランを出国する飛行機に乗り込む。だが、大使館でシュレッダーにかけられていた大使館員の名簿の写真と、バザールで撮影された写真が照合され、ロケハンスタッフたちが大使館員と同一人物であることを革命防衛隊が知る。
革命防衛隊は、ロックされた・・・
絵コンテ
帰国したトニーに、CIAの最高の栄誉であるスター勲章が送られることになる。だが、作戦は機密扱いとなったため、勲章はすぐに没収されてしまう。トニーは別居していた妻と子どもの元に戻る。ひそかに隠し持っていた「アルゴ」の絵コンテが、SF映画好きである息子の部屋に、「スター・ウォーズ」のフィギュアなどとともに飾られている。
シーン 1
アルゴ
前国王パーレビをアメリカが入国させたことから、イラン国内ではアメリカにパーレビの・・・ 返還を求める抗議運動が起こっていた。アメリカ大使館の敷地の周りを、イラン国民の群衆が包囲する。群衆はシュプレヒコールを上げ、ホメイニ師の写真を掲げ、アンクル・サムの人形を燃やす。やがて、群衆は壁を乗り越え、門のチェーンを切断して敷地内へと入・・・
シーン 2
アルゴ
イラン人の群衆に取り囲まれたアメリカ大使館。群衆が、壁を乗り越えて大使館の建物に・・・ 近づく。危険を察知した大使館員は、書類を燃やし、設備を破壊する。警備兵は催涙弾を撃つなどして群衆を押し止めようとするが、勢いは止まらない。群衆は大使館の建物を取り囲む。
警備主任の男は、群衆を説得しようとドアから外に出る。だが、すぐに群衆・・・
シーン 3
アルゴ
カナダ大使邸にかくまわれた6人のアメリカ大使館員を救出するために、国務省とCIA・・・ は救出作戦を考える。救出のプロであるCIAエージェントのトニー・メンデスは、大使館員を映画製作のロケハンのスタッフに見立てて脱出させる計画を考えつく。
トニーは、以前からのCIAの協力者である、ハリウッドのメイクアップ・アーティストのジョ・・・
人物 1
アルゴ
俳優:ベン・アフレック
トニー・メンデスは、脱出のプロのCIAエージェントである、映画「アルゴ」の登場人・・・ 物。実在の人物。ニューヨーク出身。父は建設作業員で、母は小学校の教師。妻と10歳になる息子がいるが、現在は別居中で、妻たちはヴァージニアに住んでいる。ヒゲがトレードマーク。これまでにも脱出のプロとして活動し、イランの前国王パーレビの側近を国・・・
人物 2
アルゴ
俳優:ブライアン・クランストン
ジャック・オドネルは、CIAの職員でトニー・メンデスの上司である、映画「アルゴ」・・・ の登場人物。トニーの作戦を支援し、国務省やホワイトハウスとのパイプ役を務める。トニーとともにCIA長官や国務長官に計画を説明し、実行の承認を得る。イランへの危険な任務に向かうトニーを車で送っていく。
実行前夜に中止命令を受け取り、電話でイ・・・
人物 3
アルゴ
俳優:アラン・アーキン
レスター・シーゲルは、ハリウッドを拠点とする映画プロデューサーである、映画「アル・・・ ゴ」の登場人物。ジョン・チェンバースの知り合い。カンヌ映画祭審査員特別賞のトロフィーなどが飾られた豪邸に住んでいる。トニーとチェンバースが訪れた時には、生涯功労賞のパーティに出発するところだった。2人の娘がいるが、会うのは年に1回程度で、自・・・
セリフ・名言 1
アルゴ
0:18:55頃
イランのアメリカ大使館が占拠され、6人の大使館員がカナダ大使邸・・・ にかくまわれていることが発覚する。国務省が救出作戦の指揮を取ることになり、CIAが顧問となる。救出の専門家であるCIAのトニー・メンデスは、国務省のアイデアを聞き、計画のずさんさを指摘する。
・・・
セリフ・名言 2
アルゴ
0:19:15頃
カナダ大使邸にかくまわれた6人の大使館員の救出のために、国務省・・・ が会議を開くものの、そこで出されるアイデアはずさんなものだった。CIAの救出のプロであるトニーは、救出はプロに任せたほうが良いと進言する。
・・・
セリフ・名言 3
アルゴ
0:26:10頃
カナダ大使邸にかくまわれた6人を、映画製作のロケハンとして入国・・・ した人物と偽って脱出する計画を考えたトニー。トニーは、CIAの協力者でハリウッドのメイクアップ・アーティストであるチェンバースに協力をあおぐ。チェンバースは、モンスター映画の特殊メイクを担当しているところだった。
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音楽 1
アルゴ
「悲しきサルタン(Sultans of Swing)」は、イギリスのロック・バン・・・ ド「ダイアー・ストレイツ」による1978年にリリースされたデビューシングル。ヒット曲となった。「アルゴ」では、シーガルとトニーが脚本の交渉に出向く時に使われている(0:35:10頃)。
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音楽 2
アルゴ
踊り明かそう(Dance the Night Away)は、アメリカのロック・バ・・・ ンド「ヴァン・ヘイレン」が1979年にリリースした曲。「アルゴ」では、ホテルで映画「アルゴ」の派手なパーティが開かれるシーンで使われている(0:37:50頃)。
・・・
音楽 3
アルゴ
「レヴィー・ブレイク(When the Levee Breaks)」は、イギリス・・・ のロック・バンドであるレッド・ツェッペリンが1971年にリリースした曲。元は1929年に発表されたブルースである。「アルゴ」では、脱出作戦の決行前夜に、ボブ・アンダースがレコードでかけ、大使館員たちは酒を飲む。その様子を、計画中止を言い渡さ・・・
キーワード 1
アルゴ
「アルゴ」は高く評価され、アカデミー賞では7部門にノミネートされ、3部門を受賞し・・・ た(作品賞、脚色賞、編集賞)。また、ゴールデン・グローブ賞作品賞(ドラマ)、放送映画批評家協会賞作品賞など、多くの賞を受賞している。
興行的にも、北米で1億3千万ドルを超えるヒットとなり、全世界での興行収入は2億3千万ドルを超えた。
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キーワード 2
アルゴ
イランでは、2500年にわたりシャーと呼ばれる王が統治してきた。1950年、非宗・・・ 教的な民主的指導者モサデクが首相となり、英米が支配していた石油を国有化した。だが1953年に国有化に反対する英米が画策したクーデターが起き、モサデク政権は倒されてパーレビがシャーとなった。
パーレビはコンコルドでパリから昼食を運ばせるなど・・・
キーワード 3
アルゴ
革命防衛隊は、イランの正規軍とは別にホメイニ師が創設した軍隊である。革命防衛隊に・・・ は欧米で教育を受けた者が多数参加している。
アメリカ大使館の占拠後は、子どもたちにシュレッダーで寸断された大使館職員の顔写真を復元させ、復元された写真からロケハンでバザールに訪れた一団の1人が大使館員であることが発覚する。空港では、革命防・・・