名シーン紹介　市民ケーン

ケーンとエミリーの朝食にみる結婚の破綻

重要な部分に触れている場合があります。

時間：　0:51:25頃

見どころ
・6回の朝食で結婚の破綻を描く巧みな描写
・徐々に心が離れていくケーンを表現するウェルズの演技

ケーンは、大統領の姪（めい）であるエミリーと結婚する。だが、ケーンの親友だったリーランドによると、2人が朝食をともにしたのは最初の数カ月だけだったという。ケーンとエミリーの関係性が悪化する様子を、6回の朝食で簡潔に表現している。

1回目の朝食
互いに楽しそう。エミリーは前夜のパーティのことを話し、深夜まで仕事をするケーンの体を心配する。

2回目の朝食
仕事に夢中のケーンにグチを言うエミリー。ケーンは嫌そうな顔を見せるものの、取り繕い、「君の恋敵は新聞だけさ」と冗談を言う余裕がある。

3回目の朝食
ケーンに取り繕う余裕がなくなり、エミリーの言葉に言い返す。だが、まだ皮肉交じりに対応をする余裕がある。ケーンの新聞の大統領批判をやめるように言うエミリーに、「君のおじさんはまぬけだ」と失礼なことを言う。

4回目の朝食
エミリーの文句に、ケーンはしかめっつらで対応。

5回目の朝食
ケーンの語気が荒くなる。

6回目の朝食
互いに新聞を読んでおり、会話がない。

上記の段階を踏んで、仲睦まじい姿から、ついに会話がなくなるまでを巧みに描いている。

ケーンを演じているオーソン・ウェルズの演技が巧みだ。仲睦まじい最初の段階から、面倒くさいと思っている部分もあることが伝わってくる。

リーランドは、「どんな結婚も同じさ」と語っている。どんな結婚も、ダメになる時はこのような過程を踏むのかもしれない。6回目の朝食のように、互いの存在が認めなくなったら、結婚生活はもう終わりということだろう。

登場人物・キャスト

IMDb

人物 1 市民ケーン

チャールズ・フォスター・ケーン

俳優：オーソン・ウェルズチャールズ・フォスター・ケーンは世界有数の大富豪であり、新聞王。母親が権利を持っ・・・ていた金鉱から金が出た際に、後見人サッチャーに預けられる（1871年）。25歳になると莫大な資産を手に入れ世界で6番目の資産家となる。だが、金鉱などには興味を持たず、バーンスティンや友人で劇評家のリーランドとともに、ニューヨークの新聞インク・・・

IMDb

人物 9 市民ケーン

エミリー・ノートン

俳優：ルース・ウォリック大統領の姪（めい）で、ケーンの最初の妻。ヨーロッパでケーンと知り合い、婚約をする・・・。だが、夫婦仲はすぐに悪化し、朝食をともにしたのは最初の数カ月だけだった。息子をもうけるも、スーザンとケーンの関係を知り、ケーンがスーザンを選んだため離婚する。1918年に息子とともに事故死。・・・