新兵訓練場
サウスカロライナ州パリス・アイランドにある海兵隊の新兵訓練場。ベトナム戦争に向かうために若者たちが入隊していくる。若者たちは髪を丸刈りにされ、指導教官のハートマンからののりしりの言葉を受ける。ハートマンは入隊者を、「ジョーカー」「カウボーイ」「ほほ笑みデブ」とあだ名でつける。訓練が始まり、要領のよくないほほ笑みデブはハートマンから厳しい叱責を受ける。
しごき
訓練が続く。ほほ笑みデブは相変わらずハートマンから叱責を受け、ビンタなどの暴力も受ける。障害物を越える訓練では、高いハシゴの上をまたぐことができない。ある日、「聖母マリアを信じるか?」とハートマンから聞かれたジョーカーは、「信じない」と答える。殴るハートマンに「信じると答えても殴られる」と語ったジョーカーは、ハートマンに見込まれて班長になり、ほほ笑みデブの面倒も見るように命じられる。
リンチ
ジョーカーはほほ笑みデブに障害物のハシゴを越えさせ、ライフルの使い方や靴ヒモの通し方などを教える。だが、微笑みデブがドーナツを自分の荷物に隠して食べていた事が明らかになる。怒ったハートマンはほほ笑みデブ以外の兵士たちに腕立て伏せをさせ、今後ほほ笑みデブが何かをやらかしたら全員に罰を与えると宣言する。その後も、ほほ笑みデブのせいで兵士たちに罰が与えられる。怒った兵士たちは、ほほ笑みデブにリンチをすることに決める。カウボーイがほほ笑みデブを押さえつけ、兵士たちが石鹸を入れたタオルで殴っていく。ためらっていたジョーカーもほほ笑みデブを殴る。ほほ笑みデブは泣き叫び、ジョーカーは耳を手で覆う。
自殺
銃に名前をつけて語りかけるなど奇妙な行動を取り始めるほほ笑みデブを、ジョーカーが心配する。だがライフルの才能を持つことが明らかになり、ハートマンはほほ笑みボブを褒める。訓練が終わり、それぞれの配属が決まる。その夜、見張り当番のジョーカーは、トイレでライフルを持つほほ笑みデブを見つける。ハートマンがほほ笑みデブを止めようとする。だが、ほほ笑みデブはハートマンを撃ち殺し、自分の頭をライフルで吹き飛ばす。
ベトナム
1968年1月、ジョーカーはベトナムのダナンで「スターズ・アンド・ストライプス」紙の記者として従軍している。相棒のカメラマンであるラフターマンは、前線に行きたがっている。上官のロックハートは、ジョーカーに兵士の気分が上がる記事を書くように命じる。ジョーカーはベトナムの旧正月(テト)に敵軍の攻勢があるというウワサについて話すが、ロックハートは取り合わない。
テトの攻撃
テトの大みそかの夜、ジョーカーのいる基地は敵兵の襲撃を受け、ジョーカーも初めて実戦に参加する。攻撃は小規模で、敵兵は追い払われる。だが他の場所では大きな損害を受けたことが明らかになる。ロックハートは、戦闘の取材のためにジョーカーとラフターマンをフエ市に向かわせる。フエ市に向かうヘリには、民間人を無差別にマシンガンで殺す兵士が乗っている。
ピースマークと「born to kill」
ジョーカーとカウボーイは、ベトコンが殺害したとされる20体もの民間人の死体を見てショックを受ける。取材中にジョーカーは大佐に話しかけられる。ジョーカーは、胸につけているピースマークとヘルメットに書かれた「born to kill」の文字について聞かれ、人間の二面性と関係があると答える。その後2人は、カウボーイのいる隊と合流。ジョーカーとカウボーイは再会を喜ぶ。
テレビカメラ
カウボーイのいる隊に同行したジョーカーとラフターマンは、フエ市の町の近くで戦闘に巻き込まれる。カウボーイの上官が死ぬものの、町を占領する。クレイジー・アールが新しい部隊長となる。ジョーカーは味方が死ぬ現実を目の当たりにする。カウボーイの部隊はテレビカメラの取材を受け、ジョーカーも「敵を殺したい」と語る。
売春婦
ベトナム人の売春婦が訪れて、何人かの兵士が買う。その後、部隊がパトロールに出た時に、クレイジー・アールがブービートラップで爆死する。カウボーイが新しい部隊長となって先に進むが、エイトボールが道を間違えてしまう。進路を変えることになり、エイトボールが廃虚となった建物を先兵となって向かっていく。
スナイパー
エイトボールが敵のスナイパーに撃たれる。戦車の応援を要請して部隊に待機を命じるカウボーイ。だが、ドクが独断でエイトボールの救出に向かって撃たれる。カウボーイは撤退を命じるが、アニマルマザーが命令を無視して救出に向かう。アニマルマザーは安全な場所を見つけるが、エイトボールとドクはとどめを刺されて死ぬ。カウボーイたちはアニマルマザーのいる場所に向かう。だが、スナイパーが壁穴を抜けて撃った弾丸を受けたカウボーイは、ジョーカーの腕の中で死ぬ。
生きて帰れる喜び
アニマルマザーを先頭に、スナイパーのいる建物に入っていく。若い女性のスナイパーの姿を見つけたジョーカーは、ライフルを撃とうとするが弾が詰まってしまい、逆にスナイパーに撃たれそうになる。そこに現れたラフターマンがスナイパーを撃つ。瀕死の状態となったスナイパーは、自分を殺すように頼む。アニマルマザーはそのままにしておくように主張するが、ジョーカーがスナイパーを撃ち殺す。ジョーカーは五体満足で母国に帰れることに喜びを感じている。
人物 1
フルメタル・ジャケット
俳優:マシュー・モディーン
ジェイムズ・T・デイヴィス/ジョーカーは、海兵隊員である、映画「フルメタル・ジャ・・・ ケット」の登場人物。メガネがトレードマーク。海兵隊員の新兵訓練場でハートマン軍曹にしごかれる。ハートマンの行動を皮肉る言葉を言ったことから「ジョーカー」と名づけられる。また、「聖母マリアを信じない」と言ったことからハートマンに殴られるものの・・・
人物 2
フルメタル・ジャケット
俳優:ヴィンセント・ドノフリオ
レナード・ローレンス/ほほ笑みデブは、海兵隊訓練キャンプに訓練を受ける、映画「フ・・・ ルメタル・ジャケット」の登場人物。ハートマン軍曹から、テレビドラマ「マイペース二等兵」のマヌケな主人公「ゴーマー・パイル」と名前をつけられる(日本語版では「ほほ笑みデブ」とされている)。太っている。笑みを浮かべているような表情をハートマン軍・・・
人物 3
フルメタル・ジャケット
俳優:R・リー・アーメイ
ハートマン軍曹は、海兵隊訓練キャンプで新兵を指導する教官である、映画「フルメタル・・・ ・ジャケット」の登場人物。あらゆるスラングを駆使して新兵を追い込み、時には暴力を振るって新兵を兵士に育てていく。また「ジョーカー」「ほほ笑みデブ(原語ではゴーマー・パイル)」「カウボーイ」といったあだ名を新兵につける。ほほ笑みデブを育てるた・・・
セリフ・名言 1
フルメタル・ジャケット
0:01:35頃
「フルメタル・ジャケット」の最初のセリフ。海兵隊訓練キャンプに・・・ 入隊した新兵たちを前に、指導教官であるハートマン軍曹が語る。ハートマン軍曹は、ありとあらゆる罵詈雑言を駆使して、新兵たちを兵士へと育て上げる。
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セリフ・名言 2
フルメタル・ジャケット
0:04:05頃
海兵隊訓練キャンプに入隊した新兵たちは、指導教官であるハートマ・・・ ン軍曹から徹底的に罵詈雑言を浴びせられる。ハートマンの言葉に皮肉を言ったジョーカーに対して、ハートマン軍曹が腹を殴ったあとに告げる言葉。
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セリフ・名言 3
フルメタル・ジャケット
0:05:00頃
海兵隊訓練キャンプに入隊した新兵たちは、指導教官であるハートマ・・・ ンから徹底的に罵詈雑言を浴びせられる。ハートマンの言葉に皮肉を言ったジョーカーの腹を殴って罵詈雑言を浴びせたあと、ハートマンは隣に立つカウボーイに目をつける。
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音楽 1
フルメタル・ジャケット
「Hello Vietnam」は、アメリカのミュージシャンであるジョニー・ライト・・・ が1965年にリリースした曲。ベトナム戦争中に戦争を支持した曲として知られる。「フルメタル・ジャケット」では、オープニングの海兵隊訓練キャンプに入隊する男たちがバリカンで頭を丸刈りにされるシーンで使われている(0:00:00頃)。
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音楽 2
フルメタル・ジャケット
「ミリタリーケイデンス」は、軍事教練で使われる曲のこと。「フルメタル・ジャケット・・・ 」では、ハートマン軍曹が歌った歌詞を新兵たちが繰り返す。卑猥な歌詞や、残酷な歌詞が登場する(0:07:30頃、0:12:40頃、0:22:55頃、0:37:05頃)。ちなみに、ゲーム「ファミコンウォーズ」のCMでも歌詞を変えて使われたことで・・・
音楽 3
フルメタル・ジャケット
「ハッピー・バースデイ(Happy Birthday)」は、誕生日に広く歌われる・・・ 曲。「フルメタル・ジャケット」では、クリスマスに歌詞を「ディア・ジーザス」にして歌われる(0:32:25頃)。
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キーワード 1
フルメタル・ジャケット
「フルメタル・ジャケット」は、アカデミー賞の脚色賞やゴールデングローブ賞の助演男・・・ 優賞(R・リー・アーメイ)にノミネートされるなどの評価を受けた。興行的には北米で4,600万ドルを超える興行収入となり、1987年公開作の23位となった。日本では7億円を超える配給収入となった。
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キーワード 2
フルメタル・ジャケット
「フルメタル・ジャケット」が描いているのは、ベトナム戦争である。前半はベトナム戦・・・ 争に送り出される海兵隊員が訓練される様子を描き、後半ではベトナムでの様子を描いている。上官のしごき、リンチ、民間人の殺害、売春婦といった内容が描かれている。また、ベトナム戦争当時に流行したヒット曲が多く使われている。
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キーワード 3
フルメタル・ジャケット
タイトルの「フルメタル・ジャケット」とは、「被覆鋼弾」「完全被甲弾」を意味する。・・・ 表面を真鍮などの金属(メタル)で覆った弾丸のことで、貫通性が高められている。ハーグ陸戦条約では、一部をメタルで覆っていない「パーシャル・ジャケット弾」は破壊力を増すことから、「不必要な苦痛を与える兵器」として人道上の理由から禁止されている。・・・