飛行機にあこがれる少年
飛行機にあこがれる少年の堀越二郎は、自らがパイロットとなって空を飛ぶ夢を見る。だが二郎は近眼だった。航空雑誌で飛行機の設計家であるカプローニの写真を見た二郎は、夢の中でカプローニと会う。カプローニから「飛行機は美しい夢だ。設計家は夢に形を与えるのだ」と言われた二郎は、飛行機の設計家になろうと決意する。
関東大震災
飛行機の設計を学ぶ大学生になった二郎は、東京に向かう列車でで、風に飛ばされた帽子を少女の菜穂子につかまえてもらう。そのすぐあとに関東大震災が発生する。菜穂子の侍女であるお絹が骨折してしまい、二郎が背負って上野まで連れていく。お絹を菜穂子の家の者に引き渡し、二郎は大学に向かう。大学は火事に包まれており、二郎は外に持ち出した本に火が燃え移らないよう奮闘する。
大学
2年後、東京はかなりの復興を見せている。親友の本庄たちとともに、二郎は大学で飛行機の設計を学んでいる。大学を卒業した後には、飛行機会社へ就職し、名古屋へ赴任することが決まっている。大学の下宿に、妹の加代が訪ねてくる。加代は医者になるために東京に出たいが、父に反対されていることを聞いた二郎は、父への説得を約束する。
就職
飛行機開発会社の三菱内燃機に就職した二郎は、名古屋に引っ越す。会社には大学の親友である本庄もいる。設計課の黒川の下で働くようになった二郎は、設計の才能を発揮し、課長の服部の目にも止まる。ある日、陸軍が見学する中、小型飛行機の飛行テストが行われるが、飛行機は空中分解を起こしてしまう。
ドイツ
小型飛行機への情熱を抱く二郎だったが、会社は爆撃機を作ることになり、視察のために本庄とともにドイツに向かう。ドイツでは、本庄とともにユンカースの飛行機に乗せてもらい、すばらしい技術に感心する。ドイツと日本の技術差をアキレスとカメに例える本庄に対して、二郎は小さくてもカメになれる方法はないかと考える。
試作機のチーフに
本庄はドイツに残り、二郎は日本に戻ることになる。戻る途中、二郎の夢にカプローニが登場し、二郎に力を尽くして生きるように激励を送る。昭和7年。日本に戻った二郎は、海軍から依頼された艦上試作機の制作チーフに抜擢される。チームに本庄を求める二郎だったが、友情を失う可能性があると考えた上司の黒川は認めない。
軽井沢
試作機の開発は進み、飛行テストが行われる。だが、試作機は空中分解を起こしてしまう。二郎は軽井沢の避暑地で休養を取る。そこで二郎は、関東大震災の時に助けた菜穂子と再会する。少女だった菜穂子は成長し、父とともに二郎と同じホテルに宿泊している。最初は菜穂子だと気づいていなかった二郎だが、菜穂子はすぐに二郎に気づく。
カストルプ
二郎はホテルで、ドイツ人のカストルプに声をかけられる。飛行機技師であることを見抜いたカストルプは、このままではドイツも日本も戦争に突き進み、その先には破滅が待っていることを話し、何とかして止めたいと語る菜穂子は体が丈夫ではなく、熱を出して静養する。そんな菜穂子の届くようにと、二郎は紙飛行機を飛ばす。
婚約
二郎と菜穂子は親しくなっていき、二郎は結婚を申し込む。菜穂子は承諾するものの、結核にかかっていることを打ち明け、病気が治るまで待ってほしいと頼む。会社に戻った二郎は、新型機の開発を任される一方で、特高警察に目をつけられるようになる。二郎は上司の黒川の家に身を隠し、菜穂子とは文通を続ける。
喀血
自宅で菜穂子が喀血したとの電報を受けた二郎は、大急ぎで名古屋から東京に向かう。二郎と再会した菜穂子は、病気を治したいと強く願うようになり、高原にある療養所に入る決意をする。菜穂子のそばにいたいと願う二郎だったが、飛行機の開発の責任者であることから、名古屋で忙しい日々を送る。
結婚
ある日、二郎の顔を見たい気持ちが抑えられなくなった菜穂子は、療養所を抜け出し、名古屋へ向かう。菜穂子の気持ちを知った二郎は結婚を決意。黒川夫妻を仲人に、ささやかな結婚式が開かれる。黒川の家で、二郎と菜穂子は結婚生活を送り始める。仕事をしながらも、二郎は菜穂子との時間を大切に過ごす。
夢
二郎が設計した新型機がようやく完成する。テスト飛行機の日、菜穂子は黒川の家を出ていく。残された手紙には、高原の療養所に戻ることが書かれている。テスト飛行は成功する。時がたち、二郎は再びカプローニと会う夢を見る。自分の開発した飛行機を元に作られたゼロ戦の残骸が草原に落ちている。夢の中で二郎は菜穂子とも会う。菜穂子は二郎に「生きて」と告げ、風とともに消えていく。二郎は涙を流しながら、「ありがとう」と菜穂子への感謝を述べる。
人物 1
風立ちぬ
俳優:庵野 秀明
堀越二郎は、飛行機の設計技師である、映画「風立ちぬ」の登場人物。少年時代から飛行・・・機への憧れを持ち、外国語の航空雑誌を学校の先生から借りて読んだりしていた。目が悪いことからパイロットではなく設計技師の道を進む。イタリアの航空技師であるカプローニと、夢でたびたび会う。
大学で飛行機の設計を学んでいる時に関東大震災に遭遇。・・・
人物 2
風立ちぬ
俳優:瀧本 美織
里見菜穂子は、堀越二郎の妻となる女性である、映画「風立ちぬ」の登場人物。まだ少女・・・の頃、関東大震災の際に、乗っていた列車で知り合いになっていた二郎に助けられる。それ以来、二郎に対して恋心を抱いていた。
母が結核で亡くなったあと、自らも結核にかかり、父とともに軽井沢に静養に訪れ、絵を描くなどして過ごす。同じように静養に訪・・・
人物 3
風立ちぬ
俳優:西島 秀俊
本庄は、二郎の親友である、映画「風立ちぬ」の登場人物。ニヒルな性格。二郎とは親友・・・で、互いの腕を認め合っている。大学時代は二郎とともに飛行機の設計を学び、卒業後も三菱内燃機に同期として就職した。二郎とともにドイツのユンカース爆撃機を視察し、技術力の開きを嘆く姿を見せる。ドイツに向かう直前に結婚している。二郎が日本に帰国す・・・
セリフ・名言 1
風立ちぬ
0:00:20頃
「風立ちぬ」の冒頭で字幕で紹介される、ポール・ヴァレリー詩「海・・・辺の墓地」の一節を堀辰雄が訳したもの。「風立ちぬ」が着想を得た、堀辰雄の小説「風立ちぬ」の冒頭で使われている。訳し方は異なるものの、この詩の一節は映画内で繰り返し登場する。
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セリフ・名言 2
風立ちぬ
011:30頃
飛行機にあこがれる少年の二郎は、近眼であることを気にしていた。イ・・・タリアの飛行機設計家であるカプローニと夢の中で遭遇した二郎は、カプローニから近眼など気にする必要がないと励まされる。目を覚ました二郎は、設計家の夢を追い求めることを心に決めていた。
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セリフ・名言 3
風立ちぬ
0:12:40頃
飛行機に憧れる少年の二郎は、夢の中でイタリアの設計家であるカプ・・・ローニと会い、飛行機が持つ夢についての話を聞く。夢を見ながら「はい!」と返事をしていた二郎は、目を覚ました時には設計家の夢を追い求めることを心に決めていた。
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音楽 1
風立ちぬ
「冬の旅 - 溢れる涙」は、オーストリアの作曲家であるフランツ・シューベルトが1・・・827年に作曲した連作歌曲集の第6曲。「風立ちぬ」では、ドイツを訪れた二郎と本庄が、散歩している時に家の中から聞こえてくる(0:52:20頃)。
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音楽 2
風立ちぬ
「ツィゴイネルワイゼン」は、スペイン出身の作曲家でヴァイオリニストであるパブロ・・・・デ・サラサーテが1878年に完成させた管弦楽伴奏付きのヴァイオリン独奏曲。「風立ちぬ」では、二郎が上司の黒川や服部と、カフェ「フライヤ」で話をしている時に蓄音機から流れている(0:59:10頃)。
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音楽 3
風立ちぬ
「唯一度だけ」は、ドイツ映画「会議は踊る」(1931)の主題歌として使われた曲。・・・「風立ちぬ」では、軽井沢のホテルのロビーで、カストルプがピアノを弾きながら歌いはじめ、二郎や里見も一緒に歌う(1:22:10頃)。
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キーワード 1
風立ちぬ
「風立ちぬ」は、日本アカデミー賞やニューヨーク批評家協会賞の作品賞を受賞するなど・・・の評価を受けた。また、アカデミー賞の長編アニメ賞にもノミネートされた。興行的にも、120億円を超える興行収入を上げる大ヒットとなり、2013年の1位となった。
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キーワード 2
風立ちぬ
「風立ちぬ」の主人公の堀越二郎は、少年時代から飛行機に憧れを持っている。夢に出て・・・きたイタリアの飛行機の設計家であるカプローニに励まされたことから、設計家の道を志すことに決める。大学で飛行機の設計を学んだ二郎は、飛行機開発会社の三菱内燃機に就職し、たゆみない努力と才能で頭角を現していく。
「風立ちぬ」では、次のような飛・・・
キーワード 3
風立ちぬ
少年時代の二郎は、夢に出てきたイタリアの飛行機の設計家であるカプローニに励まされ・・・たことから、設計家の道を志すことに決める。その後も二郎は夢の中でカプローニと会い、カプローニはセンスの重要性、力を尽くすこと、創造的人生は10年であること、飛行機は呪われた宿命を背負っていることなどを二郎に語る。
映画の終わりでは、再びカ・・・