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サルヴァトーレ・ディ・ヴィータ(愛称トト)は、シチリア島の村で映写技師を務める、映画「ニュー・シネマ・パラダイス」の登場人物。
少年時代から映画に魅せられ、村で唯一の映画館に入り浸り、映写技師のアルフレードと親しくなる。可燃性のフィルムが原因で起こった火事によってアルフレードが視力を失ってからは、まだ小学生にもかかわらず映写技師を務め、青年期まで担当する。アルフレードのアドバイスもあり、ローマに行き、映画監督として成功。アルフレードの死を聞き、30年ぶりに故郷に戻ってくる。
【少年期】
父親が第二次対戦でソ連に出征してから戻っておらず、母マリアによって妹とともに育てられている。映画に魅せられ、映写室に入り浸る。映写室から持ち出したフィルムのコマを見て、映画を思い出してシーンのまねをする姿も見せる。可燃性のフィルムが家の中で燃えて妹の命を危険にさらしたことから、マリアによって映写室に行くことを禁じられるが、小学校卒業試験を受けたアルフレードを助けたこともあり、再び入り浸るようになり、アルフレードから映写の方法も教わる。アルフレードが視力を失った際には、「ニュー・シネマ・パラダイス」として再建された映画館の映写技師を務めるようになる。
子のいないアルフレードと父のいないトトは親しくなる。映画館が火事になった時に、アルフレードを助けるのはトトである。
・映画館に入るために、お使いの牛乳代を使い、マリアから怒られる(アルフレードが機転をきかせて助けてくれる)。
・悪ガキの面もあり、映画を見る時には友だちとタバコを回し合って吸う。また、映写室から追い出したアルフレードに「クソッタレ」と言う姿を見せる。
・ずる賢い面もあり、アルフレードが乗る自転車に乗せてもらうために具合が悪くなったふりをしたり、禁止されている映写室に入るために、アルフレードの妻アンナから弁当を受け取って届けたりする。アルフレードに「友だちになろう」と言った時には、「おまえはずる賢すぎる」と言われる。
・父の死をニュース映画で知る。だが、幼い頃から長年会っていないこともあってか、父の死に涙を流すマリアと一緒に歩いている時には、「風と共に去りぬ」のポスターを見て笑顔を見せる。
・子どものため映写技師の資格を取れないが、映画館主のスパッカフィーコが資格を取り、作業はトトが行う。
【青年期】
学校に通いながら映写技師を続ける。自分でも撮影を行うようになっており、子牛をさばく様子を撮影する。ある日、駅から出てくる少女エレナを撮影したことから一目ぼれする。教会で告解に訪れたエレナに愛を告白するものの、最初は受け入れられない。毎日エレナの家の前で待つことで愛を証明しようとする。1955年の新年を迎えた夜に、エレナが映写室にいるトトの元を訪れ、受け入れられる。
エレナとの関係は深まるものの、エレナの父が知るところとなり、引き離される。やがて軍隊に入隊。除隊後は、アルフレードからの「村を離れてローマに行け」というアドバイスに従い、村を出る。
・一目ぼれしたエレナと親しくなるために、エレナの落とし物を友人と奪い合う。トトが勝ち、エレナと会話をする機会を得るが、やって来た友人に殴られて目にアザを作る。また、道を歩くエレナを見かけ、追いかけて話しかけるが、天気の話くらいしかできない姿を見せる。
・毎日エレナの家の前で待つことで愛の証明をする行動は、その前にアルフレードから聞いた、愛する王女のために毎日通ったおとぎ話にならっている。
・新年の映写室にやってきたエレナとは熱いキスを交わす。その後離ればなれになった後、寝そべって雨に打たれるトトの前にエレナがやってきた時にも、雨でびしょぬれになりながら熱いキスを交わす。入隊するトトを見送ると言っていたエレナだが、約束の時間に現れない。入隊後にエレナに手紙を何通も出すが、宛先不明で戻ってきてしまう(完全版では、アルフレードの葬儀で村に戻ったトトがエレナと再会する)。
【中年期】
村を出たトトは、映画監督として成功を収め、ローマに住んでいる。結婚はしておらず、故郷の村には30年も戻っていない。アルフレードの死を知り、過去を思い出す。葬儀に出席するために村に戻り、母やかつての映画館主と再会。閉館していた映画館の爆破解体にも立ち会う。アルフレードの妻アンナから形見のフィルムを受け取り、ローマに戻って映写してみると、かつて牧師の命令でカットされたキスシーンが映し出され、泣き笑いする。
・アンナはトトの部屋を昔のままにしておいてくれ、映画スター、両親、アルフレードの写真が飾られているのを見て懐かしむ。また、かつて自分が撮影したエレナの映像も見る。
少年期のサルヴァトーレ・ディ・ヴィータ/トトを演じているのは、サルヴァトーレ・カシオ。当時9歳頃。「ニュー・シネマ・パラダイス」で世界的な人気を集めたが、後に映画俳優業はやめてレストランやホテル経営をしているという。
青年期のサルヴァトーレ・ディ・ヴィータ/トトを演じているのは、マルコ・レオナルディ。当時17歳頃。
中年期のサルヴァトーレ・ディ・ヴィータ/トトを演じているのは、フランスの俳優であるジャック・ペラン。当時47歳頃。映画製作者としても知られ、「Z」(1969)ではアカデミー賞外国語映画賞を受賞している。