ストーリー・あらすじ紹介　カッコーの巣の上で

入院

精神病院に、ランドル・パトリック・マクマーフィーという男が移送されてくる。病棟で患者たちを管理しているのは、婦長のラチェッドである。マクマーフィーは、少なくとも5回の暴行罪のほか、淫行罪でも逮捕された過去がある。再び逮捕されたマクマーフィーは、強制労働を回避するために精神障害を装っていると疑われている。精神鑑定のために、マクマーフィーは入院する。

グループセラピー

ラチェッドが中心となったグループセラピーが行われる。ハーディングが妻の浮気を疑っていることが議論になるものの、ハーディングをはやし立てるテイバー、テイバーに反論するハーティング、耳をふさいで叫ぶチェズウィックなどがわめきちらして混乱状態となる。マクマーフィーは、その様子を興味深く見ている。

対立

外出が許可された収容者が出かける中、マクマーフィーは耳の聞こえないチーフにバスケットボールを教えようとする。そんなマクマーフィーの様子を、ラチェッド婦長がじっと見つめている。その後、トランプをするマクマーフィーは、流されているレコードの音量を下げようとナースステーションに入り、ラチェッド婦長に外に出される。さらに飲み薬を拒否するマクマーフィーに、ラチェッド婦長はもっとつらい方法で治療をするとほのめかす。マクマーフィーは薬を口にするが、婦長の見えないところで吐き出す。マクマーフィーは1週間以内に婦長をキレさせると患者たちに語る。

水飲み台

セラピーでマクマーフィーは、ワールドシリーズをテレビで見るために、作業日程を変更するようにラチェッド婦長に求める。ラチェッドは反対し、多数決を取ることになる。3人しか賛成しなかったため、マクマーフィーの要求は受け入れられない。その夜、マクマーフィーは収容者たちに、水飲み台を窓に投げつけ、外に逃げ出してワールドシリーズを見ると話す。水飲み台を持ち上げようとするマクマーフィーだったが、ビクともしない。それでもマクマーフィーは、「挑戦はした」と語る。

ワールドシリーズ

セラピーでビリーが、かつて女性に求婚した話をする。ラチェッド婦長はその後に自殺未遂をしたことを思い出させ、母親に言わなかった理由を聞く。話したくないビリーに無理に話させる理由を聞くチェズウィックが、ワールドシリーズを見せるように求める。再び多数決が取られ、今度は9人が賛成する。だが、より重症でセラピーに参加していない9人が挙手していないことを理由に、ラチェッド婦長は賛否同数とみなす。マクマーフィーから手を挙げるように言われたチーフが挙手するが、ラチェッド婦長は認めない。マクマーフィーは、ついていないテレビでワールドシリーズを見ているフリをし、他の者たちもマクマーフィーにならう。マクマーフィーとラチェッド婦長の対立が深まる。

釣り

許された者がバスで外出する日、マクマーフィーはチーフの助けを借り、柵を乗り越えて外に出る。他の者たちを乗せてバスを運転したマクマーフィーは、途中で知り合いの女性キャンディを乗せて港に向かう。マクマーフィーたちは釣りをするために船で出港する。他の者が釣りをしている間に、マクマーフィーはキャンディとセックスをしようとする。だが、チェズウィックが舵を離し、テイバーが大物を釣ったためにそれどころではなくなる。港に戻った船を、病院の職員が待ち受けている。

バスケットボール

院長たちは相談し、マクマーフィーを危険人物と考え、刑務作業に戻そうとする。だが、ラチェッド婦長はマクマーフィーを病院に残すように進言する。職員とマクマーフィーの率いるチームのバスケットボールの試合が行われる。長身のチーフが大活躍し、マクマーフィーや入所者たちは大盛り上がりとなる。チーフも笑顔を見せる。

タバコを自由に吸う権利

マクマーフィーは、自分は病院側の判断でいつまでも勾留できる一方で、他の収容者の多くは自発的に入院してきたことを知ってショックを受ける。その後のセラピーで、チェズウィックは自分のタバコを自由に吸う権利を求めてラチェッド婦長に噛みつくが、ラチェッド婦長は認めない。チェズウィックは叫び出し、マクマーフィーはナースステーションのガラスを割ってタバコを取り出してやる。職員がマクマーフィーを押さえつけ、それを見たチーフが職員の腕をひねる。

チーフの秘密

マクマーフィー、チーフ、チェズウィックの3人は、暴れた罰として、頭に強力な電気を流す「電気けいれん療法」を受けさせられる。受ける前にマクマーフィーは、チーフの耳は聞こえており、言葉も話せることを知る。チーフが周囲の人々をだまし通していることに感心したマクマーフィーは、一緒にカナダに逃げようと話をする。「電気けいれん療法」を受けたマクマーフィーだったが、元気な姿でみんなの元に戻る。

クリスマスの夜

クリスマスの夜。逃げることを決意したマクマーフィーは、チーフを誘う。だが、チーフは逃げられないと答える。マクマーフィーに呼ばれたキャンディが、酒を持ってローズという女性とともにやって来る。マクマーフィーは宿直のタークルを酒で懐柔し、収容者を起こして酒を飲ませようとする。騒がないように言うタークルだったが、巡回にやって来た女性看護師にキャンディを見られる。

ビリーとキャンディ

タークルは酒を飲んで酔っぱらい、眠り込んでしまう。マクマーフィーや収容者たちは、酒を飲んで大騒ぎをする。収容者たちに別れを告げ、窓の鍵を開けて出ていこうとするマクマーフィーだったが、ビリーがキャンディを気に入ったことを知り、2人にセックスをさせる。終わるまで待つマクマーフィーは、その間に眠ってしまう。

自殺

朝になり、ラチェッド婦長が出勤し、大騒ぎのあとの病室を見る。収容者たちは起こされ、キャンディと一緒にベッドで寝ていたビリーも呼び出される。ラチェッド婦長はビリーを叱責し、かねてから知り合いのビリーの母親に報告すると話す。ビリーは話さないように懇願するが、ラチェッド婦長は受け入れない。わめくビリーを職員が連れ出す。マクマーフィーはすきを見て窓から逃げようとするが、職員に止められる。ビリーがガラスで首を切って自殺してしまい、頭に血が上ったマクマーフィーはラチェッド婦長の首を絞めて殺しかける。

ロボトミー

ある夜、職員に付き添われてマクマーフィーがベッドに戻ってくる。チーフがマクマーフィーに近づき、一緒に逃げようと話す。だが、マクマーフィーの額に2つの傷があり、ロボトミー手術を施されたことをチーフが知る。悲しむチーフは、マクマーフィーを置き去りにしたくないと考え、枕でマクマーフィーの頭を押さえつけて窒息死させる。そしてチーフは、マクマーフィーが持ち上げられなかった水飲み台を持ち上げ、窓に投げつける。壊れた窓から外に出たチーフは、走って病院から逃げていく。