ストーリー・あらすじ紹介　おおかみこどもの雨と雪

出会い

両親を失い、アルバイトをしながら奨学金で大学に通う花。初夏のある日、花は授業で見かけた男性のことが気になり、声をかける。その後2人は、図書館で会ったり、カフェで待ち合わせをして夜道を散歩したりと、ひんぱんに会うようになる。互いに惹かれ合う2人。だが、男性には花に秘密にしていることがあった。

おおかみこども

クリスマスの頃、男性は自分が「おおかみおとこ」であることを花に明らかにする。驚く花だったが、男性を受け入れる。やがて、2人の間には子どもができる。自分の力で生むことを決意した花は、本で出産について学び、男性の協力を得て女の子を出産。雪の日に生まれたため「雪」と名づける。翌年の春には、男の子を出産。雨の日に生まれたため、「雨」と名づける。雨も雪も、父と同じでオオカミに変身できる「おおかみこども」だった。

子育て

雨が生まれてすぐあと、男性がオオカミの姿になって川で死んでいるのが発見される。残された花は、大学を休学してアルバイトもやめ、独力で子育てやオオカミについて学び、1人で雪と雨を育てる。だが、おおかみこどもであることを周囲に知られないために隠れて過ごすことに限界を感じ、田舎に引っ越すことに決める。

田舎暮らし

田舎の古民家に引っ越してきた花と子どもたち。自然あふれた場所で、やんちゃな雪ははしゃぐものの、内気で臆病な雨は元気がない。花は雪と雨に、「人前でオオカミにならないこと」「動物たちに偉そうにしないこと」を約束させる。なるべく人と接触せずに暮らす花たちに、村の人々は奇異の目を向ける。収入のない花は、畑をたがやして野菜を育てようとするが、なかなかうまくいかない。

農業

野菜を何度も枯らしてしまう花の様子を気にかけた韮崎のおじいさんが、タネイモを送ってくれる。さらには、土の耕し方やタロイモの植え方を教えてくれる。他の近所の人たちからもアドバイスを受けるなど、近所づきあいが始まる。保育園の存在を知った雪は「自分も行きたい」と言い出すが、おおかみに変身してしまうことを恐れる花は行かせない。

大雪

多くのジャガイモが収穫できた花は、助けてくれた近所の人々に配る。花は、ようやく田舎暮らしをしていく自信をつける。冬になり、大雪が降った日に、花、雪、雨の3人は雪原を走り回る。だが、カワセミを取ろうとした雨が川に落ちてしまい、危ないところを雪に助けられる。このできごとをきっかけに、雨は変わり始める。

ワンピース

雪は小学校に通い始め、友だちと仲良く暮らすようになる。一方、花は「自然観察の森」で自然観察員の仕事を始め、雨は「自然観察の森」の施設にいるおおかみと会う。雨も小学校に通い始めるが、3年生の頃から学校を休みがちになる。雪は、周りの女の子たちと自分が違うことに悩みはじめ、おしとやかになることを決意する。そんな雪に、花はワンピースを縫ってあげる。

草平

雪のクラスに草平が転校してくる。草平から「獣臭い」と言われた雪はショックを受け、草平を避ける。ある日、草平から避ける理由を聞かれた花は逃げる。追いかけてくる草平にパニックとなった花は、おおかみとなって草平の耳を殴り、ケガをさせてしまう。学校に行けなくなった花だったが、花を気にかける草平が何度も家に来てくれたこともあり、再び学校に通い出す。一方、学校を休みがちの雨は、雨が「先生」と呼ぶ山のキツネの元に通っていることが分かる。雨は、おおかみの姿で「先生」と駆け回り、狩りなどの獣として生きる方法を学ぶ。

ケンカ

ある夜、「先生」のことを楽しそうに語る雨と、2度とおおかみにならないと決意した雪が口論になり、やがておおかみの姿での取っ組み合いのケンカになる。ケンカは雨の方が優勢で、風呂場に逃げ込んだ雪は人間の姿に戻ってすすり泣く。その後、大雨が続く夏に、「先生」がまもなく亡くなることが分かった雨は、「先生」のあとを継ぐ決意をする。その決意を知った花は、雨を止める。

大雨

集中豪雨の日。午後の授業が休みになる雪。学校から連絡を受けて雪を迎えに行こうとする花だったが、山に向かった雨を追う。豪雨の中で雨の姿を探す花だったが、ガケから落ちて気を失ってしまう。一方、学校では雪と草平以外の子どもたちは家に帰ってしまう。2人は人のいなくなった学校に取り残される。

告白、旅立ち

誰もいない教室で、雪は自分がおおかみであることを草平に明かす。草平は、「以前から知っていた」と話し、「誰にも言わない」と約束する。一方、気を失った花は、雨によって助けられて駐車場まで運ばれる。目を覚ました花は雨を止めるが、雨は山に戻っていく。雨が山で上げるおたけびを聞いた花は、吹っ切れた表情で、「しっかり生きて！」と雨に叫ぶ。