野武士におびえる村

時は戦国時代。戦乱によって生み出された盗賊の野武士に、農民たちはおびえていた。以前に村を襲った野武士たちが収穫後に再び襲ってくることを知った農民たちは、話し合いをする。野武士に屈服するか戦うかで意見が分かれる農民たち。長老は、侍を雇って村を守ることを提案する。だが、白米を侍に提供するくらいしかできなかった。

侍探し

宿場町で侍を探す、利吉、茂助、万造、与平の4人の農民。だが、強そうな侍には断られ、話に乗ってくる侍は弱い。また、米だけ食って逃げた侍もおり、安宿場の男たちにはバカにされる。侍を見つけられない中、収穫の時期が近づいてくる。ついに侍探しを諦めて村に戻ることにした利吉たちだったが、多くの人が集まっているのを見る。

島田勘兵衛

赤子を人質にした盗賊が、小屋に立てこもっている。1人の侍が、頭をそって僧侶の格好をして小屋に入っていき、盗賊を斬って赤子を助ける。利吉たちに加え、若い武士の岡本勝四郎や、長い刀を持った菊千代がその様子を見ている。侍の名前は島田勘兵衛。勝四郎は勘兵衛に門弟にして欲しいと頼む。菊千代は勘兵衛に近づいていき侍を名乗るが、用件を言わない。

頼みを受け入れる勘兵衛

利吉たちは、勘兵衛に村を守る役目を頼む。はじめは断る勘兵衛だったが、村人たちがヒエを食べて侍に白米を食べさせようとしていることを知り、受け入れる。官兵衛は、村を守るためには7人の侍が必要と考える。勝四郎に侍を不意打ちさせ、技量を測る勘兵衛。不意打ちを見破った片山五郎兵衛を、勘兵衛は仲間にする。一方、万造と茂助は、一足先に村に戻り、7人の侍が来ることを村人に話す。万造は、侍が娘の志乃に手を出さないかを心配する。

仲間探し

侍たちに食わせる米が盗まれてしまった与平と利吉の姿を見た勝四郎は、自分の持っている金を出してやる。勘兵衛は、以前自分に仕えていた七郎次と偶然再会。七郎次も仲間になる。一方、五郎兵衛は、愛想の良い浪人の林田平八を見つけて、仲間とする。さらに、勘兵衛は剣豪の久蔵と出会い、腕前にほれ込んで宿の場所を教える。

菊千代

まだ子どもの勝四郎は村に連れて行かないと話す勘兵衛。だが、他の侍や利吉は、連れて行くように勘兵衛を説得する。さらに、久蔵も宿場に現れて、6人が集まる。そこに酔っ払った菊千代が姿を現す。菊千代は勘兵衛に家系図を見せるものの、家系図に書かれた菊千代は当年13歳であり、家系図は盗んだものであることが分かる。刀を侍たちに取られた菊千代は、侍たちを追いかけ回す。倒れた菊千代は眠り込む。

村へ

翌日、1人足りないものの、時間が惜しいために村に向けて出発する勘兵衛たち。菊千代も勝手についてくる。途中の川で、素手で魚を捕まえて焼いて食べる菊千代。一方、美しい娘の志乃が侍たちに目をつけられることを恐れた万造が、男にみせかけるために志乃の髪を切ったことを知った村人たちは、侍の到着におびえる。

七人の侍がそろう

村に到着した侍たちだったが、おびえた村人たちは家から出てこない。途方に暮れた勘兵衛たちが長老と話をしていると、野武士の襲来を告げる板木の音が響き渡る。家から出てきた村人たちは、侍たちに助けを求める。だが、板木は菊千代が鳴らしたものだった。菊千代は、都合のいい農民たちのことを責め、農民は侍たちを受け入れる。こうして、菊千代も加わり、七人の侍となる。

落ち武者狩り

勘兵衛は村の地図を作成し、村を守るための方策を考える。侍たちは農民たちに、馬止めの柵を作らせたり、竹やりの使い方や戦の心構えを教えたりする。菊千代は、農民たちが落ち武者狩りをして集めた武具を持っていることに気づき、勘兵衛たちの前に持っていく。それを見た勘兵衛たちは、農民が落ち武者狩りをしていたことにショックと怒りを受ける。そんな勘兵衛たちに、菊千代は農民たちの意地汚さと、農民たちをそうさせた侍たちの責任をぶちまけて泣く。菊千代の姿に、勘兵衛たちの怒りは消える。

平八は、○で侍、△で菊千代、たんぼの「た」の字で百姓を表現した旗を作る。雨の森のなかで、1人で剣の訓練をする久蔵は、勝四郎と志乃が密会しているのを目撃する。勝四郎が持ってきた白飯を、「久右衛門のばあさまに渡す」と志乃が話すのを聞いた久蔵。侍たちは、戦で身内が殺されて「早く死にたい」と語るばあさまの姿を見る。

離れ家

収穫の時期となる。野武士がやって来る時期が近づく。勘兵衛は、離れ家の住人に家を諦めるように命じる。離れ家に住む茂助は反発し、自分たちだけで離れ家を守ろうと、村人たちから離れていこうとする。刀を抜いた勘兵衛は、茂助たちを村人たちの元に戻し、「人を守ってこそ、自分も守れる。己のことばかり考えるやつは、己をも滅ぼすやつだ!」と怒る。

準備が本格化

収穫作業が行われる。「早く嫁さんをもらえ」と平八から言われた利吉は怒り出してしまい、利吉が胸の内に何かを隠していることに侍たちは気づく。堀や柵を作るなど、野武士を迎えるための準備が本格化する。平穏な雰囲気で、侍たちも農民たちも明るい表情をしている。一方、勝四郎と志乃の密会が続いていることが、志乃の名前を寝言でつぶやく勝四郎の様子でわかる。

物見の野武士

3人の野武士が、物見として村にやって来る。野武士を見つけた七郎次は、あわてずに勘兵衛に報告する。だが、同じように見つけた勝四郎があわてて報告してきたため、侍や農民たちは野武士がやって来たことに気づく。物見の野武士が菊千代の姿に気づいたことから、菊千代と久蔵が森に向かう。久蔵は2人の野武士を斬り殺し、菊千代が1人の野武士を捕らえる。捕らえた野武士を殺そうといきりたつ農民たちを、勘兵衛が止めようとする。だが、息子の仇を討とうとクワを持ってやって来た久右衛門のばあさまの姿に、勘兵衛はその場を去る。

物見の野武士から砦の場所を聞いていた勘兵衛たちは、野武士のいる砦を襲うことに決める。平八、久蔵、菊千代に加えて利吉が砦に向かう。まだ野武士や女たちが眠っている砦に火をつけ、出てきた野武士を斬っていく平八たち。撤収しようとすると、利吉が1人の女に向かっていき、利吉を見た女は火の中に飛び込んで自殺する。半狂乱となる利吉を連れ出そうとした平八は、銃で撃たれて致命傷を負う。女は利吉の妻だった。

赤ん坊

平八の死に落ち込む侍や農民たちだったが、菊千代が平八の作った旗を屋根の上に掲げて、みんなを鼓舞する。そこに、野武士の群れがやって来る。西と南の入り口から入れないことがわかった野武士は東へ向かい、離れ家や水車小屋を焼く。勘兵衛の制止にもかかわらず、菊千代は長老の儀助や息子夫婦のいる水車小屋に向かい、赤ん坊を助け出す。

戦い

夜になる。東、西、南から攻め入ろうとする野武士を、侍と農民たちが協力して倒す。与平は竹やりで野武士を刺し殺し、万造は銃で撃たれるもののかすり傷ですむ。利吉は復讐の鬼となり野武士を襲う。わざと北の守りを甘くした勘兵衛は、北からやって来た敵を1,2騎だけ中に入れて、中に入った野武士を大勢で倒す作戦を考えている。野武士が三丁持っている銃を少しでも減らすため、久蔵が奪いに向かう。

銃を奪いに

朝。久蔵が一丁の銃を持って戻ってくる。勝四郎は、久蔵に羨望のまなざしを向ける。野武士が襲ってくる。勘兵衛の作戦通りに戦い、4人の野武士を倒す。野武士の襲撃がやむ。勝四郎が久蔵を褒めるのを聞いた菊千代は、手柄を立てるために、持ち場を離れて野武士たちを探す。菊千代は、銃を持っている野武士を襲い、銃を奪う。

落ち込む菊千代

持ち場を離れた菊千代を叱りつける勘兵衛。その時、菊千代の持ち場だった東から野武士が襲ってきて、勘兵衛や菊千代たちが応戦する。さらには、北からも野武士が襲いかかる。村の中に入った野武士が弓矢を放ち、与平が死ぬ。さらに、北で野武士を追い返すために戦った五郎兵衛も死ぬ。菊千代は、自分のせいで大きな被害を出したことに落ち込む。

決戦前夜

夜。明日の朝が決戦とみた勘兵衛は、農民たちを休ませる。農民たちは隠し持っていた酒や食べ物を持ち出して宴会を開く。酒を受け取った勘兵衛は、墓の前から動かない菊千代に酒を飲ませる。一方、勝四郎と志乃は体を重ねる。そのことを知った万造は怒り狂い、志乃を殴る。志乃は涙を流す。そこに、大粒の雨が降ってくる。

土砂降りの決戦

朝。土砂降りの中を、13騎の野武士が襲ってくる。すべてを村に入れて挟み撃ちにする勘兵衛たち。野武士の親分は、女たちのいる小屋に逃げ込み、手下が銃で久蔵を撃つ。それを見た菊千代が小屋に向かう。小屋の前で撃たれた菊千代だが、親分を刺し殺す。菊千代は倒れ、絶命する。野武士はすべて倒される。

田植え

野武士の脅威が去った村では、農民たちが明るい表情で田植えをしている。勝四郎は志乃とすれ違うが、志乃は何も言わずに田植えへと向かう。田植えをする村人たちの様子と、死んでいった侍たちの墓を見やった勘兵衛は、「今度もまた、負け戦だった。勝ったのはあの百姓たちだ。わしたちではない」と七郎次に語る。

人物 1 七人の侍

島田 勘兵衛

俳優:志村 喬 島田勘兵衛は、野武士に襲われる農村農村を守る侍たちのリーダーである、映画「七人の・・・侍」の登場人物。負け戦ばかり戦い、腕を磨いて一国一城の主となることを夢見ているうちに白髪姿になったと語る。七郎次はかつての忠臣で、「古女房」と語っている。 盗賊が赤ん坊を人質に小屋に立てこもったのを見て、剃髪して僧になりすまして近づき、盗・・・
人物 2 七人の侍

菊千代

俳優:三船 敏郎 菊千代は、野武士に襲われる村を守る7人の侍の1人である、映画「七人の侍」の登場人・・・物。菊千代は本名ではなく、盗んだ家系図に書かれていた名前である。家系図の通りであれば13歳となるため、うそがバレてしまう。本名は不明。農民の出で、戦火によって親を殺されたと思われる。野性的な動きで、「山犬のよう」と称されている。ふんどし一丁・・・
人物 3 七人の侍

岡本 勝四郎

俳優:木村 功 岡本勝四郎は、野武士に襲われる村を守る若い侍である、映画「七人の侍」の登場人物。・・・パリッとした身なりをしており、前髪はまだ下ろしていない。 勘兵衛の赤子救出を見て、門弟にして欲しいと頼むものの断られる。それでも、勘兵衛についていき、村を野武士から守る役目を引き受けた勘兵衛の侍探しに協力する。その際に、久蔵と侍の決闘を目・・・
セリフ・名言 1 七人の侍

字幕「戦国時代-あいつぐ戦乱と、その戦乱が生み出した野武士の横行。ひづめの轟が良民の恐怖の的だった-その頃」

0:02:50頃 「七人の侍」のオープニングに表示される字幕。舞台となる時代は戦・・・国時代、場所は山あいにある農村である。・・・
セリフ・名言 2 七人の侍

利吉「忘れたのか!今、俺たちの食ってるコメは、どんなことして・・・」

0:07:00頃 以前に襲ってきた野武士が、収穫を終えた頃に再びやって来ることが・・・わかった農村では、村人たちが集まって話し合いが行われている。野武士と戦うことを主張する利吉だったが、観念して野武士に食糧を差し出すことを主張する者もいる。そんななかでの利吉の言葉。具体的に語られないものの、村人たちが思い出したくない過去があ・・・
セリフ・名言 3 七人の侍

勘兵衛「この飯、おろそかには食わんぞ」

0:31:55頃 農村を守ってくれる侍を探して、宿場町にやって来た4人の農民たち・・・。小屋に立てこもった強盗から赤ん坊を助け出した勘兵衛に目をつけた農民たちは、村を守ってくれるように頼む。はじめは断っていた勘兵衛だったが、宿場の男たちから農民たちの事情を聞いて、引き受けることにする。・・・
音楽 1 七人の侍

侍のテーマ(テーマ曲)

「七人の侍」の音楽を担当した早坂文雄が、テーマ曲「侍のテーマ」を作曲した。早坂が・・・用意した曲はすべて黒澤にNGを出されたが、早坂がゴミ箱に捨てていた楽譜を取り出してピアノで演奏したところ、黒澤に採用されたという。また、歌詞をつけられて山口淑子が歌ったレコードが発売されている。・・・
キーワード 1 七人の侍

評価、興行成績

「七人の侍」は、ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞するなど、日本国内のみならず・・・国際的に高い評価を得た。2010年に、イギリスの「エンパイア」誌が発表した「史上最高の外国語映画100本」で1位に選ばれるなど、その後のさまざまなランキングでも高い順位を獲得している。 興行的にも成功し、700万人の観客動員を記録し、配給・・・
キーワード 2 七人の侍

「七人の侍」は、戦国時代を舞台に、野武士の襲来に困り果てた農民が、村を守るために・・・侍を雇うという話である。雇うと言っても村には余裕がなく、提供できるものは白米を腹いっぱい食べさせることだけである。最初に農民から頼まれた侍の勘兵衛は一度断るものの、侍たちに白米を提供するために農民たちがヒエを食べていることを知り、引き受ける・・・
キーワード 3 七人の侍

農民、農村

野武士に狙われているのは、山あいにある小さな農村である。以前にも野武士によって食・・・糧を奪われ、今年もやって来ることがわかり、儀作の考えで侍を雇うことにする。だが、雇うためには侍に白米を食べさせることしかできず、そのために農民たちはヒエを食べる。 侍を雇うことにしたにもかかわらず、いざ侍が来るとおびえて家にこもってしまう・・・
作品一覧