フェレイラの手紙
1633年にフェレイラ神父が書いた手紙がポルトガルに届く。日本でキリスト教を布教していたフェレイラが目撃した厳しい弾圧について語られる。フェレイラを師と仰ぐロドリゴ神父とガルペ神父が手紙の内容を聞く。さらに、フェレイラが棄教して日本人として暮らしていることも聞く。2人はフェレイラ神父に会うために日本に向かうことにする。
トモギ村
マカオで会ったキリシタンのキチジローをガイドに、中国船で長崎近くに密航するロドリゴとガルペ。2人は、キリシタンであるトモギ村の村民に歓迎される。小屋で村民と話をした2人は、弾圧が強まっていること、村人たちが隠れてお祈りや礼拝などをしていることを知る。ロドリゴはモキチに胸から下げていた十字架を渡してやる。
炭焼小屋
ロドリゴとガルベは、昼は炭焼小屋に隠れ住み、夜になると村に降りて告悔を聞くなどの活動を行う。だがフェレイラについての情報はなく、いら立つガルベは危険を冒してでも長崎に行くべきと主張するが、ロドリゴは反対する。ある日、炭焼小屋に隠れていることに限界を感じた2人が外に出て日光浴をすると、通りがかりの男たちに姿を見られる。
五島へ
夜、炭焼小屋に五島の村人が訪れる。村人に請われてロドリゴが村に行き、洗礼などを行う。そして、キチジローがかつて奉行の井上に命じられた踏み絵に応じて助かったが、応じなかったキチジローの家族はみんな火あぶりにされて死んだことを知る。それ以来キチジローは、自分にキリスト教を信じる資格がないと考えていた。ロドリゴはキチジローに告悔をさせる。
キリシタン狩り
トモギ村に戻ったロドリゴは、村の長のイチゾウが井上筑後守の命令で捕らえられたことを知る。井上はイチゾウをいったん戻し、キリシタンあることを否定するなら3日後にさらに3人を捕らえると告げる。1人は奉行の命令でモキチが選ばれる。村人たちは話し合い、五島の村民であるキチジローが選ばれる。引っ立てられる前に、モキチはロドリゴに木で作った小さな十字架を贈る。
はりつけ
井上の部下である奉行は、イチゾウたちに踏み絵を命じる。全員が踏むものの、さらに聖母マリアの十字架にツバをかけるように命じ、キチジローだけがツバをかける。キチジローは解放されるが、イチゾウたちは海岸の十字架にはりつけにされ、押し寄せる波に苦しみ、やがて死ぬ。ロドリゴは、信者の苦しみにもかかわらず、神が沈黙していることに疑問を抱く。
再び五島へ
大規模な捜索が始まることがわかり、ロドリゴとガルペは別々に行動することになる。ガルペは平戸へと向かい、ロドリゴは五島に向かう。五島についたロドリゴだったが、村に人の姿はなく、ネコだらけになっていることを知る。さまようロドリゴは、キチジローと再会する。キチジローはロドリゴに、イチゾウたちのような強さがないことを告悔する。
キチジローの裏切り
キチジローと道を進むロドリゴは、のどの渇きから動けなくなる。キチジローに川に連れられたロドリゴは、キチジローの裏切りによって役人たちに捕らえられる。井上の前に連れ出されたロドリゴは、棄教することでキリシタンたちを救うように求められる。オリに入れられたロドリゴの前に現れた通辞からも「転ぶ(棄教する)」ように求められ、さらにフェレイラが棄教して日本人の妻と暮らすことを聞く。
牢獄
ロドリゴは、日本人のキリシタンとともに牢獄に入れられる。キリスト教徒の告悔を聞くなど、牢獄では穏やかな日々を過ごす。ある日、井上の前に連れられたロドリゴは、日本ではキリスト教は無益で危険であるという説明を受ける。ロドリゴは反論し、議論は噛み合わない。ロドリゴは井上との面会を求め、目の前にいる人物が井上であることを知る。
斬首
ロドリゴの牢獄に再びキチジローがやって来る。自分がキリシタンであると語るキチジローは捕らえられ、牢に入れられる。牢でキチジローはロドリゴに謝り、告悔させてくれるように頼む。ロドリゴはキチジローを軽蔑しながらも、告悔を聞く。その後、日本人のキリスト教徒が踏み絵を求められる。踏めなかったチョウキチ(ジュアン)は首を斬り落とされ、ロドリゴはショックを受ける。その直後に呼び出されたキチジローは踏み、再び自由の身となる。
ガルペの死
ロドリゴを呼び出した井上は、仲の悪い4人の側室を追い出した大名の話をする。ロドリゴはキリスト教を正妻とするように話すが、キリスト教は邪教ではないが危険であると井上は話す。その後、海岸に連れられたロドリゴは、日本人のキリスト教徒とともにガルペが連れてこられるのを見る。ガルペは棄教を求められていたが応じないため、日本人のキリシタンが代わりに簀巻きにされて海に沈められる。ロドリゴはガルベに棄教するように叫ぶ。ガルペは泳いでキリシタンを助けに行くが、沈められて溺れ死ぬ。
フェレイラとの再会
ロドリゴは絶望に追い込まれ、助けてくれない神に対して疑念を抱くようになる。ある日、ロドリゴは仏教の寺に連れて行かれる。そこでロドリゴは、探し求めていたかつての師フェレイラと再会する。フェレイラは棄教し、今は沢野忠庵という名の日本人として生きており、日本人の妻と子もいる。そして、天文学と医学についての本とともに、キリスト教を批判する本を書いている。
棄教の勧め
フェレイラは、多くの命を救うためにロドリゴに棄教を勧める。日本人には本来のキリスト教の概念を理解できないと語るフェレイラに、ロドリゴは多くの殉教者たちがいることを話す。だがフェレイラは、殉教者が信じたのは自然の中に見いだした神であり、キリスト教の神とは異なると話す。ロドリゴは納得しない。
穴吊り
ある夜、5人のキリシタンが穴吊りにされて苦しんでいることを知ったロドリゴは、ロドリゴが棄教すれば助かると言われる。うめき声が聞こえる中、フェレイラはロドリゴに棄教を勧める。ロドリゴの前に置かれた踏み絵のキリストの声がロドリゴに聞こえる。キリストは沈黙の中でロドリゴとともに苦しんでいたことを告げ、自分を踏むように語る。キリストの声を聞いたロドリゴは、踏み絵を踏み、棄教する。
火葬
棄教したロドリゴは、フェレイラとともに輸入品の中にキリスト教と結びつく物がないかを調べる仕事につく。やがてフェレイラは亡くなる。ロドリゴは江戸で子どものいる女性の夫となり、岡田三右衛門と名乗るようになる。定期的に棄教の証文と踏み絵を求められる中、近くで暮らすようになっていたキチジローが、キリストの書かれた札を持っていたために捕らえられる。時がたち、年老いたロドリゴは亡くなる。仏教式の葬儀で火葬にされたロドリゴの手の中には、かつてモキチからもらった小さな木の十字架がある。
人物 1
沈黙 -サイレンス-
俳優:アンドリュー・ガーフィールド
セバスチャン・ロドリゴは、ポルトガルのイエズス会の神父である、映画「沈黙 -サイ・・・レンス-」の登場人物。師であるフェレイラが棄教したことを知り、ガルペ神父とともにキチジローのガイドで日本に向かう。日本ではトモギ村でキリシタンの村人たちにかくまわれ、五島列島のキリシタンも訪れる。身の危険が迫ったためにガルペ神父と別れて五島・・・
人物 2
沈黙 -サイレンス-
俳優:アダム・ドライバー
フランシス・ガルペは、ポルトガルのイエズス会の神父である、映画「沈黙 -サイレン・・・ス-」の登場人物。師であるフェレイラが棄教したことを知り、ロドリゴ神父とともにキチジローのガイドで日本に向かう。日本では、トモギ村でキリシタンの村人たちにかくまわれる。身の危険が迫ったためにロドリゴ神父と別れて平戸に向かう。
その後捕らえ・・・
人物 3
沈黙 -サイレンス-
俳優:窪塚洋介
キチジローは、クリスチャンの日本人である、映画「沈黙 -サイレンス-」の登場人物・・・。日本の五島列島の出身。職業は漁師と名乗る。マカオで飲んだくれていたところをロドリゴとガルペと会い、ずっと帰りたかった日本に戻るためのガイドを自ら頼み込む。日本ではトモギ村のキリシタンにロドリゴたちを会わせ、故郷の五島の人々にもロドリゴたち・・・
セリフ・名言 1
沈黙 -サイレンス-
0:02:20頃
日本に布教に訪れていたポルトガルの司祭フェレイラが、キリシタン・・・弾圧の始まった日本からポルトガルのイエズス会に送った手紙。雲仙で熱湯を浴びせられる司教と、それを見守るフェレイラの映像に合わせて語られる。手紙では弾圧に屈しない意思を見せていたフェレイラだったが、その後棄教したことが明らかになる。
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セリフ・名言 2
沈黙 -サイレンス-
0:37:55頃
五島列島を訪れたロドリゴが、信仰の印として十字架などを求めるキ・・・リシタンたちについて語る言葉。ロドリゴはロザリオの玉なども村人に渡してやる。そのロドリゴは、このあとモキチから木で作られた小さな十字架をもらう。
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セリフ・名言 3
沈黙 -サイレンス-
1:00:50頃
トモギ村のキリシタンであるイチゾウやモキチが死罪となる。荒れ狂・・・う波打ち際にはりつけにされて放置されたイチゾウたちは亡くなる。その様子を見つめることしかできなかったロドリゴの言葉。ロドリゴの信仰は揺らぐ。
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音楽 1
沈黙 -サイレンス-
「Tantum ergo」は、荒れ狂う波打ち際ではりつけにされたモキチが歌う賛美・・・歌(0:57:45頃)。
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音楽 2
沈黙 -サイレンス-
「O gloriosa Domina」は、ロドリゴの取り調べのあとに、その様子を・・・見ていたモニカたちが歌う聖歌(1:29:55頃)。
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キーワード 1
沈黙 -サイレンス-
「沈黙 -サイレンス-」は、アカデミー賞の撮影賞にノミネートされた。また、キネマ・・・旬報ベストテンでは、外国映画の6位に選出された。
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キーワード 2
沈黙 -サイレンス-
「沈黙 -サイレンス-」の原作は、遠藤周作が1966年に書き下ろした小説である。・・・監督のマーティン・スコセッシの念願の企画で、スコセッシはキリストを描いた「最後の誘惑」(1988)の特別試写会で大司教から原作を渡され、その頃から映画化を熱望していたという。過去にダニエル・デイ=ルイスやベニチオ・デル・トロが出演者として名・・・
キーワード 3
沈黙 -サイレンス-
「沈黙 -サイレンス-」では、キリシタン弾圧時の日本におけるロドリゴ神父の運命を・・・描いている。江戸幕府による禁教令によってキリスト教の神父は厳しい弾圧を受け、殉教者として死んだ者も多かった。日本人のキリシタンの摘発も行われ、「踏み絵を踏ませる」「マリア像にツバを吐かせる」といった方法で、キリシタンではないことを証明させる・・・