ベンジャミン・バトンの日記

外は嵐の吹き荒れる病院。ベッドに横たわる老婆デイジーのそばには、娘のキャロラインがいる。デイジーは痛みに苦しみ、人生の終わりに近づいている。デイジーは、荷物の中にある日記を読むようにキャロラインに頼む。それは、ベンジャミン・バトンという男性が書いたものだった。

誕生

ベンジャミン・バトンは、第一次大戦が終わった日に、ニューオーリンズで産まれる。出産の時に母親は亡くなる。見た目が老人のような赤ん坊を見た父のトーマスは、赤ん坊を抱いて外に飛び出し、老人施設の前に赤ん坊と金を置いて立ち去る。施設を運営しているクイニーが赤ん坊を見つけ、神のおぼしめしと考えて育てることにし、ベンジャミンと名づける。

歩けるように

ベンジャミンは7歳となったが、見た目は老人でメガネをかけて車イスに乗っている。ある日、クイニーとともに出かけたヒーラーの集会で立ち上がり、松葉づえを使って歩けるようになる。ベンジャミンは、施設で働くピグミーの男オティと出かける。ベンジャミンは置いていかれて1人で施設に戻り、クイニーに叱られるものの、自由を感じる。

初体験

1930年。祖母の面会に来た青い目を持つ少女デイジーと会ったベンジャミンは、一目ぼれをする。デイジーは、ベンジャミンが見た目通りの老人ではないことに気づく。一方、クイニーには子どもができる。徐々に若返っていくベンジャミンは、船員募集に応募して、マイク船長のチェルシー号で働く。ベンジャミンが童貞と知ったマイク船長に、売春婦に連れて行かれたベンジャミンは、初体験をする。ベンジャミンの姿を売春宿で見たトーマス・バトンは、ベンジャミンを飲みに連れていき、自分の息子であることに気づくが、そのことは告げない。

エリザベス・アボット

17歳となり、ベンジャミンは施設を出て、マイクの船の乗組員になる。一方、デイジーはニューヨークでバレエダンサーの学校に通い始める。ベンジャミンは、宿泊するホテルで、イギリス人の人妻エリザベス・アボットと知り合う。眠れない夜に偶然ロビーで会って話をしたことがきっかけで、ベンジャミンとエリザベスは恋に落ち、毎晩会うようになり、関係を持つ。

戦争

真珠湾が日本軍によって攻撃された日に、エリザベスは書き置きを残して姿を消す。マイクの船は海軍の指揮下となり、損傷した船の曳航を担当する。ある夜、戦闘に巻き込まれ、マイク船長や他の乗組員は亡くなる。1945年、ベンジャミンはニューオーリンズのクイニーの施設に戻る。

デイジーと再会

クイニーの施設で、ベンジャミンは成長したデイジーと再会する。デイジーと食事をし、セックスに奔放なバレエ団の話を聞く。デイジーはベンジャミンをセックスに誘うが、ベンジャミンは断る。その後、ベンジャミンの父トーマス・バトンが、ベンジャミンの前に現れる。トーマスは病気で先が長くない状態だった。トーマスは自分が経営するボタン工場にベンジャミンを連れていき、自分が父であることを打ち明け、全財産を譲りたいと話す。自分を捨てた父に対してベンジャミンは悩むが、和解を決意し、父とともに美しい日の出を見る。間もなくトーマスは亡くなる。

デイジーとの距離感

ベンジャミンは、デイジーのバレエの公演を見に、ニューヨークに行く。公演後、デイジーと会うが、デイジーに若い男性のボーイフレンドがいることを知り、世界が違うと感じて去っていく。その後、デイジーはボリショイ・バレエ団に招待された唯一のアメリカ人となり、世界中で公演をする。その間、ベンジャミンは若返っていく。

パリ

デイジーがパリで交通事故にあったことを聞いたベンジャミンは、急いでパリに向かう。事故により、デイジーは再びバレエができなくなっていた。デイジーはせっかく来てくれたベンジャミンを追い返す。ベンジャミンは、その後もしばらくはパリで過ごし、何人かの女性と付き合った後、ニューオーリンズに戻る。

デイジーと結ばれる

数年後、ニューオーリンズのベンジャミンの元にデイジーが現れる。2人は愛し合い、ヨットで旅をする。旅から2人が戻ると、ベンジャミンを育ててくれたクイニーが亡くなっており、葬儀に参加する。ベンジャミンは父の家を売り、アパートを借りて、デイジーと一緒に住み始める。

娘の誕生

デイジーはダンス教室を始める。ベンジャミン49歳、デイジー43歳の時に、デイジーが妊娠する。子どもが自分のようになることを心配するベンジャミンだったが、産まれてきたのは健康な女の子で、キャロラインと名付けられる。日記を読んでいるキャロラインは、自分の父親がベンジャミンであることを知り、動揺するものの、日記の続きを読む。

家を出る

ベンジャミンは、これから若くなっていく自分は父親としてふさわしくないと考え、キャロラインが1歳となる誕生日の後、父のボタン工場や別荘などを売った金を残し、デイジーとキャロラインの元を去る。ベンジャミンは旅先から、毎年キャロラインの誕生日にハガキを送る。その後、さらに若返ったベンジャミンは、1度だけデイジーのダンス教室を訪れ、少女となったキャロラインと会い、デイジーと一夜をともにする。

時は流れ、ベンジャミンが保護されたという連絡を受けるデイジー。児童保護施設に向かったデイジーは、認知症でデイジーのことが分からなくなったベンジャミンと再会する。デイジーはベンジャミンの世話をする。ついに赤ん坊の姿になったベンジャミンは、2003年の春、デイジーの腕の中で亡くなる。キャロラインは、ベンジャミンの日記を読み終える。老婆デイジーはベンジャミンに「おやすみ」を言い、目をつむる。

人物 1 ベンジャミン・バトン 数奇な人生

ベンジャミン・バトン

俳優:ブラッド・ピット ベンジャミン・バトンは、老人として産まれて若返っていく数奇な人生を送る、映画「ベ・・・ンジャミン・バトン 数奇な人生」の登場人物。父はボタン工場を営むトーマス・バトン、母はキャロライン。第一次大戦が終わった日の夜(1918年)に、ニューオーリンズで、老人の姿で生まれる。母親は出産の時に亡くなる。産まれてすぐに父トーマスによっ・・・
人物 2 ベンジャミン・バトン 数奇な人生

デイジー・フラー

俳優:ケイト・ブランシェット デイジー・フラーは、バレエダンサーでベンジャミンと人生をともにする、映画「ベンジ・・・ャミン・バトン 数奇な人生」の登場人物。1924年生まれ。澄んだ青い目をしている。老人施設に入所する祖母を訪ね、まだ幼い(が見た目は老人の)ベンジャミンと出会い、ベンジャミンが老人ではないことに気づく。ベンジャミンと親しくなり、テーブルの下・・・
人物 3 ベンジャミン・バトン 数奇な人生

エリザベス・アボット

俳優:ティルダ・スウィントン エリザベス・アボットは、ロシアでベンジャミンの恋人となる、映画「ベンジャミン・バ・・・トン 数奇な人生」の登場人物。ベンジャミンいわく、「美人でもないし、人目もひかない女性」。夫はムルマンスクのイギリス貿易使節団の代表でスパイ。19歳の時に、英仏海峡を泳いで横断しようと試みるも、32時間に渡って泳ぎ、あと3時間でフランスのカ・・・
セリフ・名言 1 ベンジャミン・バトン 数奇な人生

ベンジャミンの日記「私の名前は、ベンジャミン・バトン。普通とは異なる運命の下で産まれた」

0:07:55頃 病院で死を目前にしているデイジーは、娘のキャロラインにベンジャ・・・ミン・バトンの日記を読ませる。日記はベンジャミンが産まれた時から始まる。ベンジャミンは年老いた体で産まれ、徐々に若返っていくという、通常の人間とは異なる人生を歩んでいた。・・・
セリフ・名言 2 ベンジャミン・バトン 数奇な人生

クイニー「じいさんみたいに醜いけど、あなたも神の子よ」

0:13:35頃 老人のようにしわくちゃに産まれたわが子を見たトーマスは、赤ん坊・・・を施設の前に置いて立ち去る。トーマスが置いていった赤ん坊を見つけたクイニーの言葉。クイニーは子どもができない体だったこともあり、赤ん坊にベンジャミンと名前をつけて育てることにする。・・・
セリフ・名言 3 ベンジャミン・バトン 数奇な人生

クイニー「みんな多かれ少なかれ、前とは違う自分を感じるものよ。でも、行き着く先は同じ。違う道をたどるだけよ」

0:19:35頃 老人として産まれたベンジャミンは、身長こそ子どものようだったが・・・、はげ上がった頭にシワとシミだらけの顔で、歩くこともできなかった。だが、ベンジャミンも成長するにつれ、体の変化を少しずつ感じていた。ある時の、ベンジャミンと育ての親クイニーの会話。・・・
音楽 1 ベンジャミン・バトン 数奇な人生

ポロネーズ第6番

ポロネーズ第6番(Polonaise in A-flat Major, Op. ・・・53)は、フレデリック・ショパンが1842年に作曲した曲で、「英雄ポロネーズ」とも言われる。ポロネーズとは、フランス語で「ポーランド風」という意味であり、ポーランドが起源の曲の形式で、テンポがゆっくりなのが特徴。「ベンジャミン・バトン」では・・・
音楽 2 ベンジャミン・バトン 数奇な人生

ベセーナ(Bethena)

ベセーナ(Bethena)は、アメリカの作曲家スコット・ジョプリンによって190・・・5年に発表された曲。「ベンジャミン・バトン」では、老婦人がベンジャミンにピアノを教える時に弾く(0:40:50頃)。また、認知症でデイジーのことも分からなくなってしまったベンジャミンが、ピアノで弾く。・・・
音楽 3 ベンジャミン・バトン 数奇な人生

My Prayer

「My Prayer」は1939年に発表された曲で、1956年にカバーしたプラタ・・・ーズのバージョンがヒットした。「ベンジャミン・バトン」で流れるのはプラターズのバージョンである。パリで生活をするベンジャミンの姿のバックで流れる(1:59:10頃)。・・・
キーワード 1 ベンジャミン・バトン 数奇な人生

老人施設

ノーラン財団の施設で、クイニーが運営している。どんな日でも国旗掲揚を欠かさないウ・・・ィンズロー元陸軍大将(雨の中を裸で国旗を形容する姿が見られる)、レコードでワーグナーをかけて一緒に歌う通称ワーグナー婦人(葬儀でもレコードでワーグナーが流され、クライマックスでは参列者の老人がシンバルをたたく)などがいる。ベンジャミンは、名・・・
キーワード 2 ベンジャミン・バトン 数奇な人生

チェルシー号

マイクが船長を務める船。乗組員が足りないことを知ったベンジャミンが名乗りを上げる・・・。マイク船長がモラン兄弟の船会社とサルベージの3年契約を結び、エンジンを改造し、ウィンチを新しくする。ベンジャミンを含む6人乗組員(コック、陸だと仲の悪い双子、皮肉屋でサウスダコタ出身のジョン・グリム、無口でノースカロライナ出身のプレザント・・・
キーワード 3 ベンジャミン・バトン 数奇な人生

ハチドリ

チェルシー号の船長マイクは、体に入れ墨をしており、自身をタトゥ・アーティストと自・・・称している。自慢の入れ墨の一つがハチドリで、ハチドリのすごさ(心臓は1分で1200回鼓動し、1秒間で80回も羽ばたき、羽ばたきを無理に止めると10秒で死ぬ。スローで見ると羽根を8の字に動かしており、8は無限大を意味する)を力説する。 チェ・・・
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