M

M
公開年
1931年
製作国
ドイツ
監督
フリッツ・ラング
出演
ピーター・ローレ、オットー・ベルニッケ、グスタフ・グリュントゲンス、テオドル・ロース
「M」は、少女の連続殺人事件を描いたフリッツ・ラング監督作。ラングの妻であるテア・フォン・ハルボウが脚本を担当している。ハルボウは、これまでも「メトロポリス」(1927)などのラング監督作の脚本を担当してきた。当初のタイトルは「殺人者は私たちの中にいる」だったが、「M」に変更された。ナチスの迫害を恐れたとも言われているが、ラングによると「M」の方が興味深いタイトルと考えたためだという。だが、公開された映画は、ナチスによって1934年に上映禁止となった。

1929年に発生した、「デュッセルドルフの吸血鬼」と呼ばれたペーター・キュルテンによる殺人事件から発想を得たとも言われているが、ラングは否定している。

エルジー殺害

幼女が殺害される事件が続いており、警察は懸賞金をかけて犯人を追っている。12時になる。エルジーの母親が娘の帰宅を待つが、なかなか帰ってこない。ボールを壁に当てて遊んでいるエルジーは、殺人犯のハンス・ベッケルトに声をかけられる。盲目の男性が売る風船をベッケルトに買ってもらったエルジーは、ベッケルトに殺害される。

警察の捜査

再び殺人が起こったことで町に不安が広がり、多くの人々がぬれぎぬを着せられる。ベッケルトは新聞社に手紙を送り、手紙が掲載された新聞を読んだ大臣は警察署長を責める。だが警察署長は、不眠不休での捜索が続けられているものの、目撃者によって証言はバラバラで、浮浪者や暗黒街を徹底的に調べていると反論する。

暗黒街の捜索

暗黒街に捜索が入り、カール・ローマン警部が指揮をする。逃げようとする犯罪者たちだったが、多くの警官たちによって取り囲まれて逃げられない。ローマンは身分証のチェックを行い、身分証を持っていない者や偽造した身分証を持っている者を連行する。裏社会の者たちが根こそぎ連行され、酒場の女主人は「犯罪者たちも犯人を憎んでいる」と警官に語る。

  

人物 1 M

ハンス・ベッケルト

俳優:ピーター・ローレ ハンス・ベッケルトは、少女殺しの犯人である、映画「M」の登場人物。複数人の幼女を・・・殺害し、冒頭ではエルジーを殺害する。殺害後には、新聞社に犯行を続ける声明文を送りつける。その後、再び少女に声をかけるが、エルジーの時と同じ盲目の男性から風船を買ったことから気づかれる。気づかれたこを知ってビルの倉庫に逃げ込むものの、犯罪者集・・・
人物 2 M

カール・ローマン警部

俳優:オットー・ベルニッケ カール・ローマンは、殺人課の警部である、映画「M」の登場人物。少女誘拐殺人事件を・・・担当しており、自ら暗黒街の捜査にも出向く。犯人がなかなか見つからない状況の中、病院・施設・刑務所から社会に戻った、同じような性向を持つ人物のリストを作成して部下に調べさせる。また、新聞社への犯行声明文を書く時に使われた机や赤鉛筆に注意するよ・・・
人物 3 M

シュレンカー

俳優:グスタフ・グリュントゲンス シュレンカーは、暗黒街の顔役である、映画「M」の登場人物。連続少女誘拐殺人による・・・警察捜査によって暗黒街に厳しい捜査の手が入り、仕事ができない状態にある。このままでは犯罪者たちが生活できなくなることから、浮浪者を組織して犯人を探すことを思いつく。 犯人のベッケルトがビルに逃げ込んだことを聞き、自ら警官になりすまして守衛・・・
セリフ・名言 1 M

少女「少し待てばやって来る。影法師の男の人が。手に持つ小さなそのオノで、切り刻まれるその人は」

0:00:40頃 連続少女誘拐殺人事件が起こっている最中に、子どもたちが遊びで歌・・・う曲の歌詞。曲を聞いた女性がやめるように言うが、エルジーの母親は「歌が聞こえるうちは元気な証拠」と話す。だが、娘のエルジーが次の犠牲者となってしまうのだった。 ・・・
セリフ・名言 2 M

ベッケルトの手紙「だが私は健在だ。殺しはまだまだ続くぞ」

0:08:55頃 エルジーを殺害した後に、ベッケルトが新聞社に送る声明文の文言。・・・警察は、声明文についた模様や赤鉛筆から犯人の住む家を探す。だが、懸命の捜査にもかかわらず警察の捜査は難航しており、ベッケルトは次の標的に近づくことになる。 ・・・
セリフ・名言 3 M

シュレンカー「我々は生活せねばならんが、犯人に生きる権利はない!」

0:34:30頃 暗黒街の顔役であるシュレンカーが幹部の犯罪者たちに語る言葉。少・・・女の殺人事件を捜査する警察は、暗黒街を徹底的に調べ上げていた。そのため、犯罪者たちは仕事ができずにおり、今の状況を打開するために、シュレンカーは浮浪者を組織して独自に犯人を探すことに決める。 ・・・
音楽 1 M

山の魔王の宮殿にて (In the Hall of the Mountain King)

「山の魔王の宮殿にて (In the Hall of the Mountain ・・・King)」は、ノルウェーの作曲家であるエドヴァルド・グリーグが、ヘンリック・イプセンの戯曲「ペール・ギュント」のために作られた曲を編曲した曲。「M」では、ベッケルトが口笛で口ずさむ以下のシーンで使われている。 0:05:40 ベッケルト・・・
音楽 2 M

ラ・マルセイエーズ

「ラ・マルセイエーズ」は、フランス革命の時に歌われ、後にフランスの国歌となった曲・・・。「M」では、警官になりすましたシュレンカーが、守衛を脅してビルの中に入ったあとに口笛の音色が聞こえる(1:10:10頃)。 ・・・
キーワード 1 M

製作

「M」は、フリッツ・ラングが監督した作品。ラングの妻であるテア・フォン・ハルボウ・・・が脚本を担当している。ハルボウは、これまでも「メトロポリス」(1927)などのラング監督作の脚本を担当してきた。当初のタイトルは「殺人者は私たちの中にいる」だったが、「M」に変更された。ナチスの迫害を恐れたとも言われているが、ラングによると・・・
キーワード 2 M

少女殺人

「M」で描かれているのは、少女の連続殺人事件である。ベッケルトという男性が何人も・・・の少女を殺害した。町には犯人にかけられた1万マルクの懸賞金のポスターが貼られている。犯人が逮捕されないことから人々は疑心暗鬼となり、殺人犯と言われた男が怒る様子、匿名の手紙によって家宅捜索を受ける家族の様子、少女に時間を聞かれた男が近くの人・・・
キーワード 3 M

警察

少女の連続殺人事件の犯人が逮捕されないことから、警察がやり玉に挙がる。大臣から叱・・・責を受けた警察の幹部が、警察官は週に12時間しか寝ずに捜査を行っていること、犯行現場に落ちていたキャンディの包み紙を調べたがよい結果が得られていないこと、林やヤブのすみずみまで調べていること、目撃証言がバラバラなことなど挙げてを反論する。 ・・・
作品一覧