本能寺の変

1582年、織田信長が明智光秀の謀反によって自害する。信長の嫡男である信忠も、松姫と息子の三法師を清州城に逃がして自害する。光秀は羽柴秀吉と丹羽長秀の軍勢に敗れ、逃走中に落ち武者狩りにあって死亡する。織田家の今後についての評定が、清州城で行われることになる。明智討伐に参加できなかった柴田勝家は、評定の場で秀吉と戦いになることを覚悟する。

お市と勝家

1日目。勝家が清州城に到着する。勝家に味方する長秀は、信長の三男である信孝を跡目に推すことに決めている。勝家は信長の妹であるお市にあいさつに行く。お市にほれ込んでいる勝家に、お市は秀吉の思う通りにさせないように頼む。お市は夫だった浅井長政と息子の万福丸を殺した秀吉のことを心の底からうらんでいた。

お市と秀吉

清州城に到着した秀吉がお市にあいさつに行くが、冷たくあしらわれる。秀吉は、勝家に対抗するため、たわけ者で知られる信長の次男の信雄を推すことに決める。夜、秀吉と勝家は一緒に酒を飲む。「たわけ者の信雄でも家臣が支えれば大丈夫」と話す秀吉の話に、勝家は納得してしまう。そんな勝家を長秀が叱責する。

三十郎

2日目。重臣である滝川一益の到着が遅れているため、評定は延期となる。勝家はお市と親しいことを家臣たちに示そうと、お市の子どもたちと無理やり遊ぶ。一方の秀吉は、信長の弟である三十郎を取り込もうとする。三十郎は拒否するが、秀吉は3千貫で買った香炉を置いていく。長秀は、秀吉と取り巻きを引き離すための策を考える。

新しい宿老

秀吉を呼んだ長秀は、宿老のみでの評定を提案する。渋々了承する秀吉だったが、到着していない一益の代わりに新たな宿老を選ぶことを主張する。勝家は反対するが、そこに現れた三十郎が秀吉の意見を支持したことから、新たな宿老を選ぶことになる。宿老に選ばれた池田恒興は、秀吉から味方をしてくれれば領地について優遇すると言われる。一方の勝家からは、味方をしてくれれば越前の米を送ると言われる。

旗取り大会

3日目。清州城に向かっている一益はまだ着かない。秀吉の妻である寧は、旧知の仲である松姫に会いに行き、再会を喜び合う。一益の到着を待つ一同は、紅白に分かれての旗取り大会を行うことになる。勝家側の紅組の先鋒は前田利家、白組の先鋒は池田恒興が務める。走るのが遅い利家に先行する恒興だったが、勝家の目を恐れて肉離れを起こしたフリをしてわざと負ける。

三法師

紅組の副将は勝家、白組の副将は秀吉が務める。勝家が先行するが、官兵衛が遠くから放った吹き矢が刺さって失速。秀吉が勝利する。大将戦は、信孝と信雄で争われる。足が速い信雄が先行するが、旗を取らずにそのまま走り去ってしまう。旗取りは信孝側の勝利に終わる。跡目争いで信雄が劣勢なことに悩む秀吉は、帰り道の川で寧や松姫たちと会う。信長の嫡男・信忠と松姫の子である三法師が信長に似ていることに気づいた秀吉は、三法師を担ぐことを思いつく。そして、勝家の味方である長秀を自分の側につける必要を感じる。一方の長秀は、お市に夢中の勝家に困っている。

長秀を説得

お市のために手に入れたサザエを届けた勝家だったが、海産物が好きではないお市に拒否される。だが、勝家が自分の為を思ってわざわざ手に入れてくれたことを知ったお市は、サザエを食べることにする。一方の秀吉は、長秀を呼び出す。勝家がお市にうつつを抜かしていることを指摘し、自分に味方すれば領地について考慮すると持ちかける。長秀ははっきりとした返事をしない。

評定

4日目。どっちつかずの態度を取っている恒興は、勝家と秀吉の両方から味方をするように念を押される。秀吉は天下人になる決意を寧に示し、評定の場に向かう。いよいよ評定が始まる。秀吉は当事者である信孝と信雄に別室で待ってもらうように提案し、受け入れられる。信孝を推す勝家に対し、秀吉は信長の嫡男・信忠の子である三法師を推す。

跡継ぎは三法師

恒興も三法師を推すが、長秀は態度を示さない。秀吉は偽りの腹痛を理由に評定の場から出ていく。長秀は三法師を推すと宣言し、勝家は大きなショックを受ける。信長の跡継ぎは三法師に決まる。庭で堀秀政と会った秀吉は、子どものあやし方について聞く。秀政は、木で作ったでくの坊の人形について秀吉に教える。秀吉は評定の場に戻る。

屈辱

長秀は、信孝を幼い三法師の後見人とするように提案。不服の秀吉を恒興が説得する。三法師が家臣たちの前に姿を見せることになる。泣きわめく三法師をでくの坊で笑わせた秀吉は、三法師の心をつかむ。三法師を抱きかかえて家臣の前に現れた秀吉は、家臣に頭を下げさせる。屈辱にまみれながら、勝家も頭を下げる。

暗殺

秀吉は宴を開き、長秀や恒興をはじめとする多くの者が参加する。思う通りにいかなかったお市は、勝家に秀吉を殺すように頼み、体を委ねる。勝家が忍者を使って自分の命を狙っていることを知った秀吉は、勝家に匿ってもらうことで助かろうとする。姿を見せた秀吉の度胸に感心した勝家は、秀吉と酒を飲む。勝家は秀吉に、評定では負けたが戦場では勝つと話す。

秀吉の決意

5日目。清州城から引き上げる前にお市を訪ねた秀吉は、この先も決して許さないと告げられた上に、勝家と祝言を挙げること聞かされる。長秀とすれ違った勝家は、最後のアドバイスとして年上の女房との付き合い方を教わる。城を去る勝家を呼び止めた秀吉は、道に土下座して非礼をわびる。だが、勝家が去ったあとには、勝家を滅ぼし、織田家を乗っ取って天下人となる決意を寧に語る。

人物 1 清須会議

柴田勝家

俳優:役所広司 柴田勝家は、織田家の宿老筆頭である、映画「清須会議」の登場人物。実在の人物。通称・・・は権六。秀吉からは「親父殿」と呼ばれる。「清須会議」では、勇猛な武人だが駆け引きは苦手な人物として描かれている。 越中の上杉氏を攻めている時に本能寺の変を知り、明智討伐に向かうものの秀吉に先を越される。織田家の跡取りを決める清州城での評定・・・
人物 2 清須会議

羽柴秀吉

俳優:大泉洋 羽柴秀吉は、織田家の宿老である、映画「清須会議」の登場人物。実在の人物。かつての・・・名は木下藤吉郎、のちの豊臣秀吉。「清須会議」では、人懐っこい性格の一方で、策略に長けた天下人を狙う人物として描かれている。 毛利家を責めていた時に本能寺の変を知る。急いで京都に戻って丹羽長秀の軍勢と合流し、山崎の戦いで明智光秀を討つ。その・・・
人物 3 清須会議

丹羽長秀

俳優:小日向文世 丹羽長秀は、織田家の宿老である、映画「清須会議」の登場人物。実在の人物。「清須会・・・議」では、冷静沈着で思慮深く、笑顔を見せない人物として描かれている。柴田勝家と盟を結んでいる。 本能寺の変を知るもののすぐには兵を動かさず、毛利攻めから京都に戻って来た秀吉の兵と合流して明智光秀を討つ。その後の清州城での評定では、勝家とと・・・
セリフ・名言 1 清須会議

織田信忠「これで、戦の世に逆戻りだ」

0:04:40頃 天下統一を目前にした織田信長だったが、明智光秀の謀反による本能・・・寺の変で命を落とす。信長の嫡男である信忠も自害する。自害する前の信忠の言葉。本能寺の変のあと、清須において評定という名の戦が繰り広げられることになる。 ・・・
セリフ・名言 2 清須会議

丹羽長秀「そう、戦だ。評定という名の」

0:09:45頃 本能寺の変で織田信長が命を落とす。織田家の跡継ぎや信長の所領の・・・配分を決めるため、清州城で織田家の家臣が集まって評定が開かれることになる。それは、今後の権力者が誰になるかを決めるための重要な評定だった。 ・・・
セリフ・名言 3 清須会議

お市「サルにひれ伏すくらいなら、織田家は滅んだほうがまし。わたくしは決して、あの男を許しはしない。決して」

0:17:15頃 織田信長の妹であるお市は、夫の浅井長政や息子の万福丸を殺されて・・・いた。殺したのは、信長の命を受けた秀吉だった。秀吉のことをサルと呼ぶお市は、秀吉に深いうらみを抱いており、柴田勝家に秀吉の思い通りにさせないように命じる。 ・・・
音楽 1 清須会議

くつわ踊り

くつわ踊りは、愛知県津島市中野町に伝わる踊り。愛知県の無形民俗文化財に指定されて・・・いる。織田信長が津島で踊りの会を催し、そのお返しに津島の人々が清須に出向いて披露した踊りと言われている。「清須会議」では、秀吉が開く宴で寧が踊り、秀吉や参加した武将も踊る(0:47:40頃、1:49:00頃)。 ・・・
音楽 2 清須会議

音楽(荻野清子)、サウンドトラック

「清須会議」の音楽を担当しているのは荻野清子。本作で日本アカデミー賞優秀音楽賞に・・・選ばれた。三谷幸喜監督作を担当するのは、「ザ・マジックアワー」(2008)、「ステキな金縛り」(2011)に続いて3作目となる。発売されているサントラ(サウンドトラック)には、以下の曲が収録されている。 01. オープニング 02. 本能・・・
キーワード 1 清須会議

評価、興行収入、原作

「清須会議」は、少年時代から清須会議に興味を持っていたという三谷幸喜が脚本・監督・・・を担当した作品で、登場人物のモノローグ形式で書かれた自らの原作が元になっている。日本アカデミー賞の「監督賞」「脚本賞」「音楽賞」「美術賞」「録音賞」「編集賞」の優秀賞に選ばれた。興行的には興行収入29.6億円のヒットとなり、2013年の邦画・・・
キーワード 2 清須会議

清須会議(清州会議)

清須会議(清州会議)は、織田信長が本能寺の変で自害したあと、織田家の跡継ぎと信長・・・の所領の配分について話し合われた会議のこと。1582年に、尾張国(現在の愛知県)の清州城で行われた。 織田家の宿老である柴田勝家、丹羽長秀、羽柴秀吉、池田恒興の4人で話し合いが行われ、信孝を推す勝家と三法師を推す秀吉が対立。最終的には勝家・・・
キーワード 3 清須会議

清州城

清州城は、尾張国(現在の愛知県)の清洲にあった城で、清須会議の舞台となる。かつて・・・は織田家の本城だった。のちに、徳川家康によって清須から名古屋への遷府が命じられたことにより廃城となる。「清須会議」では、存在していたかどうかで説が分かれる天守閣が表現されたほか、池などのある庭を囲うように登場人物たちの居室がある形となってい・・・
作品一覧