三隅高司

強盗殺人で逮捕された三隅高司の事件を担当していた摂津大輔は、三隅の話がコロコロ変わることに対応しきれず、重盛朋章に弁護の協力を頼む。三隅と接見した重盛は、減刑を望んでいるという三隅がそうは見えなかったと感じる。三隅の娘が北海道の留萌におり、重盛と一緒に弁護を担当する若手の川島輝は、「三隅を理解するために会いに行った方が良い」と話すが、三隅は必要がないと考える。

減刑を狙う

殺害現場の河原を見に行った重盛と川島は、足の悪い少女と会う。三隅の書いた謝罪の手紙を持って被害者の家を訪ねた重盛は、河原で会った少女が被害者の娘の山中咲江と知る。手紙を受け取った被害者の妻である山中美津江は手紙を破り捨てる。重盛は、三隅はうらみによって被害者を殺害した上で財布を盗んだ殺人と窃盗の罪を主張し、強盗殺人からの減刑を狙うことに決める。

週刊誌の記事

娘のゆかが万引きしたという連絡を受けた重盛は、ゆかを迎えに行く。泣きまねをして店員をあざむくゆかの姿に重盛は驚く。三隅が週刊誌に話した、被害者の妻・美津江から殺害依頼を受けたとの内容が記事となる。三隅に確認した重盛は、金のやりとりのメールを見せてもらう。メールに明確に殺人依頼は書かれていないが、重盛たちは美津江から依頼されたと裁判で主張することに決める。

重盛のアパート

三隅のアパートを訪れた重盛は、咲江がたまにアパートを訪れていたことを知る。また、飼っていた多くのカナリアを自ら殺して埋めていたことや家賃をいつもより早めに払っていたことから、三隅が逮捕を覚悟していたと考える。接見した重盛は三隅にカナリアについて聞くが、三隅ははぐらかす。さらに三隅はガラス越しに重盛の手のぬくもりを感じ、重盛に娘がいることを言い当てる。重盛は困惑する。

重盛の父

重盛は、咲江が北海道大学を受験しようとしていること、生まれつき悪い足について屋根から飛び降りたためとウソをついていることを知る。30年前の三隅の殺人事件の裁判長を務めた重盛の父・彰久が、事件の資料を届けに上京してくる。彰久は重盛に、「三隅を死刑にしておけば、また人が死なずにすんだ」「三隅のことを理解しようとしてもムダ」と語り、重盛は反発を覚える。

留萌へ

重盛と川島は、三隅の娘に情状証人となってもらうため、北海道の留萌にやって来る。30年前に三隅を逮捕した男性は、三隅のことを「空っぽの器のよう」と語る。娘は姿を消しており、三隅のことを「死んで欲しい」と語っていたと知る。重盛たちが留萌に行ったことを知った三隅はいら立ち、「被害者は死んで当然」と語るが理由は口にしない。

裁判長へのあこがれ

重盛は咲江と話をし、三隅の娘も足が悪かったことを教える。三隅に殺害依頼をしたと主張されている美津江だったが、三隅に送ったメールは食品偽装についての内容であることが明らかになる。美津江は咲江に、法廷では食品偽装や父親のことについて余計なことを言わないように話す。重盛は三隅に、被害者を裁こうとしたのではないかと問うが、はぐらかされる。三隅は人の命は理不尽に選別されていることや、人の命を裁ける裁判長に憧れていたことを語る。

裁判がスタート

裁判が始まり、三隅は強盗の意思がなかったこと、美津江から依頼されて殺害したことを主張する。証言台に立った美津江は、メールは夫が送ったもので何も知らないと主張する。その様子を傍聴していた咲江は、母のように見てみぬをしたくないと考え、父親から性的暴行を受けていたことや、三隅が自分のために父親を殺したと思われることを重盛たちに話す。そして、三隅を助けるために証言したいと申し出る。

供述を変える三隅

事件について、自分の知っている部分がどこまで真実かがわからなくなる重盛。三隅と接見した重盛は、咲江の性的暴行について話すが、三隅は咲江の話はウソと話す。さらに三隅は、美津江からの殺害依頼は三隅のウソであり、食品偽装の口止め料だったと明かす。さらに自分は河川敷に行っておらず、被害者を殺していないと急に供述を変える。

方針転換

混乱してきた重盛は、三隅に真実を話すように頼む。三隅はあくまでも自分は殺人を犯していないと主張する。重盛は主張を信じることに決め、三隅は喜ぶ。無実を主張するように方針を転換するという重盛に、摂津は反対する。摂津は重盛に遺体写真を見せて説得しようとするが、重盛は「こんな父親は殺されて当然」と語る。

咲江の証言

三隅が犯人ではないと主張するため、自分のために三隅が父親を殺したと言わないで欲しいと頼まれる咲江。あくまで証言を主張する咲江だったが、重盛から三隅のことを一番に考え、裁判の証言では触れない。三隅は殺人を犯していないと主張する。裁判官、検事、弁護士の話し合いで、犯人性を争点に加えた形での裁判の続行が決まる。

判決

三隅に死刑判決がくだされる。判決を聞いたあと、三隅は重盛に握手をし、感謝の言葉を述べる。その後、三隅と接見した重盛は、「咲江に性的暴行についての証言をさせないために供述を変えたのか」と三隅に問う。だが三隅は答えをはぐらかし、もしもそうだとしたら「いい話だ」と語る。そんな三隅の様子を見た重盛は、三隅のことを「空っぽの器」と感じる。

人物 1 三度目の殺人

重盛朋章

俳優:福山雅治 重盛朋章は、三隅高司の弁護を担当する弁護士である、映画「三度目の殺人」の登場人物・・・。犯人の理解は不要と考え、真実よりも依頼人の利益を最大限に考えていたが、三隅の事件で変化を見せる。三隅と同じ北海道出身で、裁判長を務めた父を持つ。妻とは離婚調停中で、14歳の娘・ゆかと離れて暮らしている。司法修習で同期だった摂津から三隅の弁・・・
人物 2 三度目の殺人

三隅高司

俳優:役所広司 三隅高司は、食品加工工場の経営者殺害で逮捕された、映画「三度目の殺人」の登場人物・・・。かつて北海道の留萌で、2名の殺人・強盗・放火を起こし、30年間刑務所に収監されていた。出所後に勤務していた食品加工工場の社長をスパナで後ろから殴って殺害したあと、ガソリンで火をつけて燃やした。財布も盗んでおり、強盗殺人と死体損壊罪で逮捕さ・・・
人物 3 三度目の殺人

山中咲江

俳優:広瀬すず 山中咲江は、被害者の娘である、映画「三度目の殺人」の登場人物。生まれつき足が悪く・・・、器具をつけた足をひきずって歩く姿を見せる。足が悪いは生まれつきだが、周囲には飛び降りたことが原因とウソの説明をしている。北海道大学への進学を希望している。実は、14歳の頃から父親によって性的暴行を受けていたおり、そのことを三隅に話していた・・・
セリフ・名言 1 三度目の殺人

重盛「だとしたら間違いなく死刑だろ、求刑」

0:03:00頃 司法修習で同期だった重盛と摂津。国選弁護人として三隅という人物・・・の弁護を担当することになった摂津だったが、コロコロと供述を変える三隅に手を焼き、重盛に協力を求める。重盛は、自分の役割が死刑から減刑させることと認識する。 ・・・
セリフ・名言 2 三度目の殺人

重盛「減刑を望んでるんだよな。三隅本人は。いやあんまりそう見えなかったから」

0:07:10頃 2度目の強盗殺人で逮捕された三隅を弁護することになった重盛。三・・・隅と初めて接見した重盛には、三隅が減刑を望んでいるようには見えなかった。このあと三隅は供述をコロコロと変え、重盛たちを翻弄していくことになる。 ・・・
セリフ・名言 3 三度目の殺人

重盛「理解とか共感とか、弁護するのにそういうのいらないよ。だって友達になるわけじゃないんだから」

0:08:40頃 三隅の情状証人として、北海道にいる三隅の娘を呼ぶことが検討され・・・る。三隅を理解するためにも、娘のいる北海道の留萌まで行った方がよいと考える川島だったが、重盛は依頼人への理解や共感は不要と話す。 ・・・
音楽 1 三度目の殺人

音楽(ルドヴィコ・エイナウディ)

「三度目の殺人」の音楽を担当しているのは、イタリアの作曲家であるルドヴィコ・エイ・・・ナウディ。「最強のふたり」(2011)なども担当した。本作で、日本アカデミー賞優秀音楽賞に選ばれた。 ・・・
キーワード 1 三度目の殺人

評価、興行収入

「三度目の殺人」は、日本アカデミー賞の「最優秀作品賞」「最優秀助演男優賞=役所広・・・司」「最優秀助演女優賞=広瀬すず」「最優秀監督賞」「最優秀脚本賞」「最優秀編集賞」を受賞した。また「優秀音楽賞」「優秀撮影賞」「優秀照明賞」「優秀録音賞」に選ばれた。キネマ旬報ベスト・テンでは8位に選ばれた。興行的には14億円を超える興行収・・・
キーワード 2 三度目の殺人

殺人

「三度目の殺人」には、三隅高司が裁かれた2つの殺人事件が登場する。1つ目は30年・・・前の留萌強盗殺人事件で、借金取り2人を殺害して金を盗み、住居を放火した罪で三隅が逮捕された。重盛の父である彰久が裁判長を務め、不幸な生い立ちや貧しさから死刑を回避した温情判決が下された。2つ目は、食品加工工場の社長に対する強盗殺人で、重盛た・・・
キーワード 3 三度目の殺人

弁護士

「三度目の殺人」で三隅の弁護をするのは、弁護士の重盛たちである。当初は摂津が担当・・・していたが、コロコロと供述を変える三隅に手を焼いて重盛に助けを求める。また、若手弁護士の川島も重盛の助手として担当することになる。重盛は真実よりも依頼人の利益となることを最優先で考えるタイプで、依頼人を理解しようとする川島に対してもそのよう・・・
作品一覧