双葉と安澄

銭湯「幸の湯」の入り口には、「湯気のごとく、店主が蒸発しました。当分の間、お湯は沸きません」と貼り紙がしてある。夫の一浩が急にいなくなった双葉は、パン屋で働きながら高校生の娘・安澄を1人で育てている。安澄は学校でいじめられており、ある日絵の具を体中に塗りつけられる。学校に安澄を迎えに来た双葉は、「自分でやった」という安澄の言葉を受け入れ、自転車の後ろに乗せて家に帰る。

  

余命

双葉が倒れ、末期がんで余命数カ月と判明する。ショックを受ける双葉だったが、安澄のためにもしっかりしなければいけないと考える。探偵の滝本に依頼し、一浩が隣町で女性と暮らしていることが分かる。毎年カニを送ってくれる酒巻君江に、例年通り安澄がお礼の手紙を書く。また双葉は安澄に、「大事な時のために」と、大人っぽい下着を買ってやる。

  

一浩が戻る

一浩の住むアパートにやって来た双葉は、一浩に自分の余命があとわずかであることを告げる。一浩は、一緒に暮らしていた女性との間の娘である9歳の片瀬鮎子と家に戻る。鮎子の母は家を出ていなくなっていた。安澄は戸惑いながらも、一浩と鮎子を受け入れる。双葉は銭湯を再開することに決め、全員に働くように命じる。

  

銭湯再開

銭湯が再開され、以前のお客さんがやって来る。再会を喜ぶ安澄だが、一浩にムカつく気持ちは消えていない。双葉の病状が悪化し、手の震えが止まらなくなる。大きい病院で診てもらうように勧める一浩だったが、双葉は「やるべきことがある」と拒否する。安澄は学校で制服を盗まれる。学校に行きたくないと話す安澄だったが、双葉は許さない。言い合いになる2人。嫌がる安澄だったが、決心を固めて学校に行く。

  

制服

体操着で学校の授業を受ける安澄は、ホームルームの時間に立ち上がり、体操着を脱いで下着姿となり、制服を返してくれるように頼む。具合が悪くなって嘔吐した安澄が保健室にいると、盗まれていた制服が保健室に置かれる。制服を着て帰ってきた安澄を双葉が抱きしめてやる。その様子を鮎子が見つめている。

  

鮎子

鮎子がいなくなる。誕生日までに迎えに来るという母親の約束を覚えていた鮎子は、以前に住んでいたアパートの部屋の前で見つかる。翌朝、誕生日にはしゃぶしゃぶを食べるというルールに従って、朝からしゃぶしゃぶが用意される。鮎子は涙ながらに家にいさせて欲しいと訴え、「ママのことが好きでも良いか」と聞く。双葉は「当たり前でしょ!」と答える。

  

旅行

双葉は、安澄と鮎子を連れて、高足ガニを食べに静岡に赤い車で旅行に行く。途中でヒッチハイクをして旅をする向井拓海という青年を乗せる。目的もなく旅をし、時間が腐るほどあると思っている拓海。双葉は拓海を抱きしめて、日本の最北端を目指すように目的を与える。拓海は目的を達成したら報告に行くと話す。その夜、病状が悪化する双葉は、トイレで血を吐く。

  

本当の母

双葉たちは、港近くのレストランで高足ガニを食べる。会計の時に、店員でろうあ者の女性のほおをたたく双葉。車に乗った双葉は、店員の女性が酒巻君江であること、君江が安澄の本当の母親であること、19歳の時に出産したものの安澄の声が聞こえないことに耐えられずに家を出たことを語る。安澄はすぐには受け入れられない。

  

倒れる

双葉は君江にあいさつに行くように安澄に命じ、車から降ろして去っていく。安澄の元にやって来た君江に、自分のことを手話で話す安澄。双葉が安澄に手話を習わせていたことを知った君江は嗚咽する。鮎子と水族館に行ったあと、安澄を迎えに戻ってきた双葉は、疲れが出て倒れてしまう。病院に入院した双葉を見舞う安澄と鮎子は、双葉の前では泣かないと約束する。

  

双葉の母

徐々に体力が落ちていく双葉だったが、家族の心配ばかりしている。ある日、探偵の滝本が、双葉が以前に頼んだ母の居場所の調査報告に来る。母が生きていることを知った双葉は、滝本の車で母が娘や孫と暮らす家に向かう。だが双葉の母は、「娘はいない」と双葉とは会わない。滝本に付き添われて家で孫と遊ぶ母の姿を見た双葉は、近くにあった小さな犬の置物を窓に向けて投げる。

  

人間ピラミッド

安澄に会いに君江がやって来る。また、北海道の最北端に到達した拓海が双葉に会いにやって来る。一浩はみんなに頼み事があると話す。その夜、病室にいる双葉が呼び出されてベランダから外を見ると、一浩たちが人間ピラミッドをしている。双葉と一浩は、新婚旅行にピラミッドを見に行く約束をしていたが果たせていなかった。一浩は自分がみんなを支えると叫び、双葉を安心させようとする。その姿を見た双葉は、「死にたくない」と嗚咽する。

  

火葬

死期が近づいた双葉に、安澄が涙をこらえながら感謝を述べる。双葉が亡くなり、葬儀が銭湯で行われる。出棺した棺桶の中身は空っぽで、双葉の遺体は花が埋め尽くされた湯船に浮かべられている。その後、風呂釜で双葉の遺体を焼き、その炎で温められた風呂にみんなでつかる。銭湯の煙突からは、赤く色づいた煙が上がる。

  

人物 湯を沸かすほどの熱い愛

幸野双葉

俳優:宮沢りえ 幸野双葉は、末期がんで余命数カ月と宣告される女性である、映画「湯を沸かすほどの熱・・・い愛」の登場人物。幼い頃に、母に捨てられた過去を持つ。幸野一浩と結婚し、一浩の連れ子である安澄を育てる。安澄には、自分の子ではないことを告げていない。一浩が1年前に蒸発したため、それまで営んでいた銭湯を閉め、パン屋で働いている。いじめられて・・・
人物 湯を沸かすほどの熱い愛

幸野安澄

俳優:杉咲花 幸野安澄は、幸野一浩と双葉の娘である、映画「湯を沸かすほどの熱い愛」の登場人物。・・・父の一浩が蒸発したため、双葉と2人で暮らす。高校生で、学校ではいじめられている。感情が高ぶるとギュッと口を結ぶ表情を見せる。双葉が一浩を連れ戻し、一緒に一浩の娘という鮎子を連れてきたことに戸惑う。銭湯の再開は喜ぶものの、双葉に苦労をかけたに・・・
人物 湯を沸かすほどの熱い愛

幸野一浩

俳優:オダギリジョー 幸野一浩は、双葉の夫である、映画「湯を沸かすほどの熱い愛」の登場人物。両親が早く・・・に亡くなったため、高校を中退して銭湯「幸の湯」を継ぐ。それもあって漢字に弱く、計算が遅い。1年前に「1時間だけパチンコ行ってくる」と言い残したまま蒸発していた。隣町で女性と自分の子と言われた9歳の鮎子の3人で住んでいたが、女性はいなくなって・・・
セリフ 湯を沸かすほどの熱い愛

貼り紙「湯気のごとく、店主が蒸発しました。当分の間、お湯は沸きません。 幸の湯」

0:00:25頃 「湯を沸かすほどの熱い愛」のオープニングで登場する、銭湯「幸の・・・湯」の入り口に貼られた紙に書かれた言葉。店主の幸野一浩は、1年前に「パチンコに行ってくる」と言い残したまま蒸発してしまっていた。 ・・・
セリフ 湯を沸かすほどの熱い愛

双葉「お母ちゃんは断然赤。情熱の赤が好き」

0:06:45頃 双葉の娘である高校生の安澄は、学校でいじめにあっていた。絵の具・・・をいじめっ子の制服につけてしまったことから、安澄は髪や制服に絵の具をつけられる。だが先生には「自分でやった」と言い張る。そんな安澄の言葉を双葉は否定せず、好きな色を聞いて元気を出させようとする。 ・・・
セリフ 湯を沸かすほどの熱い愛

双葉「行ったことないけど、うーん、行きたいなーって思ってる」

0:15:40頃 末期がんで余命がわずかであることを告げられた双葉は、1年前に蒸・・・発していた夫の一浩の調査を探偵の滝本に頼む。滝本から居場所の報告を受けた双葉は、滝本の娘と天国の話をする。双葉にとって天国は遠い存在ではなかった。 ・・・
音楽 湯を沸かすほどの熱い愛

愛のゆくえ

「愛のゆくえ」は、ロックバンド「きのこ帝国」が「湯を沸かすほどの熱い愛」のために・・・書き下ろした主題歌。映画の終わりで、双葉を燃やす風呂釜の炎が映し出されたあと、「湯を沸かすほどの熱い愛」のタイトルの表示とともに流され、エンドクレジットにつながる。 ・・・
音楽 湯を沸かすほどの熱い愛

音楽(渡邊崇)、サウンドトラック

「湯を沸かすほどの熱い愛」の音楽を担当しているのは渡邊崇。日本アカデミー賞優秀音・・・楽賞に選ばれた「舟を編む」(2013)などでも知られる。発売されているサントラ(サウンドトラック)に収録されている曲は以下の通り。 1.二人の生活 2.心配で心配で、心配で 3.再開の湯 4.涙、ユラユラ 5.殻の中 6.ハタラカザルモノ・・・
キーワード 湯を沸かすほどの熱い愛

評価

「湯を沸かすほどの熱い愛」は、日本アカデミー賞で「最優秀主演女優賞=宮沢りえ」「・・・最優秀助演女優賞=杉咲花」「新人俳優賞=杉咲花」を受賞し、「優秀作品賞」「優秀監督賞」「優秀脚本賞」に選ばれるなどの評価を受けた。 ・・・
キーワード 湯を沸かすほどの熱い愛

末期がん、余命

「湯を沸かすほどの熱い愛」の主人公は、末期がんに冒された幸野双葉である。双葉は、・・・膵臓がんから肺、肝臓、脳に転移しており、倒されて病気が発覚した時には治療が困難な状態で、あと2,3カ月の命と診断される。落ち込む双葉だったが、残された短い時間を使って、大切な家族のためにやり残したことをやろうと決断する。 ・・・
キーワード 湯を沸かすほどの熱い愛

銭湯「幸の湯」

幸野一浩と双葉の夫婦は、銭湯「幸の湯」を営んでいた。幸の湯には大きな富士山の絵が・・・描かれている。だが、一浩が1年前にふらっといなくなってしまったため、「幸の湯」は休業状態にある。双葉は一浩を連れ戻し、「幸の湯」を再開させる。再開にあたって、双葉は安澄や鮎子にも手伝うように命じ、みんなで掃除や番台の当番をする。のちには、双・・・
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